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Volume
13
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13
References
1)
2)
van Erven L. Schalij Martin J Troubleshooting implantable cardioverter-defibrillator related problems Heart 2008;94:649-60
G. Poole et al. Prognostic importance of defibrillator shocks in patients with heart failure. NEJM 2008; 359: 1009-1017
植込み型除細動器における
T 波オーバーセンシングについての
比較試験
●経歴/
1995 年
2007 年
3 月 東京電子専門学校 臨床工学科 卒業
4 月 埼玉医科大学附属病院(現埼玉医科大学病院 MEサービス部)
4 月 埼玉医科大学国際医療センター MEサービス部
大木 康則先生
埼玉医科大学国際医療センター MEサービス部
大木 康則 先生
埼玉医科大学国際医療センター ME サービス部
●主な研究/
2007 年 日本不整脈学会 ペースメーカ植込み患者に脊髄刺激装置植込み術を施行した一症例
2008 年 日本循環器学会 臨床工学技士によるペースメーカ等植え込み患者管理について
日本不整脈学会 心房細動に対する肺静脈隔離術に際し 000 モードにおいてもペーシングスパイクを呈したペースメーカー患者
2009 年 日本循環器学会 ペーシングシステムアナライザーの比較検討
日本不整脈学会 デバイスにおけるセンシング特性の比較検討
2010 年 日本循環器学会 ペースメーカにおけるセンシング特性の比較検討
日本不整脈学会 横隔膜電位異常感知による ICD 誤作動の検討
デバイス研究会 横隔膜電位異常感知による ICD 誤作動の検討
2011 年 日本循環器学会 植え込み型除細動器における T 波 Over Sensing の比較検討
日本不整脈学会 T wave Over Sensing comparative study in implantable cardioverter defibrillator
デバイス研究会 コメディカルによるデバイス患者管理
日本人工臓器学会 T 波 Over Sensing に関する植え込み型除細動器の製造元別比較検討
〒140-0002 東京都品川区東品川二丁目 2 番 20号 天王洲郵船ビル
CRM事業部 TEL.03- 6711-5230
http://www.jll.co.jp
http://www.sorin.com
2012-02-20-01
Volume
13
植込み型除細動器における
が、他社製品ではセンシングフィルターやブランキング
等の調整を考慮すべきである。
T波オーバーセンシングについての比較試験
・R 波電位 5mV 出力時
大木 康則 先生 埼玉医科大学国際医療センター MEサービス部
01 は じ め に
02 方 法
植込み型除細動器(以下 ICD)における T 波オーバー
シミュレーター(SJM 社製 Model3550A)にて擬似心
センシング(以下 TWO)の発生は不適切作動の要因であ
内電位を作成し、ICD の心室ポートに入力した。
疑似心内電
り、ICD 管理において注意すべきものである
。 位は R 波を 10mV と 5mV で固定し、T 波電位を1mV か
様々な疾患において、TWO は発生しうるが、主に TWO
ら 10 mV まで 1 mV 間隔で増加させ、T 波の感知をする
を発生しやすい基礎疾患としては、ブルガダ症候群や
かを検討した。
またブルガダ症候群、QT 延長症候群を模し
QT 延長症候群での、特異な QRST パターンを見せる疾
て QT 間隔を 200ms から 500ms まで 100ms の間隔で順
患や、肥大型心筋症のように T 波高値が高くなるものが
次 変 化 さ せ 同 様 の 検 討 を 行 っ た。ICD は SORIN 社 製
注目される。ICD 植込み患者における不適切なショック
RARADYM と他社製4機種を用い、設定は VVI モードで
作動は、患者の QOL を低減させるだけでなく、生命予後
Detection OFF とし、
その他は出荷時設定のままとした。
1)
にも影響する 2)とされ、極めて深刻な問題である。
