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急性膵炎診断における膵酵素に関し
て
2010/5/25
症例
60代男性
第一病日:嘔気・嘔吐・下痢を伴う左側腹部痛が突発し、受診
。対症療法にて帰宅。
第二、六、七病日:対症療法にて帰宅。
第九病日:症状ほぼ消失したが、精査目的で入院
入院時採血
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GOT:15 GPT:9 ALP:97 γ-GTP147(H)
BUN:39.3(H) Cre:1.92(H)
Na:137 K:4.7 Cl:101
AMY: 77
CRP: 17.83(H)
WBC:5400 Hb:12.1 PLT 33.5
腹部単純CT(供覧)
• 膵腫大なし
• 膵実質内部不均一なし
• 軽度膵頭部周囲脂肪織炎のみ
腹痛の原因は??
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腹部所見は入院時点では特に異常なし。
採血ではCRP上昇あるが・・・
画像もはっきりしない。
尿管結石?急性膵炎?
第10病日:膵酵素を追加
• エラスターゼⅠ 891(H) 基準値300以下
• トリプシン 2470(H) 基準値100−550
膵炎を示唆する検査結果でした。
急性膵炎の診断基準
• 1. 上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある。
• 2. 血中又は尿中に膵酵素の上昇がある。
• 3. 超音波、CTまたはMRIで膵に急性膵炎に伴う異常所見が
ある。
• 上記3項目中2項目以上を満たし、他の膵疾患および急性腹
症を除外したものを急性膵炎と診断する。ただし、慢性膵
炎の急性増悪は急性膵炎に含める。
• 注:膵酵素は膵特異性の高いもの(膵アミラーゼ、リパー
ゼなど)を測定することが望ましい。
血液検査(2010急性膵炎GLより)
• 血中リパーゼの測定:推奨度A
• 血中リパーゼの測定が困難な場合は、血中アミラーゼ(膵
アミラーゼ):推奨度A
• 最近の報告によると、感度・特異度から血中リパーゼは血
中アミラーゼを凌駕すると言われる。
• しかし、本邦の緊急検査体制を考慮すると、迅速性の点で
は血中リパーゼが劣ることが多く、これらの報告を踏襲す
るには限界がある。
現在、臨床で測定可能な膵酵素
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血中リパーゼ(所要日数1−2)・・・翌日には出る
血中アミラーゼ(所要日数1−2)・・・当日出る
尿中アミラーゼ
P型アミラーゼ(所要日数2−5)
血中エラスターゼⅠ(所要日数2−4)
血中トリプシン(所要日数2−5)・・・3日以上かかる
血中ホスホリパーゼA2(所要日数2−5)・・・電カル上に
ない
• P型アミラーゼ・・・高アミラーゼ血症の鑑別に
は有用。急性膵炎の診断に対する有用性は定かで
はない。
• 尿中アミラーゼ・・・血中アミラーゼや他の血中
膵酵素と比較し、尿中アミラーゼに優位性はない
との報告。
• 血中トリプシン・・・高い感度が報告されている
が、迅速な測定は困難。実地臨床における急性膵
炎の診断には適さない。
• 血中ホスホリパーゼA2・・・MOFへつながる全
身臓器の炎症状態を示しているとされるが、測定
値と重症度、死亡率との有意な関連は明確ではな
い。迅速な測定は困難。
• 血中エラスターゼⅠ・・・他の膵酵素に比べ異常
高値が最も長期に持続する。発症から時間を経て
受診した際に有用。
結論
• 感度・特異度ともリパーゼが良く、アミラーゼより異常値
が持続する。しかし、結果が翌日に出る欠点がある。
• アミラーゼは、当日出るという長所があるが、異常値の持
続が短い。
• エラスターゼは、発症から時間が経った時の診断に有効。
• その他の検査も参考になる。
第84回薬剤師国家試験抜粋
問181.下図は急性膵炎における代表的な血液生化学検査値の相対的な変化を示したものである。A、Bに関する正しい組合せはどれか。
1
2
3
4
5
6
A
フィブリノゲン
リパーゼ
アミラーゼ
エラスターゼ
アミラーゼ
リパーゼ
B
アミラーゼ、リパーゼ
アミラーゼ,フィブリノゲン
フィブリノゲン,リパーゼ
アミラーゼ、リパーゼ
エラスターゼ、リパーゼ
アミラーゼ、エラスターゼ