口唇口蓋裂児出生病院で行う 早期出向看護支援の意義 口腔外科外来 熊谷由加里 2015/2/27 2 口唇口蓋裂児出生病院 出向依頼 歯科口腔外科医と看護師が出向 歯科口腔領域専門病院 早期出向看護支援 3 2015/2/27 哺乳 指導 育児 指導 精神的 支援 早期出向看護支援 3 2015/2/27 用語の定義 早期支援:専門病院看護師が児の出生病院へ出向し 提供する哺乳指導、育児指導、精神的 支援とする。 精神的支援:哺乳・育児指導児、看護師との対話に より母親が安心する援助とする。 母親の思い:母親の哺乳や育児に対する「心配」や 「安心」する気持ちとする。 5 2015/2/27 目的 早期支援があった母親と早期支援がなかった 母親の思いを調査し、「母親の心配する思い がどのくらい安心したか」と「そう思った 理由」を比較することで、早期支援の意義を 明らかにする。 6 2015/2/27 方法 調査対象:専門病院で治療を受けている口唇口蓋裂児 の母親35名。 期間:2010年9月∼2011年11月 調査方法:専門病院初診時に各人に配布した自記式質 問票に記入後、回収箱にて回収。 なお、この調査は、早期支援後2週間以内 に初心受診した母親対象である。 7 2015/2/27 調査内容 対象者の属性 母親の年齢 児の疾患名 家族歴 出生前診断の有無 早期支援の有無 8 2015/2/27 早期支援に対する母親の思い 哺乳・育児指導を行った母親の思いについて 4項目 「専用乳首で飲ますことができるのか」 「どのような飲ませ方をすれば良いのか」 「直接母乳で授乳することができるのか」 「育児で特別な配慮することはあるのか」 指導前(以下前とする)の思いは「心配」と指導後 (以下後とする)の思いは「安心」という言葉で 質問した。 9 2015/2/27 母親の思いの回答肢 指導前 指導後 1 とても心配だった 全く安心できなかった 2 少し心配だった ほとんど安心できなかった 3 ほとんど心配でなかった 少し安心できた 4 全く心配でなかった とても安心できた 10 母親が安心できた理由 a: 理解ができた b: イメージができた c:説明書がもらえた d: 不明確な内容が確認できた e: 相談できると思った 母親が受けた具体的な哺乳育児指導内容 専用乳首:「乳首の紹介」「乳首の提供」「乳首の仕組み」 育児: 「育児で特別に配慮することはない」 直接母乳:「スキンシップとして飲ませる」 「搾乳して母乳をあげる」 飲ませ方:「縦抱き」「授乳時間」「授乳中2-3げっぷ」 11 2015/2/27 精神的支援に対する母親の思い 「指導時、看護師と話をすることで安心したか?」 安心できた理由 「イメージができた」「情報が得られた」 「準備するものが分かった」 「看護師の言葉がけがあった」 「両親以外の親族にも説明があった」 「いつでも相談できると思った」 12 2015/2/27 早期支援の必要性について あり群「専門病院看護師の哺乳育児指導を受けて 良かったですか」 なし群「専門病院看護師の哺乳育児指導を受けた かったですか」 13 2015/2/27 分析方法 指導内容4項目の母親の思いに対して、指導前と指 導後それぞれにおいて、早期支援があった母親18 名と早期支援がなかった母親17名の間でMannWhitney検定を行い、有意水準を0.05未満とした。 母親が安心した理由あるいは心配した理由の a∼dを【知識の習得】 e を【心理的援助】の 2項目に分類した。 14 2015/2/27 倫理的配慮 倫理審査として、専門病院看護部の承認を受けた。 研究対象者へ研究の目的・方法と研究への協力は、 自由意志で選択でき、断っても不利益が生じないこ と、プライバシー及び個人情報保護、研究発表や論 文作成は個人が特定できないことを口頭と書面にて 説明し同意を得た。 15 2015/2/27 結果 対象者の属性 母親の 年齢 20代 30代 児の疾患 口唇 裂 口蓋 裂 家族歴 口唇 口蓋裂 7 11 3 4 11 あり 群 (38.9) (61.1) (16.7) (22.2) (61.1) 8 9 7 5 5 出生前診断 あり なし あり なし 1 17 8 10 (5.6) (94.4) (44.4) (55.6) 3 14 5 12 (29.4) (70.6) なし 群 (47.0) (52.9) (41.1) (29.4) (29.4) (17.5) (82.4) 16 2015/2/27 指導前の母親の思い 17 専用乳首(指導前) あり n=18 とても心配だった 少し心配だった ほとんど心配でなかった 全く心配でなかった n =17 なし 0% 20% 40% 60% 80% 100% 18 2015/2/27 フッター 育児 あり n=18 とても心配だった 少し心配だった n=17 なし 0% 20% ほとんど心配でなかっ た 全く心配でなかった 40% 60% 80% 100% 19 2015/2/27 フッター 直接母乳 あり n= 18 とても心配だった 少し心配だった ほとんど心配でなかった 全く心配でなかった なし n=17 0% 20% 40% 60% 80% 100% 20 2015/2/27 フッター 飲ませ方 あり n=18 とても心配だった 少し心配だった ほとんど心配でなかった 全く心配でなかった なし n=17 0% 20% 40% 60% 80% 100% 指導後の母親の思い 22 2015/2/27 専用乳首 あり 全く安心できなかった n=18 ほとんど安心できなかった 少し安心できた * とても安心できた なし n=17 0% 20% 40% 60% 80% 100% 