河川整備基金助成事業 「水にかかわる資料館・博物館を対象とした 巡回展示物の貸し出しと地域展示の開発」 報告書 助成番号:25−3111−028 水の巡回展ネットワーク 吉冨友恭 平成25年度 1 様式6・2 3.啓発活動 助成番号 25−3111−02 8 助 成 [:概要版報告書] 所属・助成事業者氏名 助成事業名 水にかかわる資料館・博物館を対象とした巡回展示 物の貸し出しと地域展示の開発 水の巡回展ネットワーク・吉冨友 恭 〔目 的〕 100を超える河川やダムの資料館のあるわが国は、世界有数の「水にかかわる資料館・博物館」の保 有国といえる。これらの施設は地域の自然や歴史・風土を学ぶことのできる学習拠点となっているが、財 政面等から運営は厳しく、地球温暖化やゲリラ降雨等の新たなテーマに対応した展示を個別の施設で実施 することが困難な状況にある。このため、巡回展示物を開発し、全国の施設に貸し出すことにより、各施 設の展示の充実、運営の活性化を図ることを目的に活動を実施する。また、これまで水にかかわる展示は、 施設ごとに独自に計画されており、ノウハウが共有されることがなかったが、本事業では、巡回時に実施 する展示に対する利用者の反応等の調査の結果反映し、多くの施設で活用できる効果的な展示の考え方や 方法を提案し、全国の施設の展示に活かすとともに、その普及を図る。 事 業 の 要 旨 〔内 容〕 水にかかわる巡回展示物を開発し、全国の河川やダムの資料館等、水にかかわる資料館・博物館に貸し 出し、各施設の展示内容の充実に役立てる。平成25年度は、近年の話題性、緊急性から昨年度に開発し た企画展「ゲリラ降雨に備えて」のユニットを全国の施設に巡回した。また、前年度に新たに開発した身 近な生物の視点から雨の恵みについて考える企画展ユニット「雨といきもの展」の巡回もスタートした。 さらに、2つの展示の巡回先において調査を実施し、地域に求められる展示の検討と開発を行った。 〔結 果〕 企画展「ゲリラ降雨に備えて」及び企画展「雨といきもの展」の展示ユニットを全国の水にかかわる資料 館・博物館、川の駅、科学館、ハイウェイオアシス、その他関連施設22館に巡回することができた。 企画展「ゲリラ降雨に備えて」 ①大河津資料館(新潟)、②豊橋こども未来館(愛知)、③大橋川コミュニティーセンター(島根)、④ 宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館、⑤水辺共生体験館(岐阜)、⑥フラワーパーク江南(愛知)、⑦刈谷ハイ ウェイオアシス、⑧アクアプラザながら(三重)、⑨天竜川総合学習館かわらんべ(長野)、⑩渡良瀬川 せせら(栃木)、⑪荒川知水資料館(東京)、⑫国営讃岐まんのう公園(賀川) ◎企画展「雨といきもの展」 ①荒川知水資料館(東京)、②渡良瀬川せせら(栃木)、③芦田川見る視る館(広島)、④大河津資料館 (新潟)、⑤大橋川コミュニティーセンター(島根)、⑥東京学芸大学コミュニティーセンター、⑦川の 駅はちけんや(大阪)、⑧遠賀川水辺館(福岡)、⑨リバーパル五ヶ瀬川(宮崎)、⑩大淀川学習館(宮 崎) 上記のいくつかの館ではワークショップ等を開催することもできた。展示充実のための調査として、来場 者の行動追跡調査、聞き取り調査等に加え、開催館の運営担当者への聞き取り調査を行った結果、展示の利点 や改善点、さらに、設営や運搬の効率化に資する知見も得られた。また、今後の巡回に向け、既存の展示を更 新・改善するための具体的な示唆が得られた。 部門 大分類 中分類 小分類 データベースに登録 啓発 普及啓発 その他 その他 するキーワード ※データベースに登録するキーワードは、本冊子 P.49 の表から代表的なものを一つ記入して下さい。 -2- 様式6・3 3.啓発活動(一般的助成) 助成番号 25−3111−02 8 助 成 事 業 実 施 成 果 の 自 己 評 価 助成事業名 水にかかわる資料館・博物館を対象とした巡回展示 物の貸し出しと地域展示の開発 [:自己評価シート1] 所属・助成事業者氏名 水の巡回展ネットワーク・吉冨友 恭 〔事業・活動計画の妥当性〕 単独施設で企画・制作するには限界のある、多くの施設で共有可能な展示物を開発し、無償で全国の施 設に貸し出し、さらに評価を実施して展示内容の充実を図ることで、国民の河川・ダム等に対する理解を 深めことを目的に活動をスタートした。