共通特論Ⅱ:臨床腫瘍学各論 肺癌 講義日:平成27年10月31日 講 師:倉田 宝保(関西医大) 要旨 現在、我が国の死亡原因の第 1 位は悪性新生物によるものであり、肺癌はその 中でもっとも多くの死亡の原因となっている。多くの肺癌症例は見つかったと きにはすでに進行しているケースが多く、また、効果の高い薬物療法も存在し なかったことが予後不良の原因と考えられていた。20 世紀後半にプラチナを含 む 2 剤併用療法(第 3 世代抗癌剤との併用)において生存のベネフィットが証 明されたが、その程度はわずかであり、新薬の台頭や新しい治療法の開発が望 まれていた。21 世紀に入り、ペメトレキセドやベバシズマブ、S-1 やアブラキ サンといった新薬の登場および EGFR や ALK といった driver mutation の存在が 明らかとなり、これらの遺伝子変異に対する分子標的薬剤の台頭により予後は 劇的に改善した。また、今年度末には癌免疫療法薬である抗 PD-1 抗体が承認の 見込みであり、さらなる治療成績の向上が見込まれている。本講義では、肺癌 治療の標準的治療について、さらには近年の肺癌治療の進歩について言及する。
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