薄膜材料デバイス研究会 第11回研究集会

Annual Report No.29 2015
薄膜材料デバイス研究会 第11回研究集会
11th Thin Film Materials and Devices Meeting
H26会自19
開催日 平成26年10月31日~平成26年11月 1日(2日間)
開催地 龍谷大学 響都(きょうと)ホール 枝友会館
申請者 北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科
准教授 堀 田 將
イス研究者のための熱電変換入門~熱電変換
会議の概要と成果
の世界を拡げることができるか?~」と題して、
それぞれ講演を頂いた。
概要
薄膜材料デバイス研究会 第11回研究集会を、
2014年10月31日(金)~11月1日(土)の日程で
オーラルセッション1
開催した。今回の研究集会は「薄膜材料デバイ
オーラルセッション1「薄膜から二次元材料
スの機能と物理」をテーマとして、薄膜材料の
へ」では、まず、招待講演として東京大学の鳥
基本に立ち戻りつつ、その応用を広く俯瞰し
海明先生より「トランジスタの薄膜化から二次
議論した。セッションとしては、チュートリア
元材料への期待と課題」と題するご講演を頂い
ル、オーラルセッション1~5、ランプセッショ
た。次に、奈良先端大の野々口斐之先生から
ン、ポスターセッション1、2を設け、講演数
「塩に誘導されたn型ナノカーボンの調整」と題
としては招待講演が5件、一般講演は42件で
して、また最後に東北学院大学の目黒達也氏
あった(内28件はポスター発表)
。また、展示
から「スパッタリングにより形成した高誘電率
に8社、およびアブストラクト集への広告に7社
膜をゲート絶縁膜とするCLC低温poly-Si TFT」
の協賛を頂いた。以下に、各セッションを簡
と題して講演があった。
単に紹介する。
オーラルセッション2
チュートリアル
オーラルセッション 2「Ⅳ族系次世代デバ
研究会初日午前中に行ったチュートリアル
イス」では、招待講演1件を含めて3件の口頭
講演では、現在、エナジーハーベスティングと
発表があった。まず招待講演として産総研の
して注目される圧電材料と熱電変換の現状と
右田真司氏より「微細化限界(3 nm)のトラン
研究の最新トピックについて2件の講演が行わ
ジスタ動作」と題して将来に向けた微細デバ
れた。1件目は、神戸大学の神野伊策先生より
イス開発の講演を頂いた。次に、北陸先端大
「圧電薄膜技術と振動発電デバイス応用」と題
のMai Lien氏から「Application of Two-Step
して、2件目は、奈良先端科学技術大学院大学
Irradiation Method to a Large Area for Pulsed-
(奈良先端大)の中村雅一先生より「薄膜デバ
Laser Crystallized Poly-Si Thin Films on YSZ 」
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The Murata Science Foundation
と題して、また最後に、東京農工大学の中村
寺岡拓麻氏から「超高速真空蒸着法による有機
氏から「高温水熱処理によるシリコン表面の
薄膜トランジスタの作製」と題した講演後、千
パッシベーション」と題して講演があった。
葉大学の酒井正俊先生から「超音波溶融による
フレキシブル有機TFTの作製」と題して講演が
ランプセッション
あった。最後に、大阪府立大学の中道諒介氏
ランプセッションでは、まず初めに東北大
から「短チャネル塗布型トップゲート有機トラ
学未来科学技術共同研究センター教授の小柳
ンジスタの移動度改善」と題して講演があった。
光正先生より「三次元スーパーチップLSI拠点
(GINIT)の世界戦略」と題して、1時間のご講
オーラルセッション4
演を頂いた。引き続き、投稿論文から選ばれ
オーラルセッション4「酸化物材料・デバイ
た2件のトピックスが発表された。1件目は広
ス」では、招待講演1件を含めて3件の口頭発表
島大学の赤澤氏から「メニスカス力局所転写技
があった。招待講演として、ソニー株式会社
術を利用したガラス基板上単結晶シリコン薄
の西山優範氏より「有機EL駆動向け自己整合
膜トランジスタの作製」と題して、2件目に北
型トップゲート酸化物TFT技術」と題して、ご
海道大学の片瀬氏から「電解誘起水素化による
講演を頂いた。一般講演では、まず東京工業
VO2薄膜トランジスタの金属-絶縁体相制御」と
大学(東工大)のTang氏から「Annealing Effects
題して講演があった。
of Subgap States in Vacuum-deposited a-In–Ga–
Zn–O Examined by Hard X-ray Photoemission
オーラルセッション3
Spectroscopy」と題して、次に同じく東工大の
オーラルセッション3「有機材料・デバイス」
石川氏から「不純物水素及び弱結合酸素がアモ
では、有機トランジスタの表示デバイス応用や
ルファスIn-Ga-Zn-O薄膜トランジスタに与え
プロセス開発、特性改善に関して、1件の招待
る影響」と題して講演があった。
講演、3件の一般講演があった。
招待講演として、NHK技研の藤崎好英氏より
オーラルセッション5
「フレキシブル基板上への有機TFTアレイの作
オーラルセッション5「夢のデバイス」では、
製とディスプレイ駆動への応用」と題して、ご
3件の一般口頭発表があった。初めに、奈良先
講演を頂いた。一般講演では、奈良先端大の
端大の伊藤氏から「フレキシブル熱電デバイス
実行委員長の黒木伸一郎(広島大)によるオープニング
小柳光正先生(東北大)による招待講演
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Annual Report No.29 2015
を目指したカーボンナノチューブの紡糸と熱電
開催された。一般口頭講演者および一部招待
特性」と題して、次に同じく奈良先端大の中野
講演者を含め、計46件のポスター発表がなさ
氏から「イオン性ポリマー中の単層カーボンナ
れた。セッションの冒頭には、ポスター発表
ノチューブにおける分散性の向上と増強ゼー
のみの講演者による、1分間のショートプレゼ
ベック効果」と題して、最後に龍谷大学の門目
ンテーションが行われ、その後、ポスター会場
氏から「薄膜デバイス技術を用いた周波数変調
にて活発な議論が行われた。
方式人工網膜⊖低照度検出およびワイヤレス駆
研究分野として、
「有機材料・プロセス・デ
動への試み⊖」と題して講演があった。
バイス」
、
「酸化物材料・プロセス・デバイス」
、
「無機半導体材料・プロセス・デバイス」とい
ポスターセッション
う一応の分類を設けたが、複数の分野にまた
ポスターセッションは、研究集会初日の16:
がり分類が困難な講演も多く見られ、分野に
40⊖18:20、および二日目の13:50⊖15:20に
とらわれずに研究が発展している様子が感じら
れた。材料としては、従来検討されている多結
晶シリコンやゲルマニウム、各種有機材料の他、
グラフェンやSiCなどのIV族材料、FeS 2 やSnS
などの硫化物の研究にも進展が見られた。応
用としては、熱電素子や縦型有機薄膜デバイ
スに関する研究が、特に興味を引いた。
今回の研究会では、
(公)村田学術振興財団
から助成を頂いた。また13社の協賛企業から
も多大なご支援を頂いた。この場をもって御
ポスターセッション(右)及び展示(左)の様子
礼申し上げる。
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