解法講義資料

中小企業診断士|2015年度1次試験対策「解法マスター講義」
企業経営理論~経営戦略論~
担当講師:古森創
企業経営理論(戦略論) 頻出論点
論点№
19
11
14
18
17
13
2
12
15
10
6
16
1
5
3
4
7
8
9
論点名
その他経営戦略論に関する事項
M&A 戦略的提携
競争優位の戦略・競争回避の戦略
国際経営・CSR
技術経営
業界の競争構造分析
期間別経営計画
PPM
コアコンピタンス・デフェクトスタンダード
多角化
事業ドメインの決定
競争地位別戦略
マネジメントサイクル
外部環境分析・内部環境分析
意思決定の階層構造
意思決定プロセス
階層別戦略
戦略立案プロセス
成長のマネジメント
出題率
ランク
27.5%
9.5%
9.0%
8%
6.5%
6.5%
5%
5%
5%
3.5%
3%
3%
2%
1.5%
1%
1%
0.5%
0%
0%
‐
A
A
A
A
A
B
B
B
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
1
論点No1~2
H18年 第7問
経営計画を策定し、それを遂行し、成果を検証し、次期の経営計画に生かすというPDC
(p1an→Do→Check)サイクルは、実際にはこの順番通りにうまく回らないことが多い。最
近では、PDCサイクルがうまく回らない理由を明らかにし、そのことを前提にした経営計
画のあり方が検討されるようになったが、このような状況に関する記述として、最も不適
切なものはどれか。
ア
イ
ウ
エ
オ
計画通りに物事が運ばない事態に直面すると、計画に見落としや情報不足があっ
たと考え、前よりも精綴な分析に基づく計画を策定するという悪循環に陥ることが問
題になってきた。
計画にない想定外の試みや新機軸が現場から創発する可能性を織り込んだ経営
計画が策定されるようになった。
計画にも増して実施段階から得られる知識を重視して、学習プロセスを介在させて、
PDCAサイクルを回すことが行われるようになった。
先端技術の展開や経済のグローバル化など、これまでとは異質な大きな環境変化
が起こっており、そのため、予測や分析が困難な要因が計画に強く影響するように
なった。
ビジョンや経営目標の共有が重要であるという理解が進展しており、それに基づい
て戦略課題を現場に下ろし、成果主義で業績管理を行うことが広く行われており、経
営計画は効果を発揮できず、無視されるようになってきた。
3
論点No1~2
H25年 第1問
経営計画の策定と実行について留意すべき点に関する記述として、最も適切なものはど
れか。
ア 経営計画策定時に用いられる業績に関する定量的なデータを収集して分析すること
によって、新機軸の戦略を構築することができる。
イ 経営計画になかった機会や脅威から生まれてくる新規な戦略要素を取り入れてい
くには、計画遂行プロセスで学習が起こることが重要になる。
ウ 経営計画に盛り込まれた戦略ビジョンは、予算計画や下位レベルのアクション・プ
ランと連動させるとコントロール指針として機能するようになり、戦略行動の柔軟性を
失わせる。
エ 経営計画の策定に際して、将来の様々な場合を想定した複数のシナリオを描いて
分析することによって、起こりそうな未来を確定することができる。
オ 経営計画の進行を本社の計画部門と事業部門が双方向的にコントロールすること
は、事業の機会や脅威の発見には無効であるが、部門間の齟齬を把握するには有
効である。
2
論点No3~4
H15年 第5問
企業は戦略的な課題を解決するために、必要な情報を収集して適切な意思決定をしよう
とする。しかし、情報の収集は決して容易ではない。その理由の説明として最も適切なも
のの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 形式化された定常的な情報のフローが膨大で、企業が必要な情報を特定化する能
力を超えている。
b 重要な情報は特定の箇所に偏在する傾向が強く、入手にコストとリスクがかかる。
