【奨 励 賞】・【審査員特別賞】

【奨
励
賞】
・
【審査員特別賞】
氏
名
MAZULA MARY WILLIAM
(マズラ メリー ウィリアム)
国・地域
タンザニア
在日期間
4年
学 校
第一工業大学
タイトル : 日本人のやさしさ
私は,来日して,今年で4年目を迎えますが,来日してから今まで感じた日本人の印
象について話をしたいと思います。
私は,平成22年4月にタンザニアから日本に,「勉強」をするために来日しました。
来日前は,
「日本」という国は知っていましたが,人間性については,全く情報がありま
せんでした。初めて来日したとき,空港で場所が分からなくなり,困っていたとき,見
知らぬ日本人が丁寧に道案内をしてくれて,すごく感動しました。その時,
「日本人はや
さしいなあ。しかし,1 人だけやさしいからと言って日本人全てがやさしいとは,限らな
いだろう。
」と思っていました。しかし,私にとっては,知らない国で,初めての「やさ
しさ」に触れて,日本人は皆,やさしい人だと思ってしまいました。
日本は,母国に比べ,安全・安心な国です。そして,文化を守り,几帳面で,まじめ
な性格が多いように感じます。現在,霧島市に住んでいますが,
「鹿児島神宮隼人浜下り」
,
「初午祭」など歴史を感じさせる伝統行事が多く,参加する度に,日本人のやさしさを
感じることがあります。
また,姶良市姶良国際交流協会主催のイベントに参加したことがありました。そこで,
タンザニアの料理を作って振る舞いましたが,その時に参加してくれたのが,元気のよ
いおじいちゃん,おばあちゃんたちでした。そして,言葉や肌の色の違う私に,とても
やさしく言葉をかけてくれ,接してくれました。ここでも,
「やさしさ」を感じることが
できました。
ここで,もう1つ私が日本に来て,驚いたことがあります。
私は以前,財布をなくしたことがありました。中には,銀行のキャッシュカード,外
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国人登録証など大事なものが入っており,拾った人が日本人の方で,警察に届けてくれ
ました。そして,警察から「あなたの財布がみつかったよ。
」という連絡があり,取りに
行きました。警察によりますと,拾ってくれた人は名前も,住所も何も言わずに去った
そうです。すごくびっくりしました。この世の中に,このような人が本当にいるのかと
思いました。もちろん,財布の中身は,何も盗られていませんでした。ここでも,
「やさ
しさ」を感じました。これが私の国でしたら,そういうわけにはいきません。誰かが財
布を拾ったら,中身を盗んで,捨てます。もし財布に価値があれば,財布も盗むのです。
なぜ,このような行動の差が生まれるのでしょうか。それは日本人の教育だと思いま
す。小さい頃から日本人は幼稚園や小学校などに通い社会のルールを教わります。タン
ザニアでは,小さいころからお父さんやお母さんのお手伝いをしなければならなく,学
校に通える子どもは,とても少ないです。タンザニアの子どもたちに,日本の子どもた
ちと同じように,みんなに教育ができる環境を与えてあげたら,タンザニアは,大きく
変わることができると思います。
ところで,日本人は,曖昧な言葉が多いと思います。それが,人を思いやる「やさし
さ」
。これは,日本人の美徳だと聞いたことがあります。人を傷つけないように言葉を選
んで話をします。また,外国人は,
「日本人は,謝ってばかり」と不思議に感じています。
確かに謝る頻度は,他の国に比べて高いようです。軽く感謝するときも「すみません」
という言葉を使うことで,外国の人の目には,謝ってばかりのように,見えてしまうよ
うです。この「すみません」の実際の意味を,外国人に伝えるのは至難の業です。
「あり
がとう」というプラスの感謝表現がありながら,なぜ「すみません」というへりくだっ
た言葉を使うのか。
「イエス・ノー」の世界で育った私には,とても不思議な感じがしま
すが,今は慣れてきました。
今年,大学 4 年生になり,進路を決める年になります。何をするかは,現在のところ
決まっていませんが,今決めているのは,
「やさしさ」の「とりこ」になった,この日本
で就職したいということです。
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