こうじ菌 ・発酵 ・驚 き・大発見!

きん
56
はっこう
おどろ
こうじ菌 ・発酵 ・ 驚 き・大発見!
Do みそくらぶ
田中美幸
み じか
みなさんの 身 近 にある「みそ」は、目に 見えない「こうじ菌」という 生き物によっ
さわ
にお
てつくられています。その「こうじ 菌」のはたらきを、手で 触 ったり、鼻で 匂 いを
かいで確かめて みましょう。
けん び きょう
そして、実際に「こうじ 菌」のすがたを 顕 微 鏡 で見て確かめます。
●準備するもの
えんぴつ
米こうじ、ビニール袋、温度計(鉛筆 についた温度計でもよい)、
スライドガラス、カバーガラス、顕微鏡、虫めがね、
スポイト、水、ピンセット(つまようじでもよい)
●体験の手順
①米こうじをビニール袋に入れて、両手を合わせるようにして約 3 分間こすります。
②熱くなってきたら、温度をはかります。25℃以上であることを確かめます。
あま
③手についた甘 い匂いや、①の袋の匂いをかぎます。
せい ぶん
かんさつ
④顕微鏡で、甘い成 分 を作りだしたこうじ菌を観察 します。
①米こうじを袋に入れて
手でこする<3 分>
②熱くなる
〈
④顕微鏡で「こうじ菌」を観察
(×200)
25~30℃
③匂いをかぐ
〉
〈
甘い
〉
●かいせつ
・①②米こうじを両手でこすりあわせると熱くなるので、変化がおきていることがわ
ま さつ
かります。こうじ菌は 25~35℃で増えて「アミラーゼ」を作ります。まず摩 擦 によ
って熱くなり、ときには摩擦したあとしばらく熱さが続くことがあります。これは
はんのう
じょう けん
発酵反応 が進みやすい 条 件 です。
たん すい か ぶつ
か すい ぶん かい
とう
・③甘い匂いが確認できます。アミラーゼが 炭 水 化 物 を加 水 分 解 して糖 を作ったとい
とう
うことです。米こうじの中には 糖 を作る生き物がいることがわかります。 また摩擦
することによって、甘い成分の存在が、よりはっきりします。
む
・④蒸 した米から甘い成分(糖)を作る生き物を顕微鏡で観察して、「こうじ菌」とい
び せい ぶつ
そん ざい
う微 生 物 の存 在 に気づきます。
① ②こうじ菌が増えるとき
こうじ菌の
はたらき
アミラーゼ
米
を作る
②
③ 糖ができる
加水分解反応
炭水化物
25~35℃
(甘い成分)
●気をつけよう
ふくろ
やぶ
・ビニール袋の米こうじを長時間こすると、 袋 が破 れて中身がでてしまいます。
・温度をはかるとき、温度計が割れないように気をつけてください。
ひょうほん
じょう はつ
・顕微鏡の 標 本 は、時間がたつと水分が 蒸 発 して観察しにくいので注意して下さい。
●くわしくしらべてみよう
・これはオリジナルの実験です。佐藤早苗・監修 / 田中美幸・作 / 石川明美・絵
しょうかい
「Do みそ新聞」12 号(2008)で 紹 介 しています。
はんばい
・米こうじは、こうじ店や、スーパーで販売 しています。
こう がく
ばいりつ
・光 学 顕微鏡では、およそ 400 倍までが観察しやすい倍率 です。
・発酵反応については、小泉武夫著
光琳(1990)
こうじ
光琳テクノブックス〈1〉「 麹 カビと麹の話」
p5~7、35~40、89~95 を参考にしてください。
・子ども向けの本は、小泉武夫監修「発酵食品の大研究」
たいしょうじっけん
PHP p29、43
た
・ 対 照 実験 として、こうじ菌がついていない米や炊 いたご飯をビニール袋に入れ、両
手で摩擦すると温度上昇を起こしますが、甘い成分は作られません。