一人一人のがんの特徴を浮き彫りにし 最適な治療法へと導くがんゲノム検査 MSK-IMPACT テーラーメッド株式会社 TailorMed, Inc. はじめに ― がん細胞の遺伝子情報の重要性 がんは、従来、発生した場所や、顕微鏡での見た目、がん細胞の形(どの正常細胞に類 似するか)によって分類され、特性を調べられてきました。 例えば、肺に発生した場合は肺がん、がん細胞が肺の扁平上皮細胞に類似していれば 扁平上皮がん、腺組織とよばれる上皮組織に類似していれば腺がんと分類されます。 しかし、同じ「腺がん」や「扁平上皮がん」として分類される肺がんでも、抗がん剤に対する 反応 (感受性)は様々です。原因の一つとして、従来の分類上は同じがんでも、中身(性 質)が異なる可能性が指摘されています。 この「がんの性質」を決定しているのは、「遺伝子」と呼ばれる細胞の設計図です。 したがって、従来の方法によるがんの分類に加えて、がん細胞の持つ遺伝子の情報が、 それぞれのがんの特性を知る重要な手掛かりになります。 がん細胞の遺伝子情報を知るメリット ― 分子標的治療とは がん細胞の遺伝子情報を知ることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。実は、がん細胞の遺伝子 情報を知ることで、治療効果が予測できるようになる抗がん剤が知られています。その代表例が、分 子標的薬と呼ばれる抗がん剤です。 分子標的薬とは、ある特定のがん細胞だけにとりわけ多くみられる分子のみを標的として効果を発揮 するよう設計された抗がん剤です。このような分子標的薬による治療を、分子標的治療と呼び、近年数 多くの分子標的薬が開発され、様々ながんに対して効果を示しています。 従来の抗がん剤は、正常細胞を含む全ての細胞を攻撃するように設計されています。他方、分子標的 薬は、がん細胞だけに強く作用するよう設計されているため、副作用をより少なく抑えながら治療効果 を高めることができると期待されています。 分子標的薬は、標的分子が対象である患者のがん細胞に存在しないと効果を発揮できません。その ため、分子標的治療では個々の患者のがん細胞の遺伝子情報を知ることが極めて重要になります。 分子標的薬の ピンポイント作用 腫瘍細胞 正常細胞 従来の抗がん剤の作用 MSK-IMPACT検査とは ― 全米第1位のがんセンターによる最新式遺伝子検査法 ― MSK-IMPACT検査は、ニューヨーク市にあるメモリアルスローンケタリングがんセンター (MSKCC)で生まれました。このがんセンターは、2014年度の全米No.1がん専門病院に選 ばれたがん専門の病院です (U.S. News & World Report調べ)。 そのような技術力も信頼度も世界最高レベルに高いがん専門の病院で2014年4月から開 始された最新のがん遺伝子検査が、MSK-IMPACT検査です。 MSK-IMPACT検査では、最新の機械を使って、個々の患者のがん細胞が含みうる341個 のがん関連遺伝子の遺伝子情報を調べます。 MSK-IMPACT検査の特徴 がん細胞の遺伝子情報を調べる検査には様々なものがあり、MSK-IMPACT検査以前 から実用化されています。しかし、従来の検査の多くは、1回の検査につき1個の遺伝 子情報を検出するだけのものでした。 MSK-IMPACT検査では、1回の検査で341個のがん関連遺伝子情報を調べることができ ます。この341個の遺伝子のうち、約40の遺伝子に関しては、既にその分子を標的とし た抗がん剤が存在しています。 未認可の抗がん剤などもを含めれば、更に多くの分子標的薬による治療の可能性を 知ることができます。 つまり、MSK-IMPACT検査は、膨大な量のがん関連遺伝子情報を一度に調べることで、 従来の検査よりも手軽に、個々の患者ごとに抗がん剤の効果を予測することを可能に します。また、MSK-IMPACT検査によって、有効であることが予測される抗がん剤が新 たに見つかる可能性もあります。 具体例: 肺がんの場合の 従来の遺伝子検査モデル図 従来の遺伝子検査 ALK 融合遺伝子 あり 約3-5% 分子標的治療薬 EGFR 融合遺伝子 あり 約30% ALK チロシンキナーゼ 阻害薬による治療 または 従来の抗がん剤 による治療 EGFR チロシンキナー ゼ阻害薬による治療 従来の抗がん剤 による治療 または 従来の抗がん剤 による治療 例えば、肺がんの場合、従来の遺伝子検査では全体の約35%にしか遺伝子変異を検出でき ませんでした(上記モデル図参照)。 これに対し、MSK-IMPACT検査では、肺がんの場合、90%以上の患者についてがん関連遺伝 子における遺伝子変異を検出することが可能です。加えて、既に実用化されている分子標的 薬が標的とする遺伝子に関する何らかの変異については、約85%の患者について検出する ことができます。 もっとも、検出した遺伝子変異に対応する分子標的治療薬の効果には個人差があり、対応す る分子標的治療薬が必ず治療に結びつくことを保証するものではありません。そうであっても、 より効率的に適切な治療を受けるために、より多くの遺伝子情報を得てそれぞれのがんの特 徴を正確に判定し、その上で投与する分子標的治療薬を決定することがとても重要なのです。 MSK-IMPACT検査の流れ 受付・ご相談 お申込み・通院中の病院からの検体取り寄せ 代金のお支払 MSKCCへ検体の送付 検査実施(MSKCC) MSKCCから弊社に結果送付 約5〜6週間 弊社が翻訳を付した検査結果をご指定の医師に報告 報告書を受領した医師から患者に 結果の説明と今後の治療方針の決定 ※MSKCCの病理医が検査結果を厳密に審査するので、検査の高い信 頼性が保証されます。 ※英語で作成された結果報告書に弊社が翻訳を付し、ご指定の医師 にわかりやすく報告いたします (原本も送付いたします)。 費用・ご注意事項 MSK-IMPACT検査は、日本の保険診療の対象ではありません(自由診療)。その ため、検査料及び検査仲介料は全額自己負担となります。また、検査機関が米 国にあるため、米ドルで費用を提示させていただいております。 MSK-IMPACT検査 一検査あたり$4,300 (税別) 費用には、以下の内容が含まれます。 弊社からMSKCCへの検体送付 MSKCCによる検査実施 MSKCC病理医による検査結果の審査・診断 弊社による検査結果の翻訳 弊社からご指定の医師への結果報告書送付 ※検体の保存条件によってDNA分解等が起こり、遺伝子検査を行うことができない場 合があります。この場合、新たな検体を取得・送付することで検査を行うことが可能な 場合もございます。MSK-IMAPACT検査の実施まで至らなかった場合でも、検体の品質 分析にかかった費用についてはご負担いただきます。あらかじめご了承ください。
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