平成25年度は企画展「ゲリラ降雨に備えて」及び企画展「雨と いきもの展」の2つの展示ユニットを全国22カ所の施設に巡回することができた。展示テーマの話題性 から、展示の貸し出し依頼や相談も多く、すでに平成26年度も予約で埋まっている状況にある。これら のことから現場におけるニーズも確認できた。また、多くの施設に巡回する中で、展示の効果、展示物の 汎用性や耐久性、現場のさらなるニーズも確認でき、今後の継続の可能性、新たな展示巡回の必要性も確 かめられた。 〔当初目標の達成度〕 2つの企画展ユニットの巡回を開始したため、昨年度の2倍以上の施設(22館)に対して展示を貸し 出すことができた。雨と生き物展では、河川事務所や大学等の専門的な研究成果を絵本として表現した展 示や、音声をとりいれた Q&A 展示、インタラクティブ映像展示等を導入し、新たな展示手法を広く公開 することができた。展示に対する反応は調査結果からみても有効であり、テレビや新聞に取り上げられる 機会も多く十分な手応えがあった。当初の目標は十分に達成されたものと考えている。また、絵本の展示 については、九州エリアの地域のニーズに対応し、現地との調整を図りながらアカメを題材にした展示を 新たに開発することができた。 〔事業・活動の効果〕 本事業は、全国各地の水にかかわる資料館・博物館に無償で展示物を貸し出す取り組みである。これま で資料館・博物館では、各館が独自に運営方法の改善や企画展や行事の検討を行ってきたが、関連施設ど うしが連携を図り、巡回という仕組みの中で展示物や情報を共有していくことで、運営コストの削減、効 果的な広報や集客、地域や学校への教育普及、施設の活性化が期待できる。今年度の取り組みにより、展 示の巡回、運営の方法について22館もの現場で実際に検証し、その効果を確かめることができた。現場 だけでなく、オフィシャルウェブサイト、facebook によるオンラインでの広報効果もあり、全国の関係 組織に本事業の取り組みを広く公開、周知できたものと考えている。 〔河川管理者等との連携状況〕 河川管理者として、国土交通省(本省)の職員数名がメンバーに入っており、展示の企画段階から参画 していたことで、展示の公開を考えている施設の現場の状況やニーズの把握、展示で扱う様々なデータの 収集等を円滑に進めることができた。また、巡回にあたっては、関東、近畿、中国、九州地方整備局管内 の事務所、また大阪府河川室等との連携体制をとり、設営や広報に関する作業を効率的かつ効果的に行う ことができた。 -3- 様式6・5 3.啓発活動(一般的助成) [実施箇所位置図] 助成番号 助成事業名 所属・助成事業者氏名 水にかかわる資料館・博物館を対象とした巡回展示 水の巡回展ネットワーク・吉冨友 25−3111−02 8 物の貸し出しと地域展示の開発 恭 主な実施箇所 国土交通省本省(東京) 、東京学芸大学(東京) 、九州産業大学(福岡) 、川の資料館・博 物館、川の駅、科学館、ハイウェイオアシス、その他関連施設等22カ所(関東、関西、中 国九州エリア) 平成25年度、展示の企画と開発、運営についてのミーティングは、国土交通省本省、東京学芸大学、九 州産業大学において月1〜2回のペースで行った。また、企画展「ゲリラ豪雨に備えて」及び「雨といきも の展」(写真)の巡回先である下記の施設において展示設営、助言、情報収集等を行った。代表館2箇所の 地図、チラシを以下に貼付する。 助 成 企画展「ゲリラ降雨に備えて」 ①大河津資料館(新潟)、②豊橋こども未来館(愛知)、③大橋川コミュニティーセンター(島根)、④宮 事 ヶ瀬ダム水とエネルギー館、⑤水辺共生体験館(岐阜)、⑥フラワーパーク江南(愛知)、⑦刈谷ハイウェ 業 イオアシス、⑧アクアプラザながら(三重)、⑨天竜川総合学習館かわらんべ(長野)、⑩渡良瀬川せせら の (栃木)、⑪荒川知水資料館(東京)、⑫国営讃岐まんのう公園(賀川) 主 ◎企画展「雨といきもの展」 な ①荒川知水資料館(東京)、②渡良瀬川せせら(栃木)、③芦田川見る視る館(広島)、④大河津資料館(新 実 潟)、⑤大橋川コミュニティーセンター(島根)、⑥東京学芸大学コミュニティーセンター、⑦川の駅はち 施 けんや(大阪)、⑧遠賀川水辺館(福岡)、⑨リバーパル五ヶ瀬川(宮崎)、⑩大淀川学習館(宮崎) (チラシは別添) 箇 所 雨といきもの展 大橋川コミュニティーセンター(島根) アカメの絵本展示(地域展示として開発) google map 大河津資料館(新潟) -4- google map 1)目的 100を超える河川やダムの資料館のあるわが国は、世界有数の「水にかかわる資料館・ 博物館」の保有国といえる。