手稲市民公開講座 Stop the 慢性腎臓病 (第 7 回)について 講演 1 食塩と高血圧 ~自分の食塩摂取量を知る方法~ 講師 医療法人社団 手稲ネフロクリニック 院長 向 博也先生 講演 2 慢性腎臓病と生活習慣 ~腎臓に良い食事と運動は?~ 講師 北海道医療センター 腎臓内科 科長 山村 剛 先生 まず、手稲ネフロクリニック 院長 向 博也先生 が、 「食塩と高血圧 ~自分の食塩摂取量を知る方法~」 というタイトルで講演をされました。 日本では、65 歳以上の男性の約 55%、女性の約 40%が高血圧であり、国民総医療費の約 3 割が高血圧の治療に 費やされています。高血圧は、脳血管障害、心臓病などを引き起こしますから、これらにかかる医療費にも 高血圧が責任を負っていることになります。血圧が上下する仕組みと、これに関わる食塩の影響、更に、食塩摂 取によって血圧が上がりやすい人とそうでない人の違いについて、先生自身の研究も含めて説明されました。 日本人の食塩摂取量は年々減っているものの、最近は減少が止まったか再度増加傾向であり、1 日 12g 前後と、 諸外国に比べて多いこと、血圧が正常な人は 10g まで、高血圧の人は 6g までに減塩すべきであること、ただし、 年齢やライフスタイル、服薬中の薬剤などを考慮すべきこと、急激な減塩を避けることなどの説明がありました。 自分の塩分摂取量を知る方法として、尿や食物に含まれる塩分を測定する塩分計とその使い方、さらに簡単に およその塩分摂取量を知ることができる塩分テープや塩分計算のための web site が紹介されました。 しかし、普段食べる献立に含まれるおよその塩分量を覚えておくことが重要とのことで、参加した皆さんと クイズ形式で学びました。ラーメンの中で食塩が最も少ないのは塩ラーメンだということに驚いた方が 多かったです。 次に、北海道医療センター 腎臓内科 科長 山村 剛先生が、「慢性腎臓病と生活習慣 ~腎臓に良い食事 と運動は?~」というタイトルで講演をされました。腎臓の構造と働き、慢性腎臓病を疑う自覚症状や検査所見、 慢性腎臓病の進行の過程について説明されました。 食餌療法の基本は減塩、蛋白制限、リン制限、 カリウム制限であり、その患者様の慢性腎臓 病の原因疾患や進行状況に即して考えるべき であること、過度の減塩や蛋白制限は体力低 下を招きかねず、特に、元々食の細い高齢者 では注意が必要であることを強調されていま した。運動についても腎機能や年齢によって 個別に判断されますが、原則的には競技スポ ーツなどの激しい運動は控えるものの、レクリエーションとしての運動は体力保持のためには有効であり、無 理に安静にする必要はないこと、しかし急に、あるいは一度にたくさんの運動を しないこと、汗に見合った水分補充をすることが重要とのお話でした。 向先生と山村先生がともに強調していたのは、食事や運動の注意はどの人も同じなのではなく、一人ひとりの 年齢、生活や身体の状況などを考慮して決めるべきであり、安易に実践せず、専門医に相談するのが望ましい、 ということでした。 参加された方々は、熱心に資料を読んだりメモを取っていらっしゃいました。また、食材や献立についての 具体的な質問、透析治療についての質問がありました。 講演後の相談コーナーでは、ご自身やご家族の検査結果を持参された方に医師や看護師がアドバイスして いました。
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