ドレッシング材の院外処方による在宅褥瘡治療の一例

ドレッシング材の院外処方による在宅褥瘡治療の一例
中橋未貴 1), 田淵裕太 1), 伊藤弘樹 1), 北川恵子 2), 間宮直子 2), 崎山眞記子 2),
赤木佐千子 3), 大西博文 3), 長谷川佳孝 3), 月岡良太 3), 森澤あずさ 3), 大石美也 3)
1) 株式会社アインファーマシーズ アイン薬局 吹田店
2) 社会福祉法人 恩賜財団 大阪府済生会 吹田病院
3) 株式会社アインファーマシーズ
【目的】2014年診療報酬改定において、保険薬局で供給できる特定保険医療材料に皮膚欠損用創傷
被覆材(ドレッシング材)が追加された。この改定により、患者は在宅にて入院時と同じドレッシング材
を用いた褥瘡治療を保険給付で受けることができるようになり、患者QOL向上に大きく貢献できると
考えられる。今回は、当薬局にて実施した在宅褥瘡治療への取り組みとその一例から、ドレッシング
材の院外保険給付の有用性について考察した。
【方法】2014年10月、当薬局からドレッシング材を院外処方箋で交付するにあたり、皮膚科医や看護
師、病院薬剤師等と共にドレッシング材の院外保険給付の円滑化を目指した検討会を立ち上げた。
検討会立ち上げ数か月後、在宅での褥瘡治療を希望した患者に対してドレッシング材の院外保険給
付を実施した。数回の検討会にて各職種間での情報交換を行い、院外処方箋化の効果や症例など
について検討した。
【結果】通常、ドレッシング材の交換、薬剤の塗布、再発や悪化の早期発見などの重度褥瘡治療を家
族中心で実施することは難しい。しかし、入院時と同様のドレッシング材を院外保険給付できたことで、
入院時と同様のケアを継続できた。院外処方されるドレッシング材は従来のものより取扱いが容易で
あり、交換時期が分かりやすく浸出液の吸収量も増加している等、治療をサポートする訪問看護師の
負担も大きく軽減された。
【考察】入院時に使用していたドレッシング材を院外保険給付できたことにより、入院時と同等の褥瘡
治療を在宅で続けられるようになり、患者やその家族の精神的負担や医療費負担を軽減することが
できたと考えられる。今後は、ドレッシング材に限らず、その他の特定保険医療材料も保険薬局より患
者に供給することができれば、在宅治療における患者QOLの向上により貢献できると考えられる。
(第 9 回日本薬局学会(2015 年 9 月, 横浜)にて発表)