要望書(PDF) - リンパ浮腫療法士認定機構

平成 27 年7月4日
厚生労働大臣
塩崎泰久 殿
要望書
「リンパ浮腫治療に係る保険適用のお願い」
日本脈管学会理事長
重松
宏
今治第一病院名誉院長
加藤逸夫
四国がんセンター副院長
谷水正人
神奈川衛生学園専門学校学校長 新井恒紀
がん治療に伴うリンパ節切除や放射線療法を受けたすべての人が、
「リンパ浮腫」を発症する可能性があり、蜂窩織炎などの合併症により重
症化することも少なくありません。がん術後に発症するリンパ浮腫患者は年間 6,000 人を超え、明らかになっている原発性リンパ浮腫患者は、
3,500 人に上っております。患者さんの中には、自身の体形変化や活動的日常生活の喪失などにより、社会生活から退いてゆく人も多くみられ
ます。しかし、早期から的確な診断および個別に応じた治療・指導により、これらを回避することが期待できます。それにはリンパ浮腫治療の
保険適用は極めて重要であります。次回、診療報酬改定においては、リンパ浮腫の治療について保険適用して頂きたくお願い申し上げます。
記
1.リンパ浮腫療法士の技術料(複合的理学療法)の評価について(新設)
1)続発性および原発性リンパ浮腫に対し行われる複合的理学療法について保険適用を要望。
2)続発性リンパ浮腫患者は、がん術後に限定せず、二次的に発症するリンパ浮腫の全てに対し行われる複合的理学療法について保険適用
を要望。また、保険適用対象がんの種類を限定しないこと。
3)複合的理学療法を施術することのできる者の要件
リンパ浮腫療法士(一定の国家資格を有する者であってリンパ浮腫治療に関する専門知識と技術を有する者として認定を受けた者)が、
各々のもつ国家資格の業務範疇に基づいて連携し、リンパ浮腫を発症する可能性のある患者及び発症した患者に施術を実施した場合に
評価することを要望。
2.リンパ浮腫指導管理料について(適用拡大)
1)対象疾患の限定撤廃
子宮悪性腫瘍・子宮附属器悪性腫瘍・前立腺悪性腫瘍又は腋窩部郭清を伴う乳腺悪性腫瘍以外の疾患手術及びセンチネルリンパ節郭清
の場合でも、リンパ浮腫の発症が有るため、現行の保険適用対象疾患の限定を撤廃することを要望。
2)指導時期の延長
現在、リンパ浮腫指導管理料は、退院した日の属する月又はその翌月に限って保険適用されているが、患者の病態応じて適切な時期に
指導管理することが望ましいので、「その翌々月まで」に延長することを要望。
3)対象時期の限定撤廃
2008 年 4 月保険適用以前にリンパ浮腫を発症した患者についても保険適用することを要望。
3.四肢のリンパ浮腫治療のための弾性着衣に係る療養費の支給について(適用拡大)
1)支給対象者の拡大
(1)原発性リンパ浮腫患者は、がん術後患者のリンパ浮腫と同様の症状があり、リンパ浮腫療法士による治療により改善されるため、
保険適用の対象とすることを要望。
(2)現在、適用対象外となっている消化器がんや頭頚部がんなどの術後にリンパ浮腫を発症した患者についても、適用対象とすること
を要望。
(3)上肢よりも発症率の高い下肢リンパ浮腫患者に対して、現行の弾性ストッキングに加えて
「フットキャップ」を適用対象とすることを要望。※上肢では、弾性スリーブ以外に「グローブ」が適用対象となっている。 以上