科目名 農薬化学 (英語表記)Pesticide Chemistry 授業の概要 教育目標 (ねらい) 到達目標 成績評価方法 の割合 配当〔技:3 年次 後期 2 単位 必修 講義〕 〔コーディネーター 其木 茂則(非常勤講師) 〕 農薬はともすれば環境汚染物質との誤解を受ける化学物質であるが、今後世界的に直面するであろう食糧難を克服する ためには必要不可欠な薬剤である。しかし、不適切な農薬使用は確かに重大な環境破壊につながる恐れがあることか ら、今日、農薬の開発にあたっては、環境への負荷が小さく安全性の高い事が重要視される。本講義では、環境保護と 食糧確保のために農薬を科学的立場から概観し、将来、農薬のあるべき姿について学習していく。 人の健康の維持増進や環境の安全・保全の確保のため、どのような農薬が理想であるか、化学物質としての農薬の特 性、正しい農薬の使用法、さらに化学農薬にとって代わる「環境に優しい」生物農薬の将来性などの視点に立って教育し ていく。農薬を通して、大きな環境問題の 1 つである食糧難の克服にどのように対処していけばよいか、様々な角度から 考察していくことで、様々な環境問題に的確に対処、実践ができる環境技術者の養成を目指していく。 ・化学農薬の必要性と環境の安全性確保の立場からの問題点について学び、農薬の将来について正しく説明できる。 ・環境負荷が小さことで注目されている生物農薬の特性について知り、化学農薬との違い(利点、欠点)を説明できる。 ・農薬化学を通して、将来の日本の農業の在り方、遺伝子組換え作物や TPP 問題などの日本の農業を取り巻く大きな社 会問題について、自分なりの考察ができる能力を身につけることができる。 授業の中間日と最終日に、それぞれ中間試験、最終試験と称して 2 回試験を行う。 中間試験:35%、最終試験:35%、出席:30% 教科書 参考文献 教科書は使わず、スライド資料を教材とする。 参考書:変わりゆく農薬(深海 浩 著/化学同人)、食品中の残留農薬 Q&A (日本食品衛生協会 編/中央法規) 履修条件 1 年次に開講している「基礎化学」「基礎生物学」は選択科目であるが、受講を勧める。農薬化学は応用性の高い科目で あるが、化学、生物学の基礎学力を必要とする。 教科書の代わりに独自に作成したスライドを教材として使用し、このスライド教材を最初の授業までに RENANDI にアップ 学習課題 するので、各自これらを使って予習、復習を行う。毎回の授業(2 時間)で約 20 枚のスライドを使用し、各授業の最後に、 (予習・復習) 次回の授業でどこまでのスライドを使うか指示する。その指示に従って予習を行うと共に、スライドをコピーしてきて授業の 中で重要と思われる事項をスライドコピーに書き込んでいき、復習用に使用する。 オフィスアワー 回 メールによる連絡 連絡先:sonoki××@azabu-u.ac.jp 担当者 授業内容 1 其木 1. 農薬総論 1.1 農薬とは 1.2 農薬開発の歴史を学ぶ。 2 其木 1.3 我が国の農薬の歩みを学ぶ。 1.4 農薬の使用量について学ぶ。 1.5 農薬の分類を学ぶ。 3 其木 1.6 農薬の形態と使用法について学ぶ。 1.7 農薬の毒性 / 人体毒性、魚類毒性、急性毒性、慢性毒性、選択毒性について学ぶ。 4 其木 1.8 食品中の農薬残留、残留農薬基準、ADI(一日摂取許容量)、暴露評価について学ぶ。 5 其木 2. 化学農薬各論 2.1 殺虫剤 (1) / 有機リン系について学ぶ。 2.2 殺虫剤 (2) / 有機塩素系について学ぶ。 6 其木 2.3 殺虫剤 (3) / カーバメイト系、ニコチン系について学ぶ。 2.4 殺虫剤 (4) / ピレスロイド系について学ぶ。 2.5 殺菌剤 / 銅剤、水銀剤、イオウ剤、抗生物質について学ぶ。 7 其木 2.6 殺ダニ剤、殺線虫剤、殺鼠剤について学ぶ。 2.7 除草剤(1) / オーキシン、アミノ酸生合成阻害について学ぶ。 2.8 除草剤(2) / 光合成阻害について学ぶ。 8 其木 2.9 植物成長調整剤について学ぶ。 2.10 誘引剤について学ぶ。 (中間試験を行う。) 9 其木 3. 生物農薬各論 3.1 生物農薬の種類について学ぶ。 3.2 生物農薬の歴史を学ぶ。 10 其木 3.3 天敵を用いる生物農薬について学ぶ。 11 其木 3.4 非病原性微生物を用いる生物農薬について学ぶ。 12 其木 4. 農業を取り巻く諸問題―無農薬栽培、TPP、遺伝子組換え作物との関連 4.1 慣行農業(施農薬農業)の利点と欠点について学ぶ。 4.2 有機農業(有機栽培)の利点と欠点について学ぶ。 13 其木 4.3 TPP(環太平洋連携協定)と農薬との関係について学ぶ。 4.4 遺伝子組換え作物の歴史と農薬との関連について学ぶ。 14 其木 4.5 遺伝子組換え作物の作出法について学ぶ。 4.6 遺伝子組換え作物の利点と欠点について学ぶ。 15 其木 4.7 遺伝子組換え作物の人体に与える安全性の評価について学ぶ。 4.8 遺伝子組換え作物の環境に与える影響の評価について学ぶ。 (総括を行う。)
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