10) 密度汎関数法を用いた 1 5 7 n m レジスト材料の 真空紫外域における光吸収スペクトル計算 東京工業大学大学院有機・高分子物質○安藤慎治・藤ヶ谷剛彦・上田充 電話 03-5734-2137 FAX 03-5734-2889 E-mail [email protected] 【緒言】半導体の次世代微細加工技術として期待される F2 リソグラフィー(波長 157nm)のための フォトレジスト材料開発が現在盛んに行われており、 こ の波長域で高い透明性を示す高分子基盤材料(プラット フォーム)の探索が急務となっている。われわれは、時 間依存の密度汎関数法計算(TD-DFT)が真空紫外域で の有機化合物の吸収スペクトルをどの程度再現できるか について検証するとともに、 次世代の基盤材料候補と目 されている各種材料の吸収スペクトル計算を行った。 Exptl. Calculated Absorbance 【結果と考察】分子軌道法として密度汎関数法(B3LYP) 2 を選択し、 基底関数系を広範囲に変化させて実測スペク (a) O (1.72) Calc. トルとの整合性を検証したところ、 6-311G(d)基底で化 O 合物の構造を最適化したのち6-311++G(d,p)基底で励 (b) O (0.57) 1 起エネルギー(吸収波長)と振動子強度を計算した場合 F C O O に、 実測のスペクトルを高い精度で予測できることを見 F C O CF 出した(図1)[1,2]。現在、最も注目されている基盤材料 (c) (0.92) 0 140 150 160 170 180 190 200 のひとつであるノルボルナン系化合物の実測/計算スペ Wavelength (nm) クトルを図2に示す。感光性基としてはカルボニルエス テル類が一般的であるが、 エステル基をノルボルナンに Fig. 1 Experimental and calculated spectra of unsubstituted and fluorine substituted ethyl acetates. 直接結合させると光透過性は大きく低下する。しかし(a) CF3 基を同時に導入すると、ノルボルナン単体よりも光 3 3 3 Exptl. 透過性が向上することが見出されており、計算スペクト ルはこの現象をよく再現している。 この他にもこれまで に報告されている多くの基盤材料のモデル化合物につい て光吸収スペクトルの計算を行い、 実測スペクトルとの 良い一致を得たことから、現在、この計算手法を用いて 未だ合成されていないフォトレジスト基盤材料の分子設 計と吸収スペクトルの予測を行っている[3]。 (b) Calculated Absorbance (c) (a) 2 Calc. 【まとめ】157nm用フォトレジスト基盤材料の分子設計 (1.19) CF3 (b) 段階で、 真空紫外波長域における光透過性が予測可能と O (0.93) O なったことから、新規材料探索の効率化が期待できる。 1 F (c) F 【文献】 [1] S. Ando, T. Fujigaya, and M. Ueda, Jpn. J. Appl. (0.54) Phys. 41(2A), L105-8 (2002). [2] S. Ando, T. Fujigaya, and 0 M. Ueda, J. Photopolym. Sci. Technol. 15, 559-568 (2002). 140 150 160 170 180 190 200 [3] T. Fujigaya, S. Ando, Y. Shibasaki, M. Ueda, S. Wavelength (nm) Kishimura, M. Endo, and M. Sasago, J. Photopolym. Sci. Fig. 2 Experimental and calculated spectra of Technol. 15, 643-654 (2002). norbornane and its derivatives. 高分子学会計算機科学研究会予稿集
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