そこで、適切なセンシング感度および関連するパラ
メーターの設定を予め行うことが可能であれば、TWO
03 結 果
を減少させ、少しでも不適切作動を回避することができ
るであろう。
・R 波電位 10mV 出力時
ICD におけるセンシングアルゴリズムはメーカーごとに、
QT 間隔 200ms はブルガダ症候群での J 波を想定し
機種ごとにより異なっていることは知られた事実である
ているが、多くのメーカーではセンシングされることは
が、
問題はその実態が十分に把握されていないことである。
なかったが、肥大型心筋症を模擬するためT波電位を上
そこで、複数メーカーの ICD を用いて TWO の発生の
昇させていくと、1社の製品で 6mV よりセンシングがな
可能性を評価した。
された。QT 間隔を延長させていくとセンシングする機
センシングフィルターの特性はメーカーにより異な
がなされたことから、R 波高値に関係なく TWO のリス
り、臨床上も問題となる可能性が指摘された。R 波高
クがあることがうかがえる。
値が低くなることにより TWO のリスクが高くなるこ
次に QT 間隔を延長していくと、10mV 時よりも多く
とが示唆されたが、機種により一定ではなかった。一
の機種でセンシングが確認され、QT 間隔 400ms 以上で
般的に植込み手術時に、少しでも大きな R 波電位が測
R 波よりも T 波が高い場合には、多くの場合対応が困難
定できる部位にリードを留置することが TWO 回避に
となり、QT 間隔 500ms となるとほとんどの機種におい
は効果的である。また、植込み後に R 波高値が減衰す
て 4mV 以上でセンシングがなされた(表 2)。
このことは、
ることが多くみられることから、特にブルガダ症候群
ICD のセンシングアルゴリズムとして、センシングされた R 波
や QT 延長症候群の疾患においては TWO のリスクを
電位にあわせて感知機能が自動調整され、R 波が低いとより
考慮し、心室センシング感度の調整や、各メーカーの特
T 波を感知しやすくなるものと思われる。
殊機能を活用し、TWO の回避を心がけるべきである。
-:TWO 無し , ○:TWO 有り
表 2 R 波電位 5mV
T 波電位(mV)
1
A 社製
B 社製
QT 間隔
C 社製
200ms
D 社製
SORIN社製
A 社製
B 社製
QT 間隔
C 社製
300ms
D 社製
SORIN社製
A 社製
B 社製
QT 間隔
C 社製
400ms
D 社製
SORIN社製
500ms では、半数以上の ICD でセンシングがなされた
B 社製
QT 間隔
C 社製
500ms
D 社製
SORIN 社製 ICD は TWO の発生は認められなかった
-:TWO 無し , ○:TWO 有り
表 1 R 波電位 10mV
A 社製
設定のままでは TWO のリスクが高いことがうかがえた。
1 New Heartopics, Vol. 13
3 社の製品においては、QT 間隔 200ms でセンシング
種 が 徐 々 に 増 え て い き、QT 延 長 症 候 群 を 想 定 し た
(表 1)
ことから、QT 延長症候群の患者においては、出荷時
04 結 語
SORIN社製
-
2
-
3
-
4
-
5
-
6
7
8
9 10
○○○○○
-
-
-
- - ○
- - -
○○○○○○
-
- - - - - - - ○○
- ○○○○
- - - - -
○○○○○○
-
T 波電位(mV)
- - - - - - ○○○
- ○○○○
- - - - -
○○○○○○○
- - - - ○○○
- - - ○○○○
- - - ○○○○
- - - - - - -
1
A 社製
B 社製
QT 間隔
C 社製
200ms
D 社製
SORIN社製
A 社製
B 社製
QT 間隔
C 社製
300ms
D 社製
SORIN社製
A 社製
B 社製
QT 間隔
C 社製
400ms
D 社製
SORIN社製
A 社製
B 社製
QT 間隔
C 社製
500ms
D 社製
SORIN社製
-
2
-
3
-
4
-
5
-
6
7
8
9 10
-
-
-
- - ○
- ○
- -
○○○○○
○○○○○○
- - - - - - - - - ○○
○○○○○○○
- - - - - - -
○○○○○○○
- ○○○○○○
- - - - ○○○
○○○○○○○
- ○○○○○○
○○○○○○○
○○○○○○○
- - - ○○○○
○○○○○○○
- ○○○○○○
植込み型除細動器における T 波オーバーセンシングについての比較試験 2