c 情報の受け手の吸収能力や送り手への信頼が低い場合、情報を移転することが困
難である。
d 情報技術の進歩によって情報の移転コストは低下したが、情報の単位当たり処理コ
ストは上昇している。
ア aとb
イ aとc
ウ bとc
エ bとd
オ cとd
3
論点No5
H13年 第4問
次の文章を読んで、以下の設問に答えよ。
経営計画の策定では、まず企業のビジョンを具体化する目標を設定することが重要で
ある。①目標の設定に際しては、業績の将来予測、企業を取り巻く環境の分析が重要に
なる。特に環境のあり方は目標の実現可能性を左右するので、環境の分析は計画策定
時のみならずその実行に際しても怠ることなく常に多面的に分析されなければならない。
しかし、企業を取り巻く環境は多元的かつ複雑である。そこで一般に影響の程度に注
意してどの企業にも共通するマクロな一般環境と、自社の事業活動に第一義的な影響
を与えるミクロな製品市場環境を区別して分析することが行われている。
②一般環境では内外の経済、社会・文化、政治や法律、技術などが幅広く分析される。
環境のトレンドについては、しばしば時代を象徴するキーワードが用いられており、その
意味するところに注意しておくことは大事である。
他方の③製品市場環境は、自社の事業と密接に結びついており、企業の活動領域全
般にわたってそれぞれの部署でも日常的に分析、検討がなされている。市場の動向、取
引関係の変化、技術動向、さらには業界を取り巻く法的規制や政策の動向などが取り上
げられる。
いずれの環境の分析でも重要なことは、自社の事業の機会と脅威をみきわめて、事業
を成功に導く環境要因を識別することである。そのために企業はさまざまな環境分析手
法を発展させている。
3
論点No5 H13年第4問 (設問2)
次の文章は地方の縫製メーカーが昨今のマクロな環境の変動を分析して、経営計画に
それを反映させる場合を想定したものである。
下線部②を参照しながら、環境分析の態度として適切なものを選べ。
ア 繊維産業なのでIT(情報技術)やグローバル化の動向について調べるつもりはない。
イ アジアから低価格な繊維製品の輸入が急増しているので、国の貿易政策や為替動
向に注意するとともに、業界と共同歩調をとって状況の推移から眼を離さないようにす
る。
ウ アウトレットモールが評判だが、著名なブランド製品を生産していない自社に影響は
ないので注目する必要はない。
エ 地元の財界活動や政治活動に熱心に関わって、地元の名士として知られるようにな
るように心がけている。
3
論点No5 H13年 第4問 (設問3)
次の文章は、上記の縫製メーカーが事業の成功要因を明らかにするために製品市場
環境の分析に取り組んでいる様子である。下線部③を参考にして、適切な分析を行って
いるものの組み合わせを以下の解答群から選べ。
a
CAD/CAM導入や自動化などがもたらす効果について機器メーカーと研究を惜し
まない。
b 発注元の大手メーカーとの関係が生産規模を決めるので、百貨店、量販店や専門
店などの小売動向には注目する必要はない。
c 生地メーカーや服飾デザイナーとの交流を密にして、新製品の動きをいち早くつか
むように努力する。
d 企業情報が社外に漏れることを防ぐために、業界団体の活動や同業他社との交際
を禁じている。
ア aとb
イ aとc
ウ aとd
エ bとd
3
論点No6 H24年 第1問
複数事業を営む企業における企業ドメインと事業ドメインならびに事業ポートフォリオ
の決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 企業ドメインの決定は、通常、新たに進出する事業における自社の競争力と当該事
業の発展性を判断基準とし、当該事業の他事業への波及効果は個別事業選択の判
断基準として考慮されていない。
イ 企業ドメインの決定は、通常、企業にとって多角化の広がりの程度を決め、個別事
業の競争力を決める問題である。
