第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス 格助詞や連体助詞の誤用実態や学習難易度について 関西学院大学 于康 1.問題提起と研究目的 ◆言語生成のメカニズムの研究は、大きく分けて、3 つのアプローチがあるかと思われる。 1)単一の言語を対象とする言語学的研究 2)複数の言語の対照を基本とする言語学的研究 3)言語習得のプロセスを基本とする言語学的研究 ◆言語習得には、容易に習得されるものもあれば、なかなか習得できないものもある。 習得には難易度が存在するのである。したがって、それぞれの習得のプロセスとメカニズ ムの究明が言語生成のメカニズムの研究にとって非常に重要なアプローチになるかと考え られる。特に、なかなか習得できないもの、つまり、バックスライティングや化石化とい った現象が観察されるものに関するメカニズムの究明は、真っ正面から取り込まなければ ならない課題であろう。 ◆言語習得の難易度の研究は、習熟度別の誤用データが必要不可欠であるが、これまで は、データ収集が非常に困難だったためか、なかなか研究が進んでいないのが現状であっ た。そこで、于康研究グループは、2014 年から中国国内の大学40校から誤用のデータを 集め、添削やタグ付与などの作業を経て、大型の『YUK タグ付き中国語母語話者日本語学習 者作文コンコーダンサー2015』Ver.4(テスト版)を構築した。現時点で、ファイル数は 8,535、 文字数は 5,555,632、タグ数は 63,684 となり、誤用研究が十分可能な状態にある。 ◆本発表は、『YUK タグ付き中国語母語話者日本語学習者作文コンコーダンサー2015』 Ver.4(テスト版)から集めたデータを対象に、格助詞や連体助詞の誤用実態学習の難易度 を明らかにしたうえで、格助詞や連体助詞の誤用のサンプル研究を通して誤用研究のスト ラテジーを考えることを目的とする。 2.誤用のデータ 〇『YUK タグ付き中国語母語話者日本語学習者作文コンコーダンサー2015』Ver. 4 テス ト版を使用。 1 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス 〇データの分布は、学習歴別に分けると、次の表のようになる。 学習歴 ファイル数 文字数 タグ数 学習歴3ヶ月以上 1 年未満 559 190,597 8,516 学習歴1年以上2年未満 701 244,331 6,569 学習歴2年以上3年未満 320 214,243 6,225 学習歴3年以上4年未満 882 1,351,011 22,527 学習歴4年以上 5 年未満 3,066 1,087,669 7,957 学習歴5年以上 6 年未満 1,227 213,689 1,384 学習歴6年以上7年未満 376 1,873,972 5,423 学習歴7年以上 8 年未満 81 31,566 85 学習歴8年以上 9 年未満 362 83,638 398 学習歴9年以上 10 年未満 235 51,277 261 学習歴 10 年以上 11 年未満 760 183,442 838 学習歴 11 年以上 12 年未満 105 30,237 162 学習歴 15 年以上 16 年未満 3 680 3 145 67,515 3,660 8級試験 3.格助詞の誤用実態と学習難易度 3.1 誤用実態と学習難易度の全体像 格助詞の誤用数は 11,310。図1は 500 例以上のデータの統計結果。 図1において、Y が正用表現、X が格助詞の誤用。 29.4% 21.1% 18.3% 19.8% 17.1% 18.5% 11.3% 11.3% 10.5% 9.6% 6.7% が→Y に→Y ○→Y を→Y で→Y 4.6% X→は X→に X→を X→で X→○ X→が X→の 図1 3.2 パターン別における格助詞の誤用実態と学習難易度 3.2.1 「が→Y」と「X→が」 「が→Y」の誤用数は 3,320、 「X→が」の誤用数は 1,090。図2は、 「が→Y」が 100 例以 上、 「X→が」が 30 例以上のデータの統計結果。 