ストップ! 動脈硬化 - 長野メディカルサポート

ストップ! 動脈硬化
1.検査値とリスク
動脈硬化は進行しても自覚症状はほとんどなく、ある日突然、心臓や脳の病気として現れ
ます。そのため、動脈硬化を助長する「脂質異常症」は放っておいてはいけないのです。
例えば、冠動脈疾患の危険因子は、脂質異常症だけではありません。
「喫煙」、
「高血圧」
、
「糖
尿病」
、
「慢性腎臓病」
、などの病気や、加齢(男性 45 歳・女性 55 歳 以上)
、性別(男性)
も危険因子になります。
脂質異常症の目標値
LDL コレステロール
危険因子によって決まる
HDL コレステロール
中性脂肪
40 ㎎/dL 以上
150 ㎎/dL 未満
Ijyou
LDL コレステロールの目標値の決め方
冠動脈疾患を
Ijyou
はい
100 ㎎/dL 未満
起こしたことがある
LDL(悪玉)コレステ
ロールの目標値は冠動
ふぉう
いいえ
脈疾患の危険因子をど
れくらい持っているか
下記のいずれかがある
・糖尿病
により、リスクが高い
・慢性腎臓病
・脳梗塞
・末梢動脈疾患
程目標値は厳しく設定
はい
120 ㎎/dL 未満
される。
いいえ
他の危険因がある
・冠動脈疾患での死亡リスクが高い
危険因子の種類や
数、程度によって
・HDL コレステロール値が低い
・若い頃に冠動脈を起こした家族がいる
120 ㎎/dL 未満
から
160 ㎎/未満
・血糖値が高め
2.食事で悪玉を減らそう!
脂質異常症の治療の基本は、生活習慣の改善です。血液中の脂質の値を改善できるような
食事をこころがけ、適度な運動も行うことです。喫煙している人は、直ぐに禁煙します。
生活習慣の改善を半年程続けても、血液中の脂質の値が改善しない場合は、薬を用いて値
をコントロールします。冠動脈疾患のリスクが高い場合には、最初から薬を用いることも
ありますが、治療の基本は「生活習慣の改善」です。
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★魚や食物繊維をたくさん摂る「ジャパンダイエット」
日本ではかつて、心筋梗塞による死亡率が欧米に比べて非常に低く、世界中から注目され
ました。研究の結果、日本の伝統的な食事にその秘訣があると結論づけられました。
① 肉より魚を中心にする
肉と魚は、どちらも良質なたんぱく質です。その違いは、含まれる「あぶら」の構成です。
肉の動物性脂肪には、
「飽和脂肪酸」という成分が多く含まれ、バラ肉など脂身の多い肉や、
鶏肉の皮、ベーコンやサラミなどは特に飽和脂肪酸が多く含まれておりたくさん摂ると血
液中の LDL コレステロールが増えてしまいます。
魚の脂肪には「DHA」や「EPA」などの不飽和脂肪酸が多く含まれています。たくさ
ん食べても LDL コレステロールが増える心配はなく、中性脂肪を減らしたり、血管壁の障
害を抑制する働きを持つなど、動脈硬化の進行を予防するための効果を持っています。ぶ
り、さんま、いわしなど日本の食卓には御馴染みの魚です。
ぶり
さんま
いわし
② 調理には、植物油を使う!
バターは、肉と同様飽和脂肪酸の多い動物性脂肪です。
植物油は、魚と同様不飽和脂肪酸が多く LDL コレステロールは増えません。植物油は種類
によって成分が様々ですので、1 種類に偏らず、さまざまなものを使用するとよいでしょう。
注意が必要なのは、マーガリンやショートニングといった植物油です。これらは、
「トラン
ス脂肪酸」という、化学的に合成された油です。LDL コレステロールを増やし、HDL コレ
ステロールを減らし、心筋梗塞のリスクを高めます。
③ 食物繊維を多く摂りましょう!
日本食では、海藻類、きのこ類、野菜など、食物繊維を多く含む食品がよく使われます。
食べ物に含まれるコレステロールは主に小腸から吸収されますが、食物繊維はコレステロ
ールの吸収を抑えます。
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④ 大豆、大豆製品を積極的に食べましょう!
大豆には、食物繊維が多く含まれており、食物繊維と同じく、「植物ステロール」という、
コレステロールの吸収を抑える成分が多く含まれています。また、女性の場合、大豆を多
く摂ることで、心筋梗塞を防ぐことが分かっています。これは、イソフラボンという大豆
の成分が、女性ホルモンと同じ働きをするので血管を保護するためと考えられています。
⑤ 乳製品、アルコール、お菓子などは?
コレステロールの吸収率には、個人差があるので、吸収率が高い方は摂りすぎに注意が必
要ですが、牛乳にはカルシウムなどの栄養も豊富ですので、適度にとるのがよいでしょう。
低脂肪の牛乳を選ぶなどの工夫もできます。
お菓子やアルコールを無理に我慢するとストレスがたまり、それによって HDL(善玉)コ
レステロールが減るとも言われていますので、適度に召し上がることを心がけましょう。
3.運動で善玉を増やそう!
HDL コレステロールは、食事で値を改善することができません。しかし、運動によって
HDL コレステロール値を上げることができます。
HDL コレステロールと中性脂肪は、シーソーのような関係にあり、運動によって HDL コ
レステロールが増えれば、中性脂肪は減ります。
また、LDL コレステロールは運動で減らすことができませんけれども、体中の血流がよく
なって血栓(血液の塊)ができにくくなり、血圧や血糖値をコントロールできたり、スト
レスがたまりにくくなります。
運動量の目安
速歩きや
掃除機をかけた
ジョギングなど
り、台所での作
の有酸素運動
業、を約 20 分間
1 日 30 分間以上
行えば、早歩きを
ややきついと感
15 分行ったのと
じる程度
同じ運動量に
参考:NHK テレビテキスト『今日の健康』2013.7
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