英語授業のヒント FROM 西豪州の日本語教育 〜平成25年度教員交流プロジェクト報告〜 平成27年 2月6日(金) 兵庫県立神戸高塚高等学校 中 川 隆 二 兵庫県立相生高等学校 早 川 雅 人 西オーストラリア州について キングスパークから眺めるパースシティ 兵庫県と西オーストラリア州の友好関係 日本とオーストラリアの姉妹都市 ケアンズ 徳島県美波町 ブルーム 和歌山県太地町 ブリズベン 神戸市 パース 鹿児島市 ロッキンハム 赤穂市 シドニー 名古屋市 アデレード 姫路市 西オーストラリア州 兵庫県 メルボルン 大阪市 タスマニア州 静岡県焼津市 なぜ兵庫県と西オーストラリア州? • 1981年6月に結ばれた姉妹都市提携 ⇒ 経済・産業・芸術・教育など、 あらゆる面で活発に人材交流。 • 活発な姉妹校交流 姉妹校一覧 ■明石高校 ■明石西高校 ■明石南高校 ■柏原高校 モーリー高校 チャーチランズ高校 パドベリー高校 オーシャンリーフ高校 ■川西北陵高校 ■川西緑台高校 ■姫路飾西高校 ■網干高校 ニュートンムーア高校 レズマーディ高校 ケルムスコット高校 ウッドヴェール高校 ■県立大学付属高校 ■姫路西高校 ウィレトン高校 ロスモイン高校 など 校庭の様子 日本語教室 売店 ■日本の学校との違いの例 • 全員参加の修学旅行等の行事は、ほとんどない。 • 学年単位でなく、教科単位で教師が仕事をする。 • クラブ活動はない。 • 高校入試は基本的にはない。住んでいる所で決まる。 • 車の整備などの授業がある。 • ノートパソコンが一人に一台。wifiがどこでも利用できる。 • アルバイトをしてもよい。 • 教室にインタラクティブ・ホワイトボード ■1年間のスケジュール ■ オーストラリアの学校について 1年間のスケジュール 1学期 2月2日(月) ~ 4月2日(木) 10 weeks スクールホリデー 17日間 2 weeks 2学期 4月20日(月) ~ 7月3日(金) 10 weeks スクールホリデー 17日間 2 weeks 3学期 7月20日(月) ~ 9月25日(金) 10 weeks スクールホリデー 17日間 2 weeks 4学期 スクールホリデー 10月12日(月) ~ 12月17日(木) 10 weeks 46日間 6 weeks ■オーストラリアの学校生活 高校での1日 Care Group 8:30 ~ 8:45 1st period 8:45 ~ 9:45 2nd period 9:45 ~ 10:45 Recess 3rd period 11:10 ~ 12:10 4th period 12:10 ~ 13:10 Lunch 5th period 13:50 ~ 14:50 ※Care Group は、日本の学校のSHR ■校内での勤務内容 ①授業内外で日本語を教える ②日本文化を紹介する ③日本文化体験イベントの企画 ④アセスメント補助 ⑤早朝、放課後補習 ⑥校内巡回指導 ■校外での活動 ①日本語教師・アシスタント勉強会の参加 ②兵庫文化交流センターでのイベント補助 ③在パース日本国総領事館のイベント補助 ■日本語授業研究 漫才プロジェクトについて ①目的 ②ビデオ(Hyogo Boys・生徒) ③成果 ■漫才プロジェクトの取り組み内容 • 6つの高校を訪問し、500人以上の生徒に紹介。 • サウスウェスト地区でイベントで、小学生50人に漫才 を含んだ関西の文化を紹介。 • 日本語教師対象の研究発表会で5回発表。 • 生徒が授業で使える表現を漫才で11パターン作成し、 専用スタジオで撮影。世界中の日本語教師が授業で 使えるように、データを編集してウェブ上にアップ。 • ビクトリア州の日本語教育研究会で発表 漫才アンケート 1. Did you know Manzai before this session? Have you ever seen Manzai before? Yes and I have seen it. Yes, but I have never seen it. 9% 11% 80% Never. 