密度汎関数法を用いた 157nm レジスト材料の 真空紫外域における光

10)
密度汎関数法を用いた 1 5 7 n m レジスト材料の
真空紫外域における光吸収スペクトル計算
東京工業大学大学院有機・高分子物質○安藤慎治・藤ヶ谷剛彦・上田充
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【緒言】半導体の次世代微細加工技術として期待される F2 リソグラフィー(波長 157nm)のための
フォトレジスト材料開発が現在盛んに行われており、
こ
の波長域で高い透明性を示す高分子基盤材料(プラット
フォーム)の探索が急務となっている。われわれは、時
間依存の密度汎関数法計算(TD-DFT)が真空紫外域で
の有機化合物の吸収スペクトルをどの程度再現できるか
について検証するとともに、
次世代の基盤材料候補と目
されている各種材料の吸収スペクトル計算を行った。
Exptl.
Calculated Absorbance
【結果と考察】分子軌道法として密度汎関数法(B3LYP)
2
を選択し、
基底関数系を広範囲に変化させて実測スペク
(a) O
(1.72)
Calc.
トルとの整合性を検証したところ、
6-311G(d)基底で化
O
合物の構造を最適化したのち6-311++G(d,p)基底で励
(b) O (0.57)
1
起エネルギー(吸収波長)と振動子強度を計算した場合
F C
O
O
に、
実測のスペクトルを高い精度で予測できることを見
F C
O
CF
出した(図1)[1,2]。現在、最も注目されている基盤材料
(c) (0.92)
0
140
150
160
170
180
190
200
のひとつであるノルボルナン系化合物の実測/計算スペ
Wavelength
(nm)
クトルを図2に示す。感光性基としてはカルボニルエス
テル類が一般的であるが、
エステル基をノルボルナンに Fig. 1 Experimental and calculated spectra of
unsubstituted and fluorine substituted ethyl acetates.
直接結合させると光透過性は大きく低下する。しかし(a)
CF3 基を同時に導入すると、ノルボルナン単体よりも光
3
3
3
Exptl.
透過性が向上することが見出されており、計算スペクト
ルはこの現象をよく再現している。
この他にもこれまで
に報告されている多くの基盤材料のモデル化合物につい
て光吸収スペクトルの計算を行い、
実測スペクトルとの
良い一致を得たことから、現在、この計算手法を用いて
未だ合成されていないフォトレジスト基盤材料の分子設
計と吸収スペクトルの予測を行っている[3]。
(b)
Calculated Absorbance
(c)
(a)
2
Calc.
【まとめ】157nm用フォトレジスト基盤材料の分子設計
(1.19)
CF3
(b)
段階で、
真空紫外波長域における光透過性が予測可能と
O
(0.93)
O
なったことから、新規材料探索の効率化が期待できる。
1
F
(c)
F
【文献】 [1] S. Ando, T. Fujigaya, and M. Ueda, Jpn. J. Appl.
(0.54)
Phys. 41(2A), L105-8 (2002). [2] S. Ando, T. Fujigaya, and
0
M. Ueda, J. Photopolym. Sci. Technol. 15, 559-568 (2002).
140
150
160
170
180
190
200
[3] T. Fujigaya, S. Ando, Y. Shibasaki, M. Ueda, S.
Wavelength (nm)
Kishimura, M. Endo, and M. Sasago, J. Photopolym. Sci.
Fig. 2 Experimental and calculated spectra of
Technol. 15, 643-654 (2002).
norbornane and its derivatives.
高分子学会計算機科学研究会予稿集