生物による水質浄化システム の開発について 都市社会工学科 保全生態学研究室 生物浄化システムのしくみ 無土壌水面栽培法は未利用のまま放置され ている自然水域の水面にいかだを浮かべ、 その浮力を利用して、根は水中、地上部は水 面上で生育させる植物栽培方法である。 富栄養化した湖沼では初期成育促進のため の施肥をすることなく、生長量は土壌栽培に 比べて大きいことが知られている。 光合成 脱窒・分解 いかだ 成長点 富栄養化した水域 ケイ酸 微生物 カリウム 窒素 硫黄 リン マグネシウム 水面栽培のメリット 生産された有機物が除去しやすい 閉鎖系の水域の場合、有機物の除去は困難で、 富栄養化が進行 水面緑化による周辺大気の浄化、微気象の 制御。 水圏生態系の活性化 プランクトン、原生動物、水生昆虫、魚類、鳥類の 生息場所の提供 そのほかの浮島 ゼオライト、木炭、等の土壌基材や、濾過材 料を用いる浮島が盛んに開発されている。 これらの環境では根の成長と機能が制約さ れ、土壌や濾過材料を介して間接的に行わ れるので、効果が薄い。 浮島の場合、根が浮島内に収まるため、水圏 生態系の活性化、食物連鎖が成立しにくい 堀川の汚れ 生活排水 BOD160mg/ml、窒素40mg/ml、リン5mg/ml 下水処理水 活性汚泥法 水質汚濁防止法 BODは20mg/ml以下 リン、窒素については規制がない 全国での処理水に含まれる窒素は17万トン、リ ンは0.5万トンが含まれている 閉鎖水域における栄養塩と バイオマスとの関係 バイオマス N、P 収穫 微生物による分解が進み 酸素が足りない状態 酸化状態 還元状態 ヨシを用いた浄化実験 平成16年度 閉鎖系で、ヨシを用いて浄化実験を行った。 バケツのような少ない水であれば、浄化が可能。 1.2 1 リン酸 濃度(mg/l) 0.8 堀川 0.6 耐塩性あり 0.4 耐塩性なし 0.2 0 0 30 6月 7月 8月 9月 10月 11月 60 90 120 150 180 ヨシ用いた浄化実験(平成17年度) 閉鎖系による実験 無土壌水面栽培法による実験 3.5 濃度(mg/l) アンモニウムイオン濃度︵ mg/l ︶ 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 6.29 7.13 8.2 8.19 9.4 9.16 実験日 10.1 11.2 11.16 11.26 本年度は合計4回のいかだの試作を行い、堀川に浮かべた。 堀川の水は予想以上に直接的汚濁がひどく、栄養塩による富栄 養化の問題以前である可能性がある。 いかだの腐食、ゴミの堆積、植物の腐食が大きな問題となった。 本年度の結果により、もっとも安定性のあるいかだの形状が決ま りつつある。
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