自作問題 - 茨城大学

工業力学 宿題
担当: 茨城大学 工学部 知能システム工学科
井上 康介
2015 年度版
10
各講義の終了時に,その回に対応する問題番号を指定する.
模範解答は,A・B 両コースで提出期限を過ぎたタイミン
グでウェブ上に掲載する.掲載後の提出は不可.
回答は数値として行う.つまり,最終的な回答において
√
3 や sin π/3 などが含まれてはならない.ただし,計算
の誤差をできるだけ小さくするためには,最終回答の直前
まではこれらの値を数値化せず,最終回答を行う時点にお
いてこういった値を数値化すること.有効数字は指定のな
い限り 3 桁とする.重力加速度は指定のない限り g = 9.80
[m/s2 ] とする.(あとで気づいたが,国際的に定められた
「標準重力加速度」では g = 9.80619920 [m/s2 ] であり,3
桁なら 9.81 とすべきだった.仕方がないので,ここでは
9.80 でも 9.81 でも OK とする.)
r
20
40
h
40
10
Fig. 6.2
y
6 剛体の運動
6.1. [Newton-Euler 法] Fig.6.1 に示すように,水平な地面に
置かれた直径 1 [m],質量 200 [kg] の円柱に巻き付けた
ワイヤを鉛直上方向に 20 [kgf] の力で引き上げたところ,
60r
x
O
円柱は地面との滑りを生じることなく転がり始めた.こ
のときの加速度を求めよ.
Fig. 7.1
6.2. [回転体のつりあい]
Fig.6.2 に示すように,両端を軸受
けで固定された軸があるとする.軸の右側に 2 つの質量
1 [kg] のおもりが図に示す位置で取り付けられており,左
側には質量 2 [kg] のおもりを取り付けるとする.この軸
が静的および動的なつりあいとなるとき,左側のおもり
の取り付け位置,r および h を求めよ.ただし図中の寸
法の単位は [cm] とする.
(1)
(2)
(3)
(4)
投げ上げた瞬間の運動量を求めよ.
その後の運動量の時間変化率はどれほどか.
10 [s] 後までに受ける力積はどれほどか.
(3) の結果を用いて 10 [s] 後の運動量を求めよ.
※ 運動量,力積はベクトル量である.
7.3. [力積] Fig.7.2 に示すように,水平左向きに速さ 20 [m/s]
で飛んできた質量 60[g] のボールがテニスラケットのガッ
トに接触したとする.ボールは 0.2 [s] の間ガットから水
平右向きの力を受けて,最終的に右向きの速度 v を得て
7 衝突
7.1. [運動量] 240 [t] の飛行機が時速 840 [km/h] で飛んでい
ラケットから離脱した.ボールがラケットに接触し始め
た時刻を t = 0 とするとき,ボールが受けた力の大きさ
は F (t) = −2250t(t − 0.2) [N] であったとする.右向き
を正にとり以下の問いに答えよ.
るとき,その運動量の大きさはどれほどか.
7.2. [運動量・力積] Fig.7.1 に示すように,質量 100 [g] の
ボールを迎角 60◦ の方向に初速 80 [m/s] で投げ上げた.
(1) ラケットと接触する前のボールの運動量を求めよ.
(2) ラケットがボールに与えた力積を求めよ.
(3) (2) の結果から,ラケットから離脱したボールの速さ
空気抵抗は無視できるとして以下の問いに答えよ.
を求めよ.
20 [kgf]
7.4. [角運動量] 水平な地面の上を時速 60 [km/h] の速さで滑
ることなく転がる質量 2 [kg],直径 30 [cm] の球の運動量
および角運動量を求めよ.
Fig. 6.1
1
7.5. [角衝撃量] 摩擦のない軸に取り付けられた質量 50 [kg],
直径 1 [m] の円板が 200 [rpm] で回転している.これに対
し,回転方向と反対の一定のトルク 20 [Nm] を 10 [s] の
の高さおよび 2 回目に地面に衝突するまでに進む水平方
向の移動距離を求めよ.ただし空気抵抗や地面との摩擦
は無視できるとする.
