(第 8 回日本在宅薬会(2015 年 7 月, 千葉)にて発表)

在宅療養に移行する患者に対する保険薬剤師と病院薬剤師の連携
金谷法好 1), 小川智弘 2), 高柳論也 3), 渡邉基之 3), 常世田京子 1), 長谷川佳孝 1),
月岡良太 1), 森澤あずさ 1)
1)
株式会社アインファーマシーズ
2)
オリーブ薬局
3)
東京女子医科大学八千代医療センター 薬剤部
【目的】患者が住み慣れた地域で在宅療養を行うためには、院内治療と在宅療養の両者間
でのシームレスな連携体制が重要である。しかしながら在宅医療における主な治療が薬物
治療であるにも関わらず、保険薬剤師と病院薬剤師の連携、すなわち薬薬連携についての
議論は少ない。従来の薬薬連携は勉強会や情報提供等、病院が保険薬局に一方向で実施す
る形態が多かった。そこで我々は在宅療養における患者ケア向上に寄与する薬薬連携の確
立のため、八千代在宅薬薬連携協議会を立ち上げ、病院と保険薬局が双方向で情報共有で
きる連携手段の実施・検証を試みた。
【方法】直接的連携として対象患者の退院が決定した際、病院薬剤師より連絡を受けた保
険薬剤師が病院へ訪問し、情報提供用紙の内容、入院中の治療経過、ADL 状況、在宅療養
の注意点、使用していた薬剤、医材および衛生材料などを退院時共同カンファレンスもし
くは入院中の患者と面談することで確認。在宅療養へ移行後は保険薬剤師から病院薬剤師
へ訪問薬剤管理指導報告書を用いて情報提供。
【結果】直接的連携は薬物療法の個別最適化および患者ケアへの質の向上に繋がった。ま
た、在宅療養情報を後方支援病院の薬剤師へ随時提供したことで、様態急変時に救急外来
へ受診もしくは入院した場合の在宅療養情報不足が解消できた。
【考察】双方向性のある情報共有は、病院や保険薬局の垣根を越えた薬剤師同士のシーム
レスな連携体制が構築できる。人が住み慣れた地域で暮らし続けられる社会の実現には、
個別最適化された治療やケアが必要である。シームレスな薬薬連携は、これら社会の実現
に有効な手法の一つであると考えられる。
(第 8 回日本在宅薬会(2015 年 7 月, 千葉)にて発表)