第4号 【 資金三表の役割 】 平成 16 年 12 月号 資金繰り表では、資金をもっぱら『現金預金』として捉え、その収支タイミングを把握し資 金ショートを回避する資料とします。短期的な資金ショートを回避するという目的は達成され 12 月に入り、街角にはサンタクロースや雪だるまの装飾が見られるよ るものの、慢性的な資金不足の原因を把握することはできません。 うになってまいりました。とは言うものの日中は暖かな陽気の日が多く、 資金運用表では、資金を固定資金、運転資金、財務資金の3つに分けて表示することで、ど 過ごしやすい師走となっています。 こに資金不足の問題点があるかを明らかにすることができます。ただし、資金運用表では、実 今月は、『 資金の増減原則 』と『 資金三表 』について説明したい 際にいくらの資金が入り、出たかという全体の把握はできません。 と思います。 資金移動表は、資金の動きをフローとストックで総合的に捉えるものです。損益計算書と2 まず、企業の支払い能力(安全性)を 静態的安全性 と 動体的安全性 に分けて把握します。 期間の貸借対照表を利用して、 『収益・費用』から『収入・支出』を導き出すので、資金を量的 に把握することが可能となります。 静態的安全性は、一定時点における支払義務と支払手段との関係を見るもので貸借対照表によ り分析されます。代表的な数値が 流動比率 です。有名な比率ですが、一時点のものであり、 資金の流れを把握することはできません。 これに対し、動体的安全性は、一定期間における収入と支出の関係を通じて支払能力があるか どうかを判定する方法です。その分析を行う資料として、 資金繰り表 ・ 資金運用表 ・ 資金移 動表 (以上資金三表)、さらにキャッシュフロー計算書があります。 資金三表にはそれぞれ作成目的があり、また、長所・短所があります。これらの資料をうま く組み合わせ分析していくことで、短期的な資金不足の回避と長期的な対策を立てることが可 能となります。 また、キャッシュフロー計算書というものがあります。資金三表はあくまでも内部資料とし て作成するもので、外部公表用ではありません。貸借対照表や損益計算書ではわからない企業 のキャッシュフロー開示の必要性から、公表用の財務諸表として作られることになりました。 ・資金繰り表 ・・・ 短期的資金の収支管理を目的とします。掛取引の条件などを正確に把握する必 要があり、基本的に社内の者のみ作成可能な資料です。 ・資金運用表 ・・・ 2期間の貸借対照表を比較し、資金の調達と運用を整理し、企業資金の全体的 資金の問題は会計上の利益以上に関心が高いことと思います。資金増減原則を理解し、資金 についての資料を分析していくことで、中・長期計画策定の指針となっていくものと思います。 な動きを示します。 ・資金移動表 ・・・ 貸借対照表と損益計算書を結びつけて資金収支をとらえます。 編集後記 ・キャッシュフロー計算書 ・・・ 一会計期間におけるキャッシュフローの状況を『営業活動』 ・ 『投 資活動』・『財務活動』に区分し、その残高を表す財務諸表です。 今回は、マネジメント倶楽部、ホームページからの記事の解説に代えて資金関係の記事にして みました。紙面の都合で、詳しい解説まではできませんでしたが、ご質問等あれば遠慮なく事務 【 資金増減原則 】 所の方までお問い合わせください。 さて、今年も残すところ1ヶ月。今年1年本当にありがとうございました。 Ⅰ.資金は、利益で増加し、損失で減少する。 来年が皆様にとってよい年になりますように。 Ⅱ.資金は、仕入債務の増加で増加し、仕入債務の減少で減少する。 Ⅲ.資金は、在庫の増加で減少し、在庫の減少で増加する。 年末年始休業のお知らせ Ⅳ.資金は、売上債権の増加で減少し、売上債権の減少で増加する。 年末年始は、12 月 30 日(木)から1月4日(火)までお休みをいただきます。 Ⅴ.資金は、非資金費用(減価償却費・引当金)で増加する。 皆様よい年をお迎えください。
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