間かけ続けたとする.
y
(1) 円板が受ける各衝撃量を求めよ.
(2) トルクをかけた後の円板の角運動量を求めよ.
10 [m/s]
49 [m]
7.6. [運動量保存] 静かな湖面を 3 [km/h] で進む質量 150 [kg]
のボートに乗った体重 50 [kg] の人が,後ろ方向に 40 [kg]
の荷物を投げたところ,ボートは加速した.ボートに乗っ
た人と投げた荷物が離れるスピードは 2 [km/h] であっ
た.荷物を投げた後のボートの速さはどれほどか.
x
O
7.7. [向心衝突] なめらかな水平面上を v1 = 2 [m/s] で滑る
5 [kg] の物体 1 が,その正面に静止していた 12 [kg] の
物体 2 に衝突し,それぞれの物体はその直線上でそれぞ
れ v1 ,v2 [m/s] の速度で滑り始めたとする.ただし,最
初の物体 1 の運動方向を正にとる.物体間の反発係数を
e = 0.7 として,以下の問いに答えよ.
Fig. 7.4
7.10. [偏心衝突] Fig.7.5 に示すように,長さ 6[m],質量 10[kg]
の細く均一な静止した棒の端点から 1 [m] の位置に,棒
に垂直な方向から 5 [m/s] の速さで進んできた質量 3 [kg]
(1) 運動量保存則を定式化せよ.
(2) 反発係数を用いて v2 − v1 を求めよ.
(3) (1),(2) の結果から,v1 ,v2 を求めよ.
の球が衝突したところ,球は静止した.このとき,反発
係数および衝突後の棒の角速度を求めよ.
※ 教科書の式 (7.18) は用いない.
6 [m]
7.8. [斜めの衝突] Fig.7.3 に示すように,xy 平面上におい
て,2 [m/s] の速さで x 軸方向に進む質量 4 [kg] の球 1
に対して,x 軸と 60◦ の角度をなす方向に同じく 2 [m/s]
で進んできた質量 3 [kg] の球 2 が衝突した.衝突の瞬間,
2 つの球の中心を結ぶ直線は y 軸に平行だったとする.2
球の反発係数を 0.8 として,衝突後の 2 球の速度をそれ
5 [m/s]
ぞれ求めよ.
1 [m]
7.9. [地面との衝突] 水平な地面の上,高さ 49 [m] の位置
から,質量 100 [g] の小さなボールを 10 [m/s] の速さで
Fig. 7.5
水平に投げた.地面とボールの間のはねかえりの係数を
0.8 とするとき,ボールが 1 回地面に衝突した後の最高点
8 仕事・エネルギー・動力
20 [m/s]
8.1. [仕事]
F
Fig.8.1 に示すように,古タイヤにワイヤをつけ
て,斜め上 45◦ の方向に 20 [kgf] の力で引き,500 [m] を
走るトレーニングを行った.このとき行った仕事はどれ
ほどか.
v
20 [kgf]
Fig. 7.2
45r
2
60r
Fig. 8.1
1
y
x
Fig. 7.3
2
8.2. [バネ力・重力のなす仕事] Fig.8.2 に示すように,質量
m の荷物を弾性係数 k のバネの上にのせたところ,つ
りあい状態において荷物上面の地面からの高さは H1 と
取り付け,下向きに速度 v0 = 20 [m/s] を与えたとする.
バネ定数を k = 20 [N/m] とするとき,おもりが停止する
瞬間のおもりの位置は初期状態からどれほど下がってい
るかを求めよ.
なった.この荷物の上部に取り付けたワイヤを地面から
の高さ h まで巻胴 (Fig.8.3) で静かに引き上げたとする.
ワイヤ質量は単位長さあたり ρ で,巻胴の軸の高さは H2
であったして,巻胴がした仕事を求めよ.
