当院で救命しえた外陰部壊死性筋膜炎の1例

【一般口頭発表】
14:30~14:40
【一般口頭発表】
(第 1 会場・大ホール)
医療と介護の質及び安全Ⅰ
その他
当院で救命しえた外陰部壊死性筋膜炎の 1 例
14:40~14:50
(第 1 会場・大ホール)
医療と介護の質及び安全Ⅰ
看護部門
看護記録導入による意識の変化と今後の課題
~外来継続看護の重要性~
《演者》
戸塚共立第 1 病院
《演者》
関 洋美
1.はじめに
皮膚・皮下組織に生じた急性細菌感染が深筋膜付
近で広範囲に急激に拡大し、皮膚・皮下組織の広範囲
な壊死を来たす重篤な感染症を壊死性筋膜炎といい、
これが会陰部を中心に発症したものをフルニエ壊死・
壊疽という。1)診断・デブリードマン・全身管理が遅れる
と予後不良になる疾患である。今回当院において糖尿
病・直腸癌術後通院中にフルニエ壊死を発症した患者
に対し診断直後の早期デブリードマンを施行し、外科・
泌尿器科・形成外科・麻酔科・内分泌内科と 5 科による
集学的治療が行われ、2 ヵ月半後に在宅復帰し得た 1
例を経験したので報告する。
2.症例
75 歳男性。フルニエ壊死と診断される 2 週間前に排
尿困難にて当院泌尿器科受診しフォーリーカテーテル
挿入され直腸癌術後であったため外科と協議の上抗生
剤を処方され帰宅。1 週間後の再診時炎症反応上昇認
めたため、抗生剤変更した。再受診時、陰茎・陰嚢部及
び下腹部に赤黒い変色を認め、陰嚢部より悪臭を伴う
排膿を認めた。体温 38.0℃、血液検査で WBC12100
/μl、CRP34.4mg/dl と高度の炎症所見を認めた。
既往歴に 20 年来の糖尿病あり自己インスリン注射を使
用していたが、体調不良によりインスリン注射行えてお
らず血糖値 542、HA1C NGSP8.2 とコントロール不良
であった。単純胸腹骨盤部断層写真において両側陰
嚢部より腹壁皮下に広範囲な気腫を認めフルニエ壊死
と診断された。同日外科・泌尿器科において会陰部か
ら下腹部にかけてデブリードマンを施行、開放創とし
た。翌日より形成外科により創管理が行われ、麻酔科に
創部洗浄時の疼痛管理を依頼し、内分泌内科には血
糖コントロールを依頼した。外科は主に全身管理及び
各科の橋渡し役として主科を担った。
3.考察
今回、早期診断・早期デブリードマン施行後、専門科
がそれぞれの役割を担い 1 人の患者を診るという集学
的治療=チーム医療を行ったことで死亡率の高い疾患
を救命し得た。
重症疾患に対し、チーム医療の大切さ、患者にもた
らされる有益さを経験した。
第 53 回TMG学会
八王子山王病院
天野 令子
1.目的(はじめに)
近年、医療依存度の高い患者が増加し、外来看護
が多様化している。そのため、患者個々のニーズに対
応した質の高い外来看護の必要性が求められている。
地域に密着した医療を提供する A 病院外来では、患者
が療養・社会生活を円滑に送れるよう継続的に支援し
ていくために、看護記録を導入した。看護記録を導入し
たことで、患者情報が共有され、次の看護に活かすこと
ができた。看護師の役割意識の変化や、看護記録の重
要性の再認識、記録を行う上での課題が明らかとなっ
たのでここに報告する。
2.方法(内容)
研究対象:外来看護師(看護師 9 名、准看護師 6 名)
医師事務作業補助者 8 名(以下クラーク)
医療依存度の高い患者 28 名
研究方法:
1、継続看護が必要と判断した患者に対し情報シートを
作成する。以後受診に記録する。
(看護師が同席できない場合は、クラークが診療時の医
師との会話などを伝達記録)
2、全ての来院日数を 100%とし、実際に行われた看護
記録の割合を診療科ごとに調査する。
3、調査前後、意識調査を行う。
3.結果(結論)
来院時に実際に行われた看護記録の割合
内科:15 名(実施割合 74%)外科:2 名(実施割合
44%)乳腺:11 名(実施割合 55%)
意識調査:情報が共有された 68%:意識が変化した
37%:知識を高めたい 84%:外来看護にやりがいを感じ
る 74%
4.考察
クラークが、配置されている科は記録実施割合が高
く、他職種の協力が外来看護記録の継続に必要であ
る。記録を導入し、看護記録で情報が共有でき、患者
の問題点が分かりやすくなり、外来看護への充実感や
意識の変化につながった。しかし、継続看護の重要性
が再認識される一方で、限られた時間での記録に不安
や負担があるのも事実である。
実践された看護を記録でつなげていくため、外来環
境を整備し、看護実践力や看護記録力の強化を今後
の課題とする。