減損会計演習問題 〔問2〕 〔問2〕正解 この設例で、日本基準に依った場合と国際会計基準に依った場合で、減損処理の結果に違 いが生じたのは、日本基準と国際会計基準のどのような差異に由来するかを 3 点に整理して 説明せよ。 〔正解〕 1.減損損失の認識と測定の手順・方法の違い 日本基準では、減損損失の認識と測定が手続き的に区分され、割引前キャッシュフロ-が検 査対象の資産グル-プの簿価を上回った場合は、以後の減損検査手続きを踏むことなく、減損 なしと判断する。他方、割引前キャッシュフロ-が検査対象の資産グル-プの簿価を下回った ときは、ひとまず、減損損失を認識する。その上で、回収可能額(資産グル-プの使用価値と 正味売却価額を比べて大きい方)が簿価を下回るとき、その差額を減損損失として測定し計上 する。 これに対して、国際会計基準では、減損損失の認識と測定を区別せず、回収可能額が簿価を 下回るとき、その差額を直ちに減損損失として計上する。 ところで、割引前キャッシュフロ->割引後キャッシュフロ-(正味売却価額と比べる使用 価値)という関係が常に成り立つから、割引前キャッシュフロ-との大小関係で第一次的に減 損の有無を判断する日本基準の方が、割引前キャッシュフロ-を用いない国際会計基準と比べ て、減損損失を認識するハ-ドルが高くなる。 2.取得後ののれん(営業権)の会計処理の違い 日本基準では 20 年を限度としてのれんを規則的に償却するとともに、毎期、減損検査を行 うことになっている。 他方、国際会計基準では、のれんは時の経過によって不可避的に減価するとはみなされない として規則的償却は行わず、毎期、減損の検査を実施することになっている。 3.減損損失の戻し入れに関する違い 日本基準は、もともと減損損失を認識するハ-ドルを高く設定していること、戻し入れは実 務的に煩瑣であることなどを理由に、減損損失の戻し入れは不可としている。 これに対して、国際会計基準では、減損処理をしなかった場合の資産グル-プの簿価総額を 限度にして、減損損失の戻し入れを認めている。ただし、 〔問1〕の解答で計算表の脚注に記し たような制限を設けている。
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