経済刑法(熊田彰英)

経済刑法(熊田彰英)
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2、3年後期
選択必修
2単位
15回
科目内容・目標
(1) 経済犯罪に対する理解・目配りの重要性と「法的センス」の必要性
経済犯罪は、正常な企業活動や経済活動と密着した関係にあり、法律家としては、刑事司法に携わっていると
否とを問わず、いかなる犯罪類型があるのか理解し、顧問先等の関係者が経済犯罪に問われることがないよう
常に目配りをすることが重要である。また、具体的な事例等を通じて、企業活動・経済活動と経済犯罪との関わり
を学ぶことで、法律相談等を受けた際に、端緒を掴み、問題の所在を見抜き、リスク回避の方策を講じるなど、適
切な対応ができるよう「法的センス」を養うことも必要である。
(2) 実務に即したリーガル・マインドの習得
民事刑事を問わず、実務では、教科書もなく、十分な文献もない特別法の解釈適用が問題となったり、法律よ
りも政令・規則の解釈適用の方が重要な場合が少なくない。経済犯罪は、実務家による論稿が多少あるものの、
学問的には最近ようやく研究が進みつつある分野であり、また、政令・規則が極めて重要な分野である。従って、
経済犯罪に関する実例・実務を学ぶことは、文献の乏しい未知の法令について、条文等を手がかりとして解釈適
用する際の考え方(リーガル・マインド)の習得に資する。
(3) 刑法総論・各論の応用・発展
経済犯罪に関する学習は、刑法総論・各論の応用という面もある。法科大学院の最終学年における刑事法の
まとめとして、刑法総論・各論で学んだ理論・基礎知識の定着とともに、その応用・発展を図る。
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授業の基本方針
各授業に際しては事前に教員が作成したレジュメを配布し、そのレジュメに基づいて講義・ディスカッションを
行いつつ授業を進める。
各経済犯罪に対する知識を一通り網羅することを目的とするのではなく、判例等に現れた具体的な事例につ
いて、学生に詳細に検討させることで、法的思考力の定着及び法的センスの涵養を図ることを目的とする。
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成績評価
授業への参加態度等平常点を30%、刑事法に対する理解度・考察力等を30%、レポートの内容を40%として、総
合的に評価する。
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教材
(1) 教科書
芝原邦爾、西田典之、佐伯仁志、橋爪隆『ケースブック経済刑法 第 3 版』(有斐閣)
(2) 参考書
山口厚編『経済刑法』(商事法務)
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授業計画
第 1 回 経済犯罪の実相①
2000 年代以降の主要な企業不祥事の事例を素材として、それが企業や社会にいかなる影響を与えてきたか、
企業としてどのように対応するべきかなど、経済犯罪の社会における実相について考える。
第 2 回 経済犯罪の実相②
第1 回と同様の観点から、特に粉飾決算やインサイダー取引規制違反が問題となった事例を取り上げ、これら
の罪の概要を学ぶとともに、当局・取引所・企業等がどのように制度改革を試行錯誤してきたかなどを考える。金
融商品取引法の虚偽有価証券報告書等提出の罪やインサイダー取引規制の概要を学ぶ。
第 3 回 証券犯罪①
インサイダー取引規制違反が問題となった村上ファンド事件最高裁判決や粉飾決算が問題となった長銀・日
債銀事件を検討する。
第 4 回 独禁法違反
入札談合、カルテルをめぐる問題点及び近時の動向を取り上げる。
第 5 回 会社犯罪①
特別背任等の会社犯罪をめぐる問題点を取り上げ、そのうち特に特別背任罪における主体・任務違背の要件
を取り上げる。
第 6 回 会社犯罪②・金融犯罪①
特別背任罪における図利加害目的の要件を取り上げつつ、主として不良貸付け事犯について検討する。
第 7 回 会社犯罪③・金融犯罪②
主として不良貸付け事犯を中心に、特別背任罪における損害・共犯者性を取り上げる。
第 8 回 会社犯罪④
業務上横領等の会社犯罪をめぐる問題点を取り上げる。
第 9 回 会社犯罪⑤
違法配当、利益供与等の会社犯罪をめぐる問題点を取り上げる。
第 10 回 会社犯罪⑥
架空増資等の会社犯罪をめぐる問題点を取り上げる。
第 11 回 金融犯罪③
債権回収妨害事案(強制執行妨害、入札妨害等)をめぐる問題点を取り上げる。
第 12 回 情報犯罪①
情報と財物をめぐる問題点を取り上げる。
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第 13 回 情報犯罪②
コンピュータ犯罪、不正競争防止法の営業秘密保護をめぐる問題点を取り上げる。
第 14 回 外国公務員贈賄防止法制
我が国における外国公務員贈賄防止法制及び諸外国における腐敗防止法制を取り上げる。
第 15 回 経済犯罪と国際捜査
捜査共助や犯罪人引渡の具体的事例等に言及しつつ、経済犯罪・企業犯罪に対する国際捜査の現状・手続
き等を取り上げる。
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