言語や文化について体験的に理解を深める(その3)

言語や文化について体験的に理解を深める
~
「言語への気付き」を意識した実践事例②
(その3)
~
(その2)では、活動を通して、職業名における日本語と英語の特徴について気付かせ
る実践事例を紹介しました。今回は、英語の文構造など様々な特徴に気付かせることがで
きたC小学校の事例を紹介します。
C 小学校の実践例
単元末には、
「仲間探し」
単元名
Hi, friends! 1
Lesson 4
I like apples.
や Who am I? クイズを
4時間計画の1時間目
実施する計画
め あ て:日本語と英語の音の違いに気付き、
好きなものや嫌いなものを表す表現を知る。
主な活動:先生の好きなもの嫌いなものを知る活動 → スリーヒントクイズ
→ キーワードゲーム
→
チャンツ
〔主な授業の流れ〕
学習活動
1
先生の好きなもの嫌いなものを知る活動
学習の様子
【聞く活動】
(1) 学級担任(HRT)
・学級担任(HRT)が、I like, I don’t like を使って
(2) ALT
自分の好きなものと嫌いなものについて、絵や写真で
示しながら紹介しました。
・次に ALT が同様に紹介しました。
2
スリーヒントクイズ
【聞く活動】
・HRT と ALT で、I like, I don’t like を使って、三つ
楽しい活動として、十分な聞
く活動を位置付けています。
のヒントを与え、誰のことを説明しているかを当てる
クイズを出題しました。答えの多くが、C 小学校の先
生や児童であったため、児童は、とても積極的に取り
組みました。
3
キーワードゲーム
【聞く活動】
【口まねする活動】
4
チャンツ
【口まねする活動】
・Hi, friends! にある I like apples のチャンツを行
いました。十分な聞く活動で表現や語句に慣れ親しん
でいたため、スムースに口まねする活動に取り組むこ
とができました。
そして、終末の「振り返り」の段階で、HRT が、「今日の活動を通し、何か気付いた
ことがあるか?」と問いかけました。
すると、児童たちから
好きというときは、ライク like
英語だと、果物の名前の
を使うけど、好きじゃないとい
最後にスとかズの音が
うときは、ドントライク don’t
聞こえた。
like と言っていた。
日本語だと「メロンが好き」ってメロンが最初に来るけど、英語では、
アイライクメロン I like melons.
とメロンが最後に来ていた。
など、様々な「気付き」が発表されました。
その一つ一つに対し、
「本当だね。」
「本当? 確認してみようか?」等と、それぞれの
「気付き」をクラス全体で共有する場も設けていました。
小学校外国語活動では定着させたり覚えさせたりすることを目的とはして
いませんので、児童の「気付き」を定着につなげるなどはしません。児童が、
外国語に慣れ親しみながら、日本語との違いに気付いたり、言葉の面白さに
気付いたりすること自体が、目的の一つでもあります。活動を「言語への気
付き」の視点で見直すことで、より充実したものになると思われます。
児童に「気付かせる」ためには、それなりの活動が大切です。本事例のように、ゲーム
や活動を通して、自然に英語を「聞く活動」を十分に設定することが大切です。
(特に単元
の1時間目)本事例でも、2
スリーヒントクイズ
功しています。この二つの活動をなくして
⇒ 4
チャンツ
1
3
キーワードゲーム
の設定が奏
先生の好きなもの嫌いなものを聞く活動
の流れでは、上記のような児童の「気付き」は生まれなかったでしょ
う。
各校でも、児童の言語への「気付き」を促す活動を充実させてほしいと思います。