査察体制はより厳しく…-2011年度マル査事績 ●脱税告発率は1割ダウン ●査察部門の人数や仕組みは? 2011年度に全国の国税局が着手した強制調査 は195件(前年度196件)と前年並みでした。が 処理件数は189件(同216件)と減少した上、検 察庁へ告発した告発件数は117件(同156件)で した。結果、通常7割を超える告発割合が61.9% と1割も落ちているのが目立ちます。 また、リーマンショック、その後の景気低迷で 脱税額は年々減少傾向にあり、告発分脱税額は4年 前(2007年度)は309億円だったのが、157億 円とほぼ半減しています。 ★査察部門には何人所属しているの? ドラマなどで多くの職員がダン ボール箱を持って企業のビルへ入 っていくシーンが流れますが、査 察では、証拠隠滅を避けるため予 告なしで同時一斉調査が原則です。 今回のレポートでは、初めて査察時の動員人数な どが公表されており、2011年の査察では、1事件 当り初日で「平均154名」が動員され、「平均43 箇所」を調査したそうです。「え、そんなに人数が いるの?」ということで調べてみました。「東京国 税局管内 税務職員名簿」で東京国税局査察部の人 数を調べると、実働部隊は査察第1部門から第36 部門まで(18から20は欠番)ある他に、総括部署 などを加えると総勢550人以上が在席する大部隊 でした。 ★削除したデータも復活できる? IT対応にも力を入れており、「システム上のデ ータの証拠保全と解析機器」を導入したと発表して います。実際PCから削除された取引収支のデータ を復元し、売上金額を解明させたケースもあると か…。「隠しても無駄だよ」という国税局の声が聞 こえてきそうですね。 ★日米同時で査察実施も可能 米国企業の日本子会社、日本企業の米国子会社な ど、日米両国で同日に査察を実施して終了-このた めに双方で情報交換する仕組み が確立しました。企業がグロー バル化するなか、調査体制も追 いつけ追い越せで、査察体制も 整備されつつあるようです。 ●毎度おなじみの脱税業種と手口とは? 告発件数が多い業種は「建設業」「商品・株式取 引」「人材派遣業」「食料卸」「情報提供サービ ス」「運送業」「クラブ・バー」の7業種。うち4 業種は前年もランクインしている注目業種です。 一方で常連だった「パチンコ業」は、ここ3年間 ランクインしていません。ただ、先日パチンコ大手 「ガイア」の40億円の脱税報道は記憶に新しいと ころ。査察ではなく税務調査での指摘のようです が、給与の水増しや役員の私的な支払を経費に計上 するなどかなり悪質で、グループ全体で10億円を 追徴されています。 脱税手段あれこれ ★人件費を外注費の科目で処理し、消費税脱税。 ★従業員から預かった源泉所得税を納税せず。 ★国内でのFX取引を海外取引にみせかけ、資金は シンガポールへ送金して隠ぺい。 ★フランスの取引先への貸付金を、支払手数料で処 理して費用計上。 不正資金の使途あれこれ ★香港の預金口座にプール、★銀行貸金庫に保管、 ★金地金の購入、★高級マンションや外車の購入、 ★貴金属、毛皮の購入、★海外カジノで豪遊 etc MONTHLY NEWS LETTER 2012.8 Copyright© Consulting Alpha, Inc. All Rights Reserved
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