23 2015/2/27 フッター 育児 あり n=18 全く安心できなかった ほとんど安心できなかった * 少し安心できた とても安心できた なし n=17 0% 20% 40% 60% 80% 100% 24 2015/2/27 フッター 直接母乳 あり n=18 全く安心できなかった ほとんど安心できなかった 少し安心できた とても安心できた なし n=17 0% 20% 40% 60% 80% 100% 25 2015/2/27 フッター 飲ませ方 n=18 あり 全く安心できなかった ほとんど安心できなかった 少し安心できた とても安心できた なし n=17 0% 20% 40% 60% 80% 100% 26 2015/2/27 フッター 母親が安心した理由 あり群n=18 なし群n=17 人数(%) 専用乳首 思いの理由 育児 飲ませ方 直母 あり群 なし群 あり群 なし群 あり群 なし群 あり群 なし群 知識の習得 理解できた 10 8 8 3 9 7 9 8 (55.6) (47.0) (47.0) (17.6) (50.0) (41.1) (50.0) (47.0) イメージできた 6 1 3 2 7 1 3 3 (33.3) (5.6) (16.7) (11.8) (38.9) (5.9) (16.7) (17.6) 説明書が もらえた 不明確内容が 確認できた 心理的 援助 相談できると 思った 1 1 (5.6) (5.6) 0 1 (5.9) 0 2 (11.8) 1 (5.6) 0 2 (11.8) 0 0 0 0 1 (5.9) 3 1 (16.7) (5.9) 1 3 7 7 2 7 1 3 (5.6) (17.6) (38.9) (41.1) (11.1) (41.1) (5.6) (17.6) 27 2015/2/27 表4 母親が受けた具体的な哺乳・育児指導内容 人数 (%) 専用乳首の紹介 あり群 n=18 18(100%) なし群 n=17 14(82.4%) 専用乳首の提供 11(61.1%) 11(64.7%) 専用乳首の仕組み 17(94.4%) 7(41.1%) 縦抱きの飲ませ方 14(77.8%) 4(23.5%) 授乳時間 14(77.8%) 2(11.8%) 授乳中2∼3回のげっぷ 16(88.9%) 6(35.3%) スキンシップとして直母で飲ませる 14(77.8%) 6(35.3%) 搾乳して母乳をあげることができる 14(77.8%) 11(64.7%) 育児で特別に配慮する事はない 13(72.2%) 0 指導項目 28 2015/2/27 フッター 両群全員が哺乳育児指導を通して看護師と話をし て安心したと答えていた 安心した理由 専門病院の看護師と顔みしりになれた いつでも相談できると思えた 両親以外の親族にも説明してもらえた 看護師の言葉掛けがあった 準備する物がわかった 情報が得られた なし群 あり群 イメージができた 0 5 10 15 20 29 2015/2/27 フッター 早期出向看護支援の必要性 あり群18名全員が 専門病院看護師の早期支援を受けて良かったと答 えていた。 なし群17名全員が 専門病院看護師の早期支援を受けたかったと答え ていた。 30 自由記載 あり群・優しく丁寧に説明してもらい安心した。 ・遅い時間に来てもらい感謝しています。 これからもよろしく願いします。 なし群・(出生病院)看護師さんの精神的 フォローがあり楽だった。 ・入院中、(授乳が)手探り状態だった、 専門病院看護師さんのサポートがあれば、 もっとスムーズであったと思う。 31 考察 哺乳・育児指導を行った母親について 32 2015/2/27 フッター 専用乳首 の構造・仕組み・児に合わせた 乳首の選択等、専門的な指導が必要 専門病院看護師の指導により、9割近くの 母親が知識の習得を理由に安心していた 専門病院看護師による指導は、多くの知 識を与え、母親の思いを安心へと変化さ せる有意な効果がみられた 33 口唇口蓋裂児の育児に特別に配慮することはない この説明を受けた母親:あり群13名 なし群0名 専門病院看護師による指導は正しい認識を 与え母親の思いを安心へと変化させる 34 2015/2/27 直接母乳 両群共に8割の母親が知識の 習得により安心へと変化 効果に差はない 知識の習得 精神的支援 35 2015/2/27 飲ませ方 専門病院看護師 出生病院看護師 知識の習得 知識の習得 精神的支援 精神的支援 通常の飲ませ方と大きな違いはない 2015/2/27 専門病院と出生病院の指導の効果に差はなく 両群とも母親の思いが安心へと移行した 36 精神的支援を行った母親の思い いつでも相談できると思えた 看護師と早期に対面できた 精神的フォローがあった 出生病院 看護師 専門病院 看護師 それぞれ異なる理由で安心していた 37 2015/2/27 フッター 早期出向看護支援の必要性 早期支援を受けて 良かった 早期支援を受けたかった 児の母親は早期支援を必要と思っている 38 2015/2/27 フッター 結論 1.早期支援としての哺乳・育児指導により、多く の知識を習得することで、児の母親が安心して おり、特に「専用乳首」や「育児」については 有意な効果があった。 2.早期支援の精神的支援は、いつでも相談できる と思えた事や、専門病院看護師と早期に対面 できたことで、母親は安心している傾向がみら れた。 3.児の母親は早期支援を必要としている。 39 2015/2/27 フッター ご清聴ありがとうございました 40 2015/2/27
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