産地間競争の現局面と全農系統コメ共販の課題 -東日本の主要産地を中心に(第2報)- 伊藤亮司 * ・中村勝則 ** ・千葉あや *** 昨年度の大会個別報告では、 コメの産地間競争の現局面の特 徴およびそれを踏まえた全農系 統コメ共販の課題について、主 に、北海道、青森、福島、新潟 の4道県を対象にした県間競争 の実態および新潟県内における 各産地間の競合について整理し た。そこでは、従来、主食用米 は、新潟(魚沼)産コシヒカリ を筆頭に、A 銘柄(新潟以外のコシヒカリ)-B 銘柄(コシヒカリ以外)へと拡がるピラミッド 型の産地品種銘柄序列・棲み分けが一部不安定化し、新たな局面を迎えつつあることを明らかに した。そこでの産地間競争の特徴としては、北海道および新潟の2大産地が、それぞれ「フルラ イン化」を図る中で、両者に挟まれた東北 B 銘柄産地が毎年、どこかに矛盾のしわ寄せがいく「バ バ抜き」(H25 産米では福島)から抜け出せずにいること、および県内においては、県域での一 枚岩の共販体制から互いに市場を喰いあう足の引っ張り合いの側面が出てきており、そのような 県内外における競争激化が、ただでさえ需給環境が悪化する状況のもとでの安売り・値引き競争 の悪循環を引き起こしていることを指摘した。 今回は、その後の状況および「矛盾のしわ寄せ先」である東北各県の実態調査結果を織り込み、 その上で、全農本所を含む需給調整機能・全国共販の課題を考察することとする。 *新潟大学、**秋田県立大学、***一般社団法人JC総研
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