FAQ(免疫) プロカルシトニンについて Q プロカルシトニンとは何ですか。 また、測定する臨床的意義は何ですか。 A プロカルシトニン(PCT)とは、116のアミノ酸からなるペプチドで、カルシトニンの前駆物質です。 通常は甲状腺のC細胞で生成されますが、細菌・真菌・寄生虫による重篤な感染症時は、TNF-αやIL-6と いった炎症性サイトカインにより誘導され、肺・小腸を中心に産生され、血中に分泌されます。 こういった特性から、信頼性の高い敗血症のマーカーとして注目され、2006年2月から保険適用が開始 されました。 (生化学的検査(I)プロカルシトニン 320点、敗血症(細菌性)を疑う患者を測定したときのみ算 出) 敗血症は集中治療を要する患者さんなどの死亡原因に占める割合が高く、その診断と治療開始の遅れ は、ときに死につながります。現在、敗血症の診断は、1991年に(1)感染の証明、(2)体温、白血球数、 心拍数と呼吸数で定義される全身性炎症反応症候群(SIRS)によって行うものと定義されました。(1)は 血液培養しか方法がないこと、(2)は非特異的であることなどから、未だに診断が難しい状況です。 PCTは現在診断に用いられているCRP・IL-6・TNF-αなどに比べて、感度・特異度が高いことがわかっ ています。現在の臨床症状による診断にPCTを追加することで、感度・特異度を向上させることができ ます。また、診断だけでなく、重傷度の判定や治療モニタリングにも用いることができるので、PCTは 意義がある項目といえます。 ※敗血症(Sepsis): 感染症に起因する全身性炎症反応症候群(SIRS:全身性の過剰かつ制御困難な炎症反応)を起こした状 態 参考文献 Muller B, et al. Crit Care Med 2000, 28:977-983
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