ホルター心電図に ICD の作動が記録された一症例 琉球大学医学部附属病院 1)検査部 2)第 2 内科 金城民子 1) 根路銘国政 1) 東上里康司 1) 東江いずみ 2) 石垣清子 2) 比嘉聡 2) 【はじめに】 植え込み型除細動器(Implantable Cardioverter -Defibrillator;ICD)は 1980 年米国におい て始めて臨床使用され、1984 年日本で初の臨床使用が行われた。1996 年に保険適用となり 心室頻拍、心室細動による突然死予防の治療法として位置付けされている。今回我々はホ ルター心電図に ICD の作動が記録された症例を経験したので報告する。 【症例】 54 歳 女性。 1990 年頃より動悸が出現。2000 年 9 月、12 月と Wide QRS tachycardia を認め近医にて治療を行った。2001 年 1 月、当院第 2 内科にて精査を行い、電気生理検査 にて多源性期外収縮、多形性心室頻拍を認めたが、アブレーション治療困難との診断で内 服治療を行っていた。2004 年 3 月、気管支炎の発症に伴い心室頻拍を認めたため入院加療 となった。薬物療法にて心室頻拍は減少したが,精査の結果 ICD の適応と考え、4 月 15 日、 植え込み術を施行した。5 月 10 日、 ホルター心電図装着にて外泊中に ICD の作動を認めた。 ホルター心電図には抗頻拍ぺーシングと電気的除細動が記録された。その後、抗不整脈薬 の変更を行い心室頻拍の頻度は減少した。 【ホルター心電図結果】 24 時間の記録中 48 回の心室頻拍を認めた。非持続性心室頻拍が 47 回で、そのうち抗頻拍 ぺーシングが作動して停止したのは 5 回であった。持続性心室頻拍は 1 回認め、この時 3 回連続の抗頻拍ぺーシングが行われたが停止せず、ICD による電気的除細動が行われて停 止した。 【考察】 ホルター心電図にて心室頻拍の頻発を確認し、さらに ICD による抗頻拍ぺーシングの頻回 作動、電気的除細動の作動により突然死が防げたことが確認できた。また薬物治療の変更 を考慮することができた。 【結語】 ホルター心電図に ICD の作動が記録された一症例を報告した。
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