※ 巻胴に巻き付いたワイヤのアンバランスによるトルク
は無視する.
v0
x
Fig. 8.5
H2
h
H1
8.6. [エネルギー保存則] Fig.8.6 に示すように,高さ 20 [cm]
の緩やかな段差の上にあった質量 3 [kg],直径 10 [cm] の
球が静かに転がり始め,段差の下の水平面を転がったと
する.転がりに際してすべりはないものとすると,最終
的な速さはいかほどになるか?摩擦や空気抵抗などによ
るエネルギー損失は無視できるとして求めよ.
Fig. 8.2
20 [cm]
v
Fig. 8.3 巻胴 (hosting drum)
Fig. 8.6
8.3. [回転の仕事]
Fig.8.4 に示すように,地面に固定された
回転軸に取り付けた質量 2 [kg],長さ 50 [cm] の細く均一
な棒に対し,回転軸に取り付けたモータによりトルクを
かけることを考える.
8.7. [衝突によるエネルギー損失] 質量 6 [kg] の物体 1 が
4 [m/s] の速さで進んでいく正面から,反対方向から向
かってきた質量 4 [kg] の物体 2 が 4 [m/s] の速さで衝突
した.摩擦や空気抵抗は無視できるものとし,2 物体間
の反発係数を 0.75 とするとき,衝突によるエネルギー損
(1) 棒と地面のなす角が θ = 30◦ で棒が静止していると
するとき,トルク τ を求めよ.
(2) (1) の状態から棒を微小角度 dθ だけ持ち上げるのに
要する微小仕事 dW を求めよ.
(3) 棒を θ = 30◦ から 45◦ までゆっくりと持ち上げると
き,モータのする仕事 W を微小仕事の積分により求
失はどれほどか.
8.8. [動力] 1[m] あたり 10[kg] の鎖に取り付けた質量 200[kg]
の荷物をウインチにより真上に 1 [m/s] の速さで持ち上
めよ.
げることを考えるとき,ウインチ・荷物間の鎖の長さが
3 [m] となった瞬間の動力を求めよ.
8.9. [回転運動の動力] Fig.8.7 に示すように,長さ 20 [m],
質量 5 [t] のクレーンの先端から下げたワイヤに 500 [kg]
の荷物をぶら下げた状態で,クレーンを 1 [rad/min] の
τ
θ
角速度で反時計回りに回転させるとき,クレーン姿勢が
45◦ となった瞬間におけるクレーン根本のモータの動力
を求めよ.ただしクレーン角速度は十分遅く,加速度・
角加速度の影響は無視できるほど小さいと見なす.
Fig. 8.4
8.4. [位置エネルギー]
自然長からの伸びを x [cm] とすると
き,引っ張り力が f (x) = 5x2 [N] となる非線形バネがあ
るとする.このバネが自然長から 12 [cm] 伸びていると
すれば,蓄積された弾性エネルギーはどれほどか.
8.5. [エネルギー保存則]
Fig.8.5 に示すように,天井からつ
るした自然長のバネの先端に質量 m = 5 [kg] のおもりを
3
45r
Fig. 8.7
9 摩擦
9.1. [静摩擦]
Fig.9.1 に示すようにロボットハンドの 2 本の
指で質量 500 [g] の物体を左右からまっすぐに挟んで把持
することを考える.物体と指の間の静摩擦角が 30◦ であ
るとき,物体を把持するための把持力 F の条件を求めよ.
−F
F
Fig. 9.1
9.2. [動摩擦]
質量 m の物体が水平な床面上を v0 の速さで
滑っているとする.重力加速度を g ,物体と床面の間の
動摩擦係数を μ とするとき,物体が停止するまでの距離
を求めよ.
9.3. [動摩擦]
Fig.9.2 のように,質量 400 [kg] の物体にとり
つけたワイヤをウインチで引き,水平な床面上を一定速
さ 2 [m/s] で引きずることを考える.物体と床面の間の
動摩擦係数を 0.5 とするとき以下の問いに答えよ.
(1) 物体が加減速していないことを考慮して,ワイヤ張
力を θ の式として求めよ.
(2) θ = π/6 [rad] の瞬間におけるウインチの動力を求
めよ.
2 [m/s]
θ [rad]
Fig. 9.2
4