木崎中だより 11 平成27年3月2日(月) さいたま市立木崎中学校 号 048(886)4302 少年よ、大志を抱け 校 長 大 澤 敬 早いものでもう3月です。朝夕の寒さも少しずつ和らぎ、そこかしこに春の訪れを感じられる季節 になりました。厳しい寒さをじっと耐え、エネルギーを蓄えていた生命が、一斉にはじける季節が近 づいています。3年生はまさにこの学校便りが配布される時刻に県公立高校の受検に臨んでいるはず です。季節同様、満を持して大きな花を咲かせてくれることを期待しています。 さて皆さんは「少年よ、大志(たいし)を抱け(Boys, be ambitious.)」という言葉を聞いたことが あると思います。この言葉は明治時代、札幌農学校(現北海道大学)の教頭だったアメリカ人のクラ ーク博士が、学校を去るにあたり学生たちに残した言葉とされています。本当に博士がこう言ったの かという議論はあるようですが、この言葉の後にどんな言葉が続くのか、それを知っている人は案外 少ないでしょう。このように続きます。 少年よ 大志を抱け! (Boys, be ambitious!) お金や欲望の為でもなく、空しい名声のためでもない (Be ambitious not for money or for selfish aggrandizement, not for that evanescent thing which men call fame,) 知識の為、正義の為、そして世の人々のため (Be ambitious for knowledge, for righteousness, and for the uplift of your people.) 人が人としてあるべき あらゆる姿を身につけるため (Be ambitious for the attainment of all that a man ought to be.) 少年よ 大志を抱け (Boys, be ambitious!) 「大志」とは「大きな志(こころざし) 」のことです。 「志」とは「心に目指すところ」 (広辞苑)と あります。 「大志」にはいろいろな「大志」があるでしょう。例えばお金や名声を求めて大志を抱くこ とは悪いことではありません。 「会社を作って社長になり、お金をたくさん稼ぐ」これは立派な「大志」 です。スポーツ選手として有名になって富と名声を手にする。それも立派な「大志」です。こんな夢 はどんどん持って欲しいと思います。しかし、忘れてはならないことは、人としてあるべき姿を身に つけていなければ、お金や名声を手にしても決して人から尊敬されないということです。お金や名声 に人が集まるだけで、その人自身の人柄に集まるわけではありません。したがってお金や名声が無く なれば人は離れてしまいます。お金や名声だけではありません。学校でどんなに勉強し知識がある人 でも、人としてあるべき姿を備えていなければ尊敬されることはないでしょう。 こう考えると、今、中学生としてどんな「志」を抱けばいいか、答えは出てきます。最後の1行、 Be ambitious for the attainment of all that a man ought to be. Boys, be ambitious! 人が人としてあるべき あらゆる姿を身につけるため 少年よ、大志を抱け 「人間としての基本的なこと、あるべき姿」を身につけること、それが皆さんが最初に目指すもの です。難しいことでなく、簡単なことでいいのです。あいさつや掃除をしっかり行う、礼儀作法をわ きまえる、時と場合に応じた言動をとる、そして嘘をつかず人の信頼を裏切らないことなど、人とし て当たり前のことができる人間を目指すことが「大志」の第一歩です。富や名声は後からついてくる ものです。義務教育を終え、卒業していく3年生の皆さんには特にこの言葉を肝に銘じ、人間として 恥ずかしくない人生を歩んでほしいと思います。
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