みちのく杜の湖畔公園 北地区みちのく自然共生園 自然再生活動報告 平成 27 年 9 月 写真 ヒヨドリバナに集まるヒョウモンチョウ類 みちのく自然共生園の自然再生ボランティア活動では、東北地方らしい自然豊かな里地の自然を再 生する活動を展開しています。この場所にわずかに自生していたサクラソウの保全増殖のほか、人と 自然との係り合いで生まれた、かつての広大な花野の草原をつくり、半自然草原の再生活動に取り組 んでいます。 ●定例モニタリング 花野再生塾(9 月 6 日) ・コナラ林のキバナアキギリ、シラヤマギク、展望野草園のオミナエシ、オトコエシ、ヒヨドリバナ、 ワレモコウ、ヤマハッカ、湿生花園のサワギキョウ、サワヒヨドリ、ハッカ、ツリフネソウ等、初 秋の花を観察しました。今月は涼しくなってきたので、ポット苗を展望野草園等に植え付ける作業 や、外来種のメマツヨイグサやアレチヌスビトハギの除去をすることにしました。また、殖えてし まった在来種のヤハズソウやメドハギも除去することにしました。 写真 キバナアキギリの送粉の仕組みを観察 写真 展望野草園の野草観察 ●ポット苗の植付け(9 月 6、14、21、28 日) ・新たにノシバを張った場所に、野草のポット苗の植付けをしました。ノシバを剥ぎ取り、固く締ま った土を耕耘して水捌けや通気性を改善して、植え付けます。冬季は蔵王颪が吹き付け、根が凍上 したり、土が吹き飛ばされるので、掘り出した丸石で風よけを作ります。アズマギク、クガイソウ、 キキョウ、カワラナデシコ、イブキボウフウ等を植栽しました。 写真 会員活動での植栽作業 写真 貯砂ダム浚渫盛土跡なので穴を掘るのが大変 写真 穴を掘ると大きな石がたくさん出てきます 写真 風上側に石を置いて蔵王颪の風よけにします ●外来種、優占種の除去(9 月 20、27 日) ・今年は、展望野草園の草原に外来種のアレチヌスビトハギやメマツヨイグサが目立ち、結実する前 に除去しました。アレチヌスビトハギは地上部を刈り払っただけで来年も芽吹いてくるので、しば らくは刈り続ける必要があります。土壌が貧栄養になってくると、マメ科植物が優占する傾向が見 られるようになってきました。メドハギやヤハズソウが密生して野草を圧迫している箇所があるの で、これらの刈払いも結実前の今月に行いました。 写真 アレチヌスビトハギの刈払い 写真 ヤハズソウ、メドハギの除去 ●肩掛除草前の人力除草(9 月 13 日) ・野草の刈払いを避けるため、肩掛除草を行う前に、サクラソウ園の野草周りのオギ等を人力で刈払 いました。これから結実するタムラソウ、ツリガネニンジン、ヒメシオン、カセンソウ、コオニユ リ等の回りを刈り払いました。機械除草後の裸地にサクラソウポット苗を植え付ける予定です。 写真 オギは刈払い、ヨモギ等は引き抜きます 写真 野草の回りを刈り払いました ●野原の生き物観察会(9 月 7 日準備、13 日会員活動) ・家族向けの会員活動で、野原の生き物観察会としてバッタ採りを行いました。また、野原の自然に 親しんでもらうため、ススキ細工をボランティアの山方さんの指導で行いました。 写真 バッタ採りが初めての子供さんもいます 写真 ススキの穂でミミズクを作りました ●東北の自然共生の文化を学ぶ(9 月 20、21、28 日) ・主に山形に伝わるアケビ料理をボランティアの齋藤さんに学びました。一品目はアケビの皮の味噌 炒めと、もう一品は甘い実を漬床にした一夜漬けで、キュウリを漬けました。また、11 月の会員 活動で予定している浅漬けに使うための山葡萄を潰して、発酵させる下準備をしました。 写真 皮も実も使います 写真 山葡萄を潰して発酵させます。 お彼岸にアケビを味わう 平成 27 年 9 月 21 日 東北地方では身近に手に入るアケビが盛んに利用されてきました。お彼岸にアケビの実を供える地 域もあります。特に山形県では郷土料理として苦い皮が親しまれています。共生園のアケビも食べご ろになったので、ボランティアの齋藤幸子さんに料理方法を教えていただきました。 ●皮の味噌炒め 茄子のように皮を味噌炒めにした料理です。苦みが癖になる美味しさです。調理方法は茄子と同じ ような扱いで、ピリ辛にしたり、甘味噌で和えたり、餡かけにしたり、きのこや肉詰めにしたりと、 応用性の大きなとても重宝する素材です。今回はシソの実と葉を入れ、味噌炒めと甘味噌と二つの味 付けをしました。苦みを楽しみたい人は、皮を大きめに切ってください。 ①少し若い実が美味しい ②中身を親指で押しだす ③ヘタの部分を除く ④半割にする ⑤傷んだ部分を除いて洗う ⑥食べやすい大きさに切る ⑦油を引いて炒める ⑧だしを入れる ⑨好みの量の味噌を入れる ⑩お好みでシソの実を ⑪好みの味にととのえて ⑫出来上がり ニシンやゴボウを詰めたうんまーいアケビ料理(齋藤さんのお姉さま作) ●アケビの実の浅漬け 取り出した甘い中身は、浅漬けの漬床として利用できます。ほんのり甘くてさっぱりした漬物です。 ①実5、6個に塩をさじ 1 杯 ②刻んだ昆布をいれます ③胡瓜等を入れて冷蔵庫で一晩 ④ヌタをとって出来上がり ●そのほか 秋田、青森には、アケビの皮を茹でて、もち米、タネを抜いた山葡萄、米麹で2~3か月漬けこん だ、赤紫色のいずしがあるそうです。アケビと山葡萄ともち米と米麹。全部美味しいものばかりを発 酵させるなんて!!さらには、茹でない皮の中に、潰した山葡萄とご飯を合わせたものを詰めて漬け 込む、これまた美味しそうな青森の漬物を小泉武夫さんが報告されています。 (報告 麻生 嘉)
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