萩光塩学院中学校・高等学校「学校いじめ防止基本方針」

萩光塩学院中学校・高等学校「学校いじめ防止基本方針」
はじめに
いじめは、いじめを受けた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な
成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を
生じさせるおそれがある。
これまでも本校においては、担任による面談やいじめ調査アンケートの実施などでいじ
めの「未然防止」「早期発見」「早期対応」に努めてきた。今後、更に「いじめはどの生徒
にも、どの学校にも起こりうる」との認識を強く持つ必要がある。学校生活において一人
ひとりを大切にし、安心感を与え、生徒をいじめに向かわせないようにするとともに、い
じめを認知したり、いじめが背景にあると疑われる『重大事態』が発生した場合には、問
題を隠さず、すべての教職員が解決に向け一丸となって、迅速、的確かつ組織的な早期対
応を行うことが重要である。
いじめは人権にかかわる問題であり、早急な解決に向けて、より積極的に取り組む必要
性が高いことから、
「いじめ防止対策推進法」(以下「法」という)の主旨を踏まえ、国の
「いじめ防止等のための基本的な方針」
(以下「国の基本方針」という)及び「山口県いじ
め防止基本方針」を参酌し、総合的かつ効果的ないじめ対策を推進するため、「萩光塩学院
中学校・高等学校いじめ防止基本方針」を策定する。
Ⅰ.いじめ防止等のための対策の基本的な方向に関する事項
「いじめは人間として、絶対に許されない」との認識をもち、子どもたちを加害者にも、
被害者にも、傍観者にもしないために、以下の 4 つの目標を定め、いじめの防止・根絶の
ために対策を積極的に推進していくものとする。
・生徒一人ひとりを「かけがえのない存在」と認め、本校の建学の精神である「地の塩・
世の光」というキリスト教の教えに基づいて、一人ひとりに秘められている力を十分
に発揮し、成長していくよう努める。
・本校のモットーである「自分のまわりに喜びと光をまく人」として、豊かな人間性や
社会性を身につけ、心豊かな人格の形成をめざす。
・真に信頼され、自ら善い行いができる人材育成をめざす。
・正しい判断力、強い意志力と豊かな情操を養い、社会に貢献できる人材を育成するこ
とでいじめ根絶をめざす。
1
1 いじめとは
(1)定義
いじめとは、生徒に対して、当該生徒が在籍する学校に在籍している等当該生徒と
一定の人的関係にある他の生徒等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(イ
ンターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった生
徒等が心身の苦痛を感じているものをいう。
(法第 2 条)
個々の行為がいじめに当たるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじ
めを受けた生徒の立場に立つことが必要である。
いじめの認知に当たっては、特定の教職員のみによることなく、学校いじめ対策組織
が中心となって、いじめに該当するか否かを判断することとし、
「心身の苦痛を感じてい
るもの」との要件が限定して解釈されることがないように努める。
具体的ないじめの態様は、以下のようなものがある。
◇ 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。
◇ 仲間はずれ、集団による無視をされる。
◇ 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。
◇ ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。
◇ 金品をたかられる。
◇ 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。
◇ 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。
◇ パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。 等
これらの「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に
警察に相談することが重要なものや、生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じる
ような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては、教育
的な配慮や被害者の意向への配慮の上、早期に警察に相談・通報し、連携した対応を取
ること。
(2)特徴及び構造
いじめは、
「どの子どもにも、どの学校にも起こりうる」との認識を持たなければな
らない。
2
いじめられる生徒といじめる生徒は、多くの場合、入れ替わりながら被害も加害も
経験していることが多い。暴力を伴わないいじめであっても、何度も繰り返す、多く
の者から集中的に行うなどにより、生命又は身体に重大な危険を生じさせることがあ
るため、いじめに軽重をつけることなく丁寧に対応することが大切である。
いじめは「四層構造」となっている。
いじめをめぐる集団の中では、いじめの中心となる生徒がいて、同時にその周囲に
はいじめに加わる同調集団がいて、いじめられている生徒が孤立していることが多い。
いじめを受けている生徒にとっては「周りではやしたてる者(観衆)」も「見て見ぬ
ふりをする者(傍観者)
」も「いじめている人」に見えるものである。こうした四層構
造を念頭に置き、いじめる・いじめられるという二者関係への対応だけでなく、観衆
や傍観者がいじめを止める、仲裁するなど、集団全体にいじめを許容しない雰囲気を
醸成するとともに、生徒がいじめを自らの問題としてとらえ、正しく行動できる力が
育まれるようにