先制医療における尿検査の意義

先制医療における尿検査の意義
東京大学医学部附属病院
検査部
下澤 達雄
先制医療とは?
遺伝素因
先制医療
診断、予測、治療介入
発症の遅延、防止
環境素因
発症
前期
発症
疾患進行度
検査でこんな結果を見ました
症例1 52歳女性
尿 比重1.050 pH 5.0, たんぱく (+/‐), 糖(‐)、
沈渣 尿細管上皮多数
血液生化学検査
Na 140mEq/L, K 3.6mEq/L, Cl 96mEq/L,
BUN10.7mg/dL, Cre 0.62mg/dL, UA 6.1mg/dL, AST 23IU/L, ALT 16IU/L, FBS 108mg/dl, HbA1c 6.4%
血算 WBC 4800/μL, Hb 12.6g/dL, Plt 20.5X104/μL
症例1
52歳女性、164cm 58Kg
主訴 高血圧
現病歴 50歳検診時に高血圧指摘 近医受診、少量の利尿薬、カルシウ
ム拮抗薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬を投与されるも血圧コントロー
ル不良で当科紹介
食事は減塩に気を付けている。 夜間尿1回あり。
既往歴 妊娠出産 2回、問題なし。飲酒少々。喫煙無。
家族歴 父、母ともに高血圧。兄弟は不明
身体所見 血圧162/92、脈67整。頭頚部異常なし。胸部 心雑音なし。呼
吸音清。
腹部 肝脾腫なし。腎腫大なし。腹部血管雑音なし。
下肢むくみなし。
家庭血圧 150‐160/90
この患者の問題点を考えてください。
検査でこんな結果を見ました
症例2 42歳男性
尿 pH 6.0, 比重 1.007、タンパク(3+)、タンパク/Cre 1.9g/gCre、潜血(‐)、ケ
トン(‐)、糖(‐)、沈渣赤血球 1‐4HPF, 白血球<1HPF、脂肪円柱(+)
血算 WBC 5700/μL、Hb 14.9g/dL, Ht 44.8%, Plt 29.5X104/μL
血液生化学 TP 7.0g/dL, Alb 3.9g/dL, BUN 9.8mg/dL, Cre 1.29mg/dL(1年前
0.89mg/dL), UA 6.0mg/dL, Na 143mEq/L, K 4.6mEq/L, Cl 109mEq/L, Ca 9.6mg/dL, IP 3.4mg/dL, TG 82mg/dL, TChol 250mg/dL, FPG 99mg/dL, 免疫、血清検査
C3 117mg/dL, C4 32mg/dL, CH50 29.8U/mL, IgG 879mg/dL, IgA 325mg/dL, IgM 273mg/dL, 抗核抗体<40倍、RF 9IU/mL, HBsAg (‐), HCVAb (‐)
症例2
42歳男性。30歳代から高血圧、尿蛋白陽性、
健康診断で心肥大指摘。近医よりアンジオテン
シン受容体拮抗薬と利尿薬で血圧コントロール
されるが徐々に腎機能悪化。
家族歴にたんぱく尿、腎不全あり。
飲酒なし。喫煙なし。
身体所見 170cm, 78Kg, 血圧 130/72mmHg
脈54、不整あり。
この患者の診断は?
検査でこんな結果を見ました
症例3
65歳男性
尿 pH 6.0, 比重 1.020、タンパク(+/‐)、albumin/Cre
120mg/gCre、潜血(‐)、ケトン(‐)、糖(‐)、沈渣赤血球 1‐4HPF, 白血
球<1HPF
血算 WBC 3600/μL、Hb 11.9g/dL, Ht 41.8%, Plt 24.3X104/μL
血液生化学 TP 7.0g/dL, Alb 4.2g/dL, BUN 9.8mg/dL, Cre
1.02mg/dL, UA 7.6mg/dL, Na 143mEq/L, K 4.9mEq/L, Cl 109mEq/L, TG 82mg/dL, TChol 250mg/dL, FPG 109mg/dL, HbA1c 7.3%
症例3
• 65歳男性。
健康診断で糖尿病疑い、尿蛋白陽性のため
精査来院。
家族歴 なし。 飲酒あり。喫煙あり。
身体所見 168cm, 76Kg, 血圧 150/92mmHg
脈64、不整あり。浮腫なし。胸部所見特記すべ
きこと無し。神経所見 特記すべきこと無し。
この患者で必要な検査は?