2 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス 58.0% 54.5% 27.6% 17.4% が→は が→を 5.9% 5.1% 4.8% が→に が→の が→○ 10.1% 2.8% を→が ○→が に→が で→が 図2 3.2.2 「に→Y」と「X→に」 「に→Y」の誤用数は 2,391、 「X→に」の誤用数は 2,088。図3は、 「に→Y」が 46 例以上、 「X→に」が 26 例以上のデータの統計結果。 39.2% 32.3% 29.2% 22.4% 14.9% 14.2% 7.8% に→で に→○ に→を に→の 9.4% 5.4% に→と 5.2% に→は 4.6% 2.7% 1.9% に→が に→から ○→に を→に で→に が→に 1.2% と→に から→に 図3 3.2.3 「〇→Y」と「X→〇」 「が→Y」の誤用数は 2,067、 「X→が」の誤用数は 1,188。図4は、 「が→Y」が 44 例以上、 「X→が」が 26 例以上のデータの統計結果。 45.1% 39.6% 18.1% 14.6% 10.9% 14.5% 13.6% 7.6% 10.6% 2.1% 〇→に 〇→で 〇→が 〇→を 〇→と 〇→から に→○ で→○ が→○ を→○ 6.0% と→○ 2.2% から→○ 図4 3.2.4 「を→Y」と「X→を」 「を→Y」の誤用数は 1,935、 「X→を」の誤用数は 1,283。図5は、 「を→Y」が 29 例以上、 「X→を」が 26 例以上のデータの統計結果。 3 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス 45.1% 34.8% 30.7% 27.8% 17.5% 6.9% 6.5% 5.9% 3.9% 3.2% 2.7% 2.9% 1.3% 2.9% 2.3% 図5 3.2.5 「で→Y」と「X→で」 「で→Y」の誤用数は 753、 「X→で」の誤用数は 1,277。図6は、「で→Y」が 18 例以上、 「X→で」が 20 例以上のデータの統計結果。 54.7% 39.3% 29.4% 22.8% 7.2% で→に で→○ で→の 4.9% 4.8% 4.0% 2.4% で→を で→は で→が で→から に→で ○→で 6.0% 4.8% が→で を→で 1.6% から→で 図6 3.3 習熟度別における格助詞の誤用実態と学習難易度 3.3.1 学習歴3ヶ月以上 1 年未満 学習歴3ヶ月以上 1 年未満においては、格助詞の誤用数が 1,364。図7は、 「格助詞(誤 用)→Y(正用) 」が 30 例以上、 「X(誤用)→格助詞(正用) 」が 37 例以上のデータの統計 結果。 24.4% 21.6% 20.0% 20.8% 19.8% 13.6% 12.4% 11.8% 11.5% 10.1% 6.7% 6.5% 3.9% 2.2% に→Y ○→Y を→Y が→Y で→Y と→Y X→に X→は 図7 4 X→○ X→で X→が X→を X→と X→の 2.7% X→から 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス 3.3.2 学習歴1年以上2年未満 学習歴1年以上2年未満においては、格助詞の誤用数が 1,233。図8は、 「格助詞(誤用) →Y(正用) 」が 21 例以上、 「X(誤用)→格助詞(正用) 」が 34 例以上のデータの統計結果。 31.5% 21.5% 19.4% 20.0% 16.5% 17.6% 14.4% 11.6% 11.0% 10.9% 6.2% 4.4% 1.7% が→Y に→Y を→Y ○→Y で→Y と→Y X→は X→に X→を X→で X→○ X→が 2.8% X→の X→と 図8 3.3.3 学習歴2年以上3年未満 学習歴2年以上3年未満においては、格助詞の誤用数が 1,142。図9は、 「格助詞(誤用) →Y(正用) 」が 23 例以上、 「X(誤用)→格助詞(正用) 」が 46 例以上のデータの統計結果。 