これらの施設は地域の自然や歴史・風土を学ぶことのできる学 習拠点となっているが、財政面等から運営は厳しく、地球温暖化やゲリラ降雨等の新たなテ ーマに対応した展示を個別の施設で実施することが困難な状況にある。このため、巡回展示 物を開発し、全国の施設に貸し出すことにより、各施設の展示の充実、運営の活性化を図る ことを目的に活動を実施する。また、これまで水にかかわる展示は、施設ごとに独自に計画 されており、ノウハウが共有されることがなかったが、本事業では、巡回時に実施する展示 に対する利用者の反応等の調査の結果反映し、多くの施設で活用できる効果的な展示の考え 方や方法を提案し、全国の施設の展示に活かすとともに、その普及を図る。 2)水の巡回展ネットワーク 水の巡回展ネットワーク(Japan Water Exhibition Network; jawanet)は、大学の学生や 教員、気象キャスター、展示プランナーやデザイナー、研究所の研究員、国土交通省の職員 等の有志のメンバーで構成され、水に関する様々なテーマの 展示ユニットを開発し、それらを全国各地の川の資料館や博 物館に巡回することを目的に設立された団体である。巡回の 機会を利用して調査を行いながら、多くの場所で活用できる、 汎用性の高い、楽しく学べる展示を創造していくことを目的 に活動を展開している。本事業は、水にかかわる資料館・博 物館を対象として、その具体的な活動を推進するものである。 3)活動内容 平成25年度は、近年の話題性、緊急性から昨年度に開発した企画展「ゲリラ降雨に備え て」のユニットを全国の施設に巡回した。また、前年度に新たに開発した身近な生物の視点 から雨の恵みについて考える企画展ユニット「雨といきもの展」の巡回もスタートした。さ らに、2つの展示の巡回先において調査を実施し、地域に求められる展示の検討と開発を行 った。 1)企画展「ゲリラ降雨に備えて」 展示内容:「ゲリラ豪雨」 「1時間に30ミリの雨」。聞いたことはあるけど上手く説明でき ない雨の現象や防災のポイントについてわかりやすく紹介する企画展。 「ゲリラ豪雨の発生か ら収束」を下校中の小学生の行動をたどりながら紹介する絵本のような展示を導入とし、 「雨 2 の降る仕組み」や「ゲリラ豪雨と集中豪雨の違い」、「身を守るためのポイント」について図 解したパネル展示、「豪雨による河川の増水やその体験談」を収めた映像展示、「雨つぶのか たちクイズ」等で構成されている。他にも、降った雨の重さを体感できる展示、実際の雨の 状況を臨場感あふれるサウンドで聴ける展示等、いくつかの体験的手法が導入されている。 巡回先:①大河津資料館(新潟)、②豊橋こども未来館(愛知)、③大橋川コミュニティー センター(島根)、④宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館、⑤水辺共生体験館(岐阜)、⑥フラワ ーパーク江南(愛知)、⑦刈谷ハイウェイオアシス、⑧アクアプラザながら(三重)、⑨天 竜川総合学習館かわらんべ(長野)、⑩渡良瀬川せせら(栃木)、⑪荒川知水資料館(東京)、 ⑫国営讃岐まんのう公園(賀川) 2)企画展「雨といきもの展」 展示内容:いろいろないきものの雨との関わ り方の多様さを知り、雨とのつきあい方を考 える巡回企画展。日本の雨の特徴、雨に関す る研究成果などのパネル、雨といきものに関 する絵本展示やクイズ、雨音の楽器などの体 験展示で構成されている。注目は映像で降っ てくる雨の言葉と触れ合うインタラクティブ 展示“ことばあめ”。3匹のカエル「アマツブ楽団」と一緒に、ふだんと違った視点から雨 といきものの関わりを紹介する。