2. Was it interesting to make and perform Manzai? Very ineresting Interesting Not interesting 3% 5% 29% 63% Boring 3. Was it easy to make Manzai? Very easy Easy 9% Not easy Difficult 6% 40% 45% 豪州の日本語教育より学ぶべきこと ■世界の日本語教育の現状 ■オーストラリアの日本語教育 ・オーストラリアの日本語学習者数 ⇒ 36万人 (2009年度 国際交流基金調査) ・数では、世界3位 ①韓国 ②中国 ・人口比では、世界2位 ・オーストラリアの中の第1外国語 ・日本語学習者が多い理由 ・日本との緊密な経済の結びつきのため(1980年代~) ・小学校からの日本語授業 ・外国語学習が必修であること (中学生段階 ) ・漫画やアニメの影響 ※ しかし、2005年あたりから豪州内では減少傾向 ■学校での日本語授業 ◎パース市内のある高校の場合 学年 必修 or 選択 単位数 言語の種類 7・8・9年生 必修 週2時間 日本語 or フランス語 10年生 選択 週2時間 7・8・9年生時と同じ言語 11・12年生 選択 週4時間 これまでと同じ言語 ※7~9年生までは、担当教師たちの裁量でカリキュラムを決めている。 ■日本の英語教育を振り返る ①現在、英語教育が抱える課題 ②勤務校でのALTの働き方 ③各学期の評価の出し方 ■日本の英語教育の課題 • 大学入試の影響で、コミュニカティブな授業ができない。 • 各教師間の考え方がバラバラで、まとまりづらい。 • 授業外の仕事が多くて、生徒の書いた分のチェックをす る時間がない。 • クラス内の生徒数が多いため、全員のアウトプットを評 価、フィードバックできない。 • 必修であるために、クラス内の実力差が大きい。 ■日本の英語教育の方向性 ◎4技能について • 「聞くこと」、「話すこと」、「読むこと」及び「書くこと」の4技能の総合的な指導 • 4技能を統合的に活用できるコミュニケーション能力を育成 ◎文法の指導について • 基礎となる文法をコミュニケーションを支えるものとしてとらえる • 言語活動と効果的に関連付けて指導すること ◎言語体験の大切さについて • 生徒が英語に触れる機会を充実するとともに,授業を実際のコミュニケー ションの場面とするため、授業は英語で行う • 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成する (外国語科 学習指導要領より) ■オーストラリアの日本語教育の特徴 • 学期ごとに4技能のテストを個別に行う • 言語使用場面を重視した指導 • プロジェクト型授業の重視 • 単語や文法単体の知識を問う問題はない ⇒ パフォーマンステストで使えるかどうかで知識を評価 • 入試にも4技能のテストがある ■4技能のテスト ■4技能のテストを個別に行うと・・・ • 生徒が積極的にアウトプットするようになる • 教科書の使い方が変わる • 授業の組み立て方が変わる • ALTを効果的に利用できる • 知識ベースだけでなくて、技能ベースでも生徒の英語 力伸びを考えることができる • Can-Do Listとあわせることで、自律的な学習者が育つ ■4技能それぞれのパフォーマンステストをしよう。 ≪予想される論点≫ ・生徒も教師も時間がない ・入試学力はどうするのか ・生徒はアウトプットなんてできない ・公平に評価できない ・教師もうまく話せない ・教えるべきことが多すぎる ■方策 ≪授業・カリキュラムに関して≫ • 毎学期4技能のテストを前提に、カリキュラム・授業を組み立てる • 何を教えるかでなく、生徒たちが何ができるようになるのかを重視 • 教科書の使い方、カリキュラムに対する考え方を変える • それぞれの技能を鍛えていくためのスモールステップを考える • アウトプットありきで授業を組み立てる • Can-Do List を作成し、適切に運用する ■方策 ≪ALTに関して≫ • 表現活動のフィードバックやテストの採点にALTの力を利用する • 意欲を高めるためにALTの活用法を工夫する ≪テストに関して≫ • パフォーマンステストの中で知識を問う • 知識を問うテストと、表現力を問うテストを分ける • 公平性に対する考え方を柔軟にする
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