在宅緩和ケアにおける多職種間での情報共有の重要性 島村理瑛 1), 菅野愛 1), 金谷法好 2), 常世田京子 2), 長谷川佳孝 2), 月岡良太 2), 森澤あずさ 2), 高柳論也 3) 1) 株式会社アインファーマシーズ アイン薬局 新八千代店 2) 株式会社アインファーマシーズ 3) 東京女子医科大学八千代医療センター 薬剤部 【目的】在宅緩和ケアでは、患者 QOL 向上にむけて医師や看護師、薬剤師、その他の職種 が連携し、対応する必要があるため、多職種間での情報共有が必要となる。今回は、訪問 薬剤師の立場から多職種間情報共有の実例を検証し、今後の連携について考える。 【方法】在宅緩和ケアに移行した患者に関して、病院薬剤師から入院中の薬物治療経過を、 訪問医師(訪問医)から診察時の状態や説明内容を、訪問看護師(訪看)からバイタルや レスキューの使用状況などを情報共有した。また訪問薬剤師として、薬剤使用量と疼痛コ ントロールの状況、副作用状況などを訪問医や訪看にフィードバックした。 【結果】患者はレスキュー舌下錠の使用に不安を感じていたが、病院薬剤師から入院中は 未使用であったことを共有しており、使用方法などを説明することで不安なく適切に使用 できるようになった。病状の進行で舌下錠が服用困難となった際には、訪問医へ持続注へ の切り替えと投与量の調節を提案でき、疼痛コントロールに貢献できた。また、家族は麻 薬が死期を早めると誤解していたため、訪問医の説明内容に沿って再説明し、誤解と不安 を解消できた。 【考察】在宅緩和ケアでは、突発する課題へのケアを要求されるため、日常的な多職種間 情報共有が重要と考えられた。今回、訪問薬剤師として発生した課題に適切に対応し、患 者 QOL 向上と家族の精神的ケアに貢献できた。訪問薬剤師の服薬管理の視点からは、現処 方や服薬状況に関係する入院時の服薬状況などの情報が必要となり、病院薬剤師との連携 が重要と考えられた。また、訪問中得られた情報に薬学的視点からの提案を加えて他職種 へ発信することで、薬物治療の安全確保に貢献できると考える。 (第 8 回日本在宅薬会(2015 年 7 月, 千葉)にて発表)
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