絵本の展示は、開催地域の特徴を反映し、希少種等のキャ ラクターが追加され、内容が更新されるコンセプトとなっている。 巡回先:①荒川知水資料館(東京)、②渡良瀬川せせら(栃木)、③芦田川見る視る館(広 島)、④大河津資料館(新潟)、⑤大橋川コミュニティーセンター(島根)、⑥東京学芸大 学コミュニティーセンター、⑦川の駅はちけんや(大阪)、⑧遠賀川水辺館(福岡)、⑨リ バーパル五ヶ瀬川(宮崎)、⑩大淀川学習館(宮崎) 企画展「ゲリラ降雨に備えて」及び企画展「雨といきもの展」の展示ユニットを全国の水に かかわる資料館・博物館、川の駅、科学館、ハイウェイオアシス、その他関連施設22館に巡回 することができた。上記のいくつかの館ではワークショップ等を開催することもできた。展示 充実のための調査として、来場者の行動追跡調査、聞き取り調査等に加え、開催館の運営担当者 への聞き取り調査を行った結果、展示の利点や改善点、さらに、設営や運搬の効率化に資する知 3 見も得られた。また、今後の巡回に向け、既存の展示を更新・改善するための具体的な示唆が 得られた。 4)取り組みの効果 本事業は、全国各地の水にかかわる資料館・博物館に無償で展示物を貸し出す取り組みで ある。これまで資料館・博物館では、各館が独自に運営方法の改善や企画展や行事の検討を 行ってきたが、関連施設どうしが連携を図り、巡回という仕組みの中で展示物や情報を共有 していくことで、運営コストの削減、効果的な広報や集客、地域や学校への教育普及、施設 の活性化が期待できる。今年度の取り組みにより、展示の巡回、運営の方法について22館 もの現場で実際に検証し、その効果を確かめることができた。現場だけでなく、オフィシャ ルウェブサイト、facebook によるオンラインでの広報効果もあり、全国の関係組織に本事業 の取り組みを広く公開、周知できたものと考えている。 水の巡回展ネットワークオフィシャルサイト URL: http://www.a-rr.net/jp/jawanet/ 水の巡回展ネットワーク facebook URL: https://www.facebook.com/jawanet 今年度は2つの企画展ユニットの巡回を開始したため、昨年度の2倍以上の施設(22館) に対して展示を貸し出すことができた。雨と生き物展では、河川事務所や大学等の専門的な 研究成果を絵本として表現した展示や、音声をとりいれた Q&A 展示、インタラクティブ映像 展示等を導入し、新たな展示手法を広く公開することができた。展示に対する反応は調査結 果からみても有効であり、テレビや新聞に取り上げられる機会も多く十分な手応えがあった。 当初の目標は十分に達成されたものと考えている。また、絵本の展示については、九州エリ アの地域のニーズに対応し、現地との調整を図りながらアカメを題材にした展示を新たに開 発することができた。河川管理者として、国土交通省の職員数名がメンバーに入っており、 展示の企画段階から参画していたことで、展 示の公開を考えている施設の現場の状況やニ ーズの把握、展示で扱う様々なデータの収集 等を円滑に進めることができた。また、巡回 にあたっては、関東、近畿、中国、九州地方 整備局管内の事務所、また大阪府河川室等と の連携体制をとり、設営や広報に関する作業 を効率的かつ効果的に行うことができた。 4 5)今後に向けて 今年度は企画展「ゲリラ降雨に備えて」及 び企画展「雨といきもの展」の2つの展示ユ ニットを巡回したが、展示テーマの話題性か ら、展示の貸し出し依頼や相談も多く、すで に平成26年度も予約で埋まっている状況に ある。これらのことから現場におけるニーズ も確認できている。また、多くの施設に巡回 する中で、展示の効果、展示物の汎用性や耐 久性、現場のさらなるニーズも確認でき、今後の継続の可能性、新たな展示巡回の必要性も 確かめられた。次年度以降も活動を継続し、さらに質の高い展示開発、効果的な運営につい て現場との連携を図りながら検討していきたい。 ※以下、新聞掲載記事(代表的な記事) 、オフィシャル Web サイト、facebook、チラシ画像 (代表的な施設)を添付。 5 6 7 8 9 10
© Copyright 2024 ExpyDoc