320列Area Detector CTにおける画像再構成法が 腹部Perfusion解析に

5
320列Area Detector CTにおける画像再構成法が
腹部Perfusion解析におよぼす影響について
神戸大学医学部附属病院 ○関谷俊範・都倉真典・塩田雄一郎・元野裕子・大坂悦子
曽宮雄一郎・根宜典行・小西稔・川光秀昭
同 放射線科 吉川武・大野良治
【目的】
我々は第38回日本放射線技術学会秋季学術大会において、
40
Adaptive Iterative Dose Reduction ;AIDRがノイズ低減に有用であ
30
ることを報告した。AIDRとは広義な意味での逐次近似法をベースに
しており、ノイズ成分を選択的に抽出し、ノイズ低減処理を繰り返
し行う再構成法である。今回は画像再構成法(AIDR)が腹部Perfusion 20
解析におよぼす影響について検討を行ったので報告する。
10
【方法】
使用機器:AquilionONE(東芝メディカルシステムズ)
0
撮影条件:0.5mm×320スライス、80kV、120~140mA、0.5s/rot.
造影条件:イオパミロン370、30ml、5ml/sec
生食後押し、 25ml、5ml/sec
腹部Perfusionデータからフィルタ処理を行わないオリジナル
(ORG)、量子フィルタ(QDS)、広義の逐次近似法(AIDR)の3種類
の再構成を行い、それぞれの画像に対し位置合わせ補正を行った。
80
次にDual-input Maximum slope法を用い、Perfusion解析を行い、肝 70
動脈血流量(AF)、門脈血流量(PF)[ml/min/100ml] 、肝動脈血流量の 60
割合(PI)(=AF/(AF+PF))[%]を測定し、単純CT画像よりCT値[HU]、 50
40
画像ノイズを測定した。それぞれの結果に対して、分散分析法
30
(ANOVA)、多重比較(scheffe法)を用い検定を行った。検定には
20
StatMate Ⅳ for Windows Ver.4.01を使用した。
10
【結果】
0
Perfusion解析の結果、ORG、QDS、AIDR間においてAF、PF、PI、
CT値に有意差は見られなかった。しかし画像ノイズにおいてはAIDR
が最も少なく、またORG、QDS、AIDR間に有意差が認められた。
【考察】
今回検討した結果、画像再構成法(AIDR)によるPerfusion解析へ
50
の有意差は見られなかった。これはCT‐Perfusionは造影剤の濃度変
化(CT値の経時変化)から求めているので、CT値に有意差が見られ 40
なかったため、Perfusion解析にも有意差が見られなかったと考えた。
30
またAIDRを用いることにより、画像ノイズが低減された。このこと
より、Perfusion検査において被ばく低減が示唆される。
20
【結語】
10
今回の検討より、画像再構成法(AIDR)がPerfusion解析におよぼ
す影響はないと考えられた。
0
(n=30)
N.S.
N.S.
ORG
N.S.
QDS
AIDR
Fig.1 PI [%]
(n=30)
N.S.
N.S.
ORG
N.S.
QDS
AIDR
Fig.2 CT値 [HU]
(n=30)
P < 0.01
N.S
ORG
P < 0.05
QDS
AIDR
Fig.3 画像ノイズ
― 62 ―