25.1% 24.2% 20.2% 20.0% 16.6% 15.4% 14.4% 11.9% 11.6% 8.1% 10.8% 2.0% が→Y に→Y を→Y ○→Y で→Y と→Y X→に X→は X→を X→で X→が X→○ 4.4% 4.0% X→と X→の 図9 3.3.4 学習歴3年以上4年未満 学習歴3年以上4年未満においては、格助詞の誤用数が 3,891。図 10 は、 「格助詞(誤用) →Y(正用) 」が 64 例以上、 「X(誤用)→格助詞(正用) 」が 55 例以上のデータの統計結果。 28.3% 20.6% 18.8% 18.5% 18.2% 15.1% 11.4% 10.7% 8.3% 2.9% が→Y に→Y ○→Y を→Y で→Y 8.9% 7.6% 6.2% 3.5% 1.6% と→Y から→Y X→は X→に X→で X→○ X→を X→が X→の X→と 2.4% 1.4% X→も X→から 図 10 3.3.5 学習歴 4 年以上 5 年未満 学習歴 4 年以上 5 年未満においては、格助詞の誤用数が 1,518。図 11 は、 「格助詞(誤用) 5 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス →Y(正用) 」が 38 例以上、 「X(誤用)→格助詞(正用) 」が 46 例以上のデータの統計結果。 33.5% 22.3% 21.5% 18.8% 17.5% 15.8% 13.0% 11.6% 11.2% 10.7% 5.1% 3.6% 3.0% X→の X→と 2.5% が→Y に→Y を→Y ○→Y で→Y と→Y X→は X→に X→を X→が X→で X→○ 図 11 3.3.5 学習歴 6 年以上 7 年未満 学習歴 6 年以上 7 年未満においては、格助詞の誤用数が 1,219。図 12 は、 「格助詞(誤用) →Y(正用) 」が 44 例以上、 「X(誤用)→格助詞(正用) 」が 47 例以上のデータの統計結果。 43.4% 34.6% 17.1% 16.0% 13.8% 12.5% 9.1% が→Y に→Y ○→Y を→Y 4.0% 3.6% で→Y と→Y X→は X→に X→を 8.7% X→が 7.9% X→○ 7.5% X→で 6.6% X→と 3.9% X→の 図 12 3.4 習熟度別における誤用の出現頻度と学習難易度の推移 図 13 は、 「格助詞(誤用)→Y(正用)」における習熟度別の誤用の出現頻度と学習難易 度の推移である。 図 14 は、 「X(誤用)→格助詞(正用)」における習熟度別の誤用の出現頻度と学習難易 度の推移である。 6 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス に→Y ○→Y を→Y が→Y で→Y と→Y 1年未満 24.4% 21.6% 20.0% 19.8% 6.7% 2.2% 2年未満 21.5% 16.5% 19.4% 31.5% 6.2% 1.7% 3年未満 24.2% 16.6% 20.0% 25.1% 8.1% 2.0% 4年未満 20.6% 18.2% 15.1% 28.3% 8.3% 2.9% 5年未満 21.5% 15.8% 18.8% 33.5% 5.1% 2.5% 7年未満 17.1% 16.0% 12.5% 43.4% 4.0% 3.6% 1年未満 2年未満 3年未満 4年未満 5年未満 7年未満 図 13 X→に X→は X→○ X→で X→が X→を X→と X→の 1年未満 20.8% 13.6% 12.4% 11.8% 11.5% 10.1% 6.5% 3.9% 2年未満 17.6% 20.0% 11.0% 11.6% 10.9% 14.4% 2.8% 4.4% 3年未満 20.2% 15.4% 10.8% 11.9% 11.6% 14.4% 4.4% 4.0% 4年未満 18.5% 18.8% 10.7% 11.4% 7.6% 8.9% 3.5% 6.2% 5年未満 17.5% 22.3% 10.7% 11.2% 11.6% 13.0% 3.0% 3.6% 7年未満 13.8% 34.6% 7.9% 7.5% 8.7% 9.1% 6.6% 3.9% 1年未満 2年未満 3年未満 4年未満 図 14 7 5年未満 7年未満 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス 4.