ウ 企業ドメインの決定は、通常、多角化した複数事業間の関連性のあり方に影響する
が、集約型の事業間関連性パターンでは規模の経済を重視して資源を有効利用しよう
とする。
エ 事業ドメインの決定は、通常、企業のビジョンの枠を超えて企業のアイデンティティ
の確立を規定し、企業の境界を決める。
オ 事業ドメインの決定は、通常、設定された領域の中で事業マネジャーにオペレーショ
ンを行う自律性を与える。
3
論点No6 H25年 第5問
A社は医療分野での先端的な製品開発を通じて社会に貢献するという理念の下
で、現在の医療機器事業に加えて新薬開発の支援や再生医療の分野を包含した将来
的なドメインの定義を企図している。企業ドメインと事業ドメインの決定に関する
記述として、最も適切なものはどれか。
ア 企業ドメインの決定は、現状追認ではなく将来の方向性を明示しているが、注
意の焦点を絞り込んで資源分散を防止するのには適さない。
イ 企業ドメインの決定は、差別化の基本方針を提供し、新たに進出する事業の中
心となる顧客セグメントの選択の判断に影響する。
ウ 企業ドメインの決定は、将来の企業のあるべき姿や経営理念を包含している生
存領域を示すが、現在の生存領域や事業分野との関連性は示していない。
エ 事業ドメインの決定は、将来手がける事業をどう定義するかの決定であり、企
業戦略策定の第一歩として競争戦略を結びつける役割を果たす。
オ 事業ドメインは、全社的な資源配分に影響を受けるため、企業ドメインの決定
に合わせて見直すこともありうる。
3
論点No10 H18年 第2問
企業は、しばしば新規事業分野への進出を図ろうとする。その際に見られる競争上の特
徴や企業の行動に関する記述として最も適切なものはどれか。
ア 主力事業との関連が薄い事業分野への多角化は、新規技術や異質なマーケット情
報をもたらすので、主力事業とのシナジー効果が高まり、収益力は強化される。
イ 主力事業と無関係な新規事業分野に進出すればするほど、企業規模が拡大し、ス
ケールメリットを生かした市場支配力を発揮して、高い収益性と成長性を獲得できる。
ウ 主力事業に関連する事業分野を中心に多角化すると、主力事業の市場において自
社の他事業との競合が起こるので、企業の収益性は低下しやすい。
エ 主力事業で競合する企業は、互いにしばしば類似の多角化行動をとるので、業界内
の既存の競争関係が維持されやすい。
オ 主力事業分野に特化すればその分野の固有の技術が深まり、生産能力が強化さ
れるので、それらを生かした新規事業分野への進出が容易になる。
論点No10 H24年 第2問
企業の多角化に関する分析フレームワークについての記述として、最も適切なものはど
れか。
ア 外的な成長誘引は、通常、企業を新たな事業へと参入させる外部環境の機会もしく
は脅威のことである。
イ 事業拡大への誘引と障害は、通常、企業の多角化形態や将来の収益性の基礎に
までは影響しない。
ウ 新規事業への進出は、通常、当該企業の中核事業から始まり、マーケットシェアを
維持するために行われる。
エ 内的な成長誘引は、通常、企業を多角化へと向かわせる企業内部の条件のことで
あり、多くの場合、防御的な性格を持ち、自社の内部資源を最大限に活用したいという
企業の欲求から生じる。
オ 防御的な多角化は、通常、当初の市場において変化するニーズに当該企業の技術
が適応していると判断した場合に行われる。
論点No10 H26年 第5問
シナジー効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 動的なシナジーよりも静的なシナジーをつくり出せるような事業の組み合わせの方
が望ましい。
イ 範囲の経済の効果とは別個に発生し、複数事業の組み合わせによる費用の低下を
生じさせる。
ウ 複数事業の組み合わせによる情報的資源の同時多重利用によって発生する効果
を指す。
エ 複数の製品分野での事業が互いに足りない部分を補い合うことで、企業全体と
して売上の季節変動などを平準化できる。