連体助詞の誤用実態と学習難易度 4.1 「の(誤用)→Y(正用) 」と「X(誤用)→の(正用) 」における誤用実態と学習難易 度 「の(誤用)→Y(正用) 」の誤用数は 1,424、 「X(誤用)→の(正用) 」の誤用数は 1,257。 図 15 は、「の(誤用)→Y(正用) 」が 60 例以上、 「X(誤用)→の(正用) 」がすべての用 例のデータの統計結果。 120.0% 100.0% 100.0% 80.0% 60.0% 47.8% 40.0% 20.0% 9.4% 8.1% 7.5% 6.6% 4.2% の→が の→は の→を の→に の→な 0.0% の→○ 〇→の 図 15 4.2 習熟度別における誤用の出現頻度と学習難易度の推移(1年未満~5年未満は 10 例 以上のデータ、7年未満は7例以上のデータ) 図 16 は、 「の(誤用)→Y(正用) 」と「X(誤用)→の(正用)」における習熟度別の誤 用の出現頻度と学習難易度の推移である。 120.0% 100.0% 80.0% 60.0% 40.0% 20.0% 0.0% の→○ の→は の→が の→に の→を 1年未満 52.7% 15.9% 7.8% 6.9% 5.7% 100.0% 2年未満 56.1% 8.3% 8.3% 10.2% 100.0% 3年未満 57.4% 6.5% 11.6% 8.4% 4年未満 44.3% 6.5% 6.7% 4.4% 5.9% 8.6% 100.0% 5年未満 39.7% 14.6% 11.1% 12.1% 7.0% 100.0% 7年未満 45.9% 9.4% 9.4% 8.2% 10.6% 1年未満 2年未満 3年未満 4年未満 図 16 8 5年未満 の→な 〇→の 100.0% 100.0% 7年未満 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス 3.5 事例研究 3.5.1 「〇→が」について ◆用例: (1)地球温暖化の進行によって、台風など災害<○→が>頻発している。 (2)しかし労働者にはこの好景気の分配はなく、労働者の給与は減少傾向<○→が>続 きました。 (3)これは、人間<○→が>進歩している代価でしょうか。 (4)このような状況を見ると、我々中国の大学生<○→が>一年間で読む本はアメリカ の大学生の一週間で読む本にも足りないじゃないか。 (5)両親<○→が>年寄りになったら、私は必ず彼たちと一緒に生活する。 ◆分析: 用例(1)は、 「NP が XP」型。 構文的には、事象叙述の表現は、基本的に「補足語-述語」という構造を有する。した がって、事象叙述の表現は典型的には無題文の形を取る(益岡 2000) 。 「対象語」は原則と して「が」で表さなければならない(益岡 2000、森田 2002) 。 用例(2)は、 「 [NP は]+[NP が XP] 」型。 [NP が XP]が句。 用例(3)は、 「 [NP は]+[ (NP が XP)NP だ] 」型 [NP が XP]が句。 用例(4)は、 「 [ (NP が XP)NP は]+[XP] 」型 [NP が XP]が句。 用例(5)は、 「 [NP が VP たら]+[NP は VP] 」型 [NP が XP]が句。 ◆パターン化 Ⅰ型: 「NP が XP」型 Ⅱ型: 「[NP は]+[NP が XP] 」型 Ⅲ型: 「[NP は]+[ (NP が XP)NP だ] 」型 Ⅳ型: 「[ (NP が XP)NP は]+[XP] 」型 Ⅴ型: 「[NP が VP たら]+[NP は VP] 」型 A 型:文のレベルの「が」の不使用(Ⅰ型) B 型:句のレベルの「が」の不使用(Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型) 9 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス ◆格助詞「が」の不使用は、主に2種類ある。 a.「事象叙述」や「現象文」における「が」の付与の取り落とし b.従属節または句のレベルにおける「が」の付与の取り落とし 100% 80% 80% 60% 40% 20% 20% 0% A型 B型 図 17 3.5.2 「〇→の」について ◆用例: (6)日本<○→の>男性と女性の人生価値は空のように広い差異がある。 (7)先週から韓国語<○→の>授業を受け始めた。 (8)佐藤充さんは災難の嵐<○→の>前に、自分の家族ではなく、中国人の研修生を先 に救った。 (9)人間の死とは心臓<○→の>停止であることは自明のことだ。 (10)日本人の商談・交渉で<○→の>勢いはまず負けといえるでしょう。 ◆分析 ◇NP1 は3種類に分けられる(日本語記述文法研究 2009)。 1)修飾名詞が非修飾名詞の所属先に当たるもの (6)日本<○→の>男性と女性 2)修飾名詞が被修飾名詞の性質を表すもの (7)韓国語<○→の>授業 3)修飾名詞が被修飾名詞の基準点に当たるもの (8)災難の嵐<○→の>前に ◇NP2 は2種類に分けられる(日本語記述文法研究 2009)。 1)被修飾名詞が事態を表す名詞のもの (9)心臓<○→の>停止 2)被修飾名詞が事態を表さない名詞のもの(格助詞との共起) (10)交渉で<○→の>勢い ◆「日本の記事」:①日本が持っている記事、②日本について書いた記事 10 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス ◆「〇→の」の誤用の実態 図 18 は、 「の」の不使用における NP1と NP2 の種類。 57.0% 29.5% 8.3% 4.4% NP1所属先 NP1性質 0.8% NP1基準点 NP2事態 格助詞との共起 図 18 (11)両国<○→の>茶会の相違点がわかる。 (12)最後に主人公<○→の>運命の転回から見れば、 (13)私も日本でおすし料理<○→の>店を開きたいんです。 (14)日本関連のたくさん<○→の>情報を手に入れました。 (15)昼ごはん<○→の>後、ちょっと休みます。 (16)気候<○→の>異変もますます深刻になり ◆図 19 は、格助詞と共起する場合における「の」の不使用の比率。 格助詞との共起 31 17 15 12 11 5 で について と から へ に対して 4 として 4 にとって 1 1 において まで 図 19 4.まとめ 次のようなことが明らかになった。 ①「格助詞(誤用)→Y(正用) 」における誤用の実態 が→Y>に→Y>○→Y>を→Y>で→Y ②「格助詞 X(誤用)→正用」における誤用の実態 X→は>X→に>X→を>X→で>X→○>X→が>X→の ③格助詞の学習難易度 が>に>不使用>を→過剰使用>で ④連体助詞「の」の誤用例において、誤用が最も多いのが「の」の不使用と過剰使用で 11 第 42 回中日理論言語学研究会 2015 年 7 月 19 日(日)於同志社大学大阪サテライト・オフィス ある。 ⑤「の」の学習難易度は、次のようになる。 修飾名詞が被修飾名詞の性質を表すもの>修飾名詞が非修飾名詞の所属先に当たるも の>修飾名詞が被修飾名詞の基準点に当たるもの ⑥格助詞と共起する場合における「の」の不使用の頻度は、次のようになる。 で>について>と>から>へ>に対して ⑦「〇→が」と「〇→の」の分析結果は、誤用のパターン化をはかり、規則性を見いだ すのが誤用研究の必要不可欠の方法であることを物語っている。 参考文献: 益岡隆志 2000 『日本語文法の諸相』くろしお出版. 森田良行 2002 『日本語文法の発想』ひつじ書房. 日本語記述文法研究 于康 2011 2009 『現代日本語文法 2 第 3 部格と構文 第 4 部ヴォイス』くろしお出版. 統計から見る中国語母語話者の助詞の誤用,『北研学刊』7号,広島大学北京研究センター, 白帝社. 于康 2013 中国語母語話者の日本語学習者の「格助詞」不使用について―格助詞「が」の不使用を中心 に―, 『言語と文化』第 16 号,関西学院大学言語教育センター. 于康、田中良、高山弘子 于康 2014 于康,田中良 2014 《加注标签软件与日语研究》浙江工商大学出版社. 《日语偏误研究的方法与实践》浙江工商大学出版社. 2014 『中国語作文添削と指導―タグ付けプログラム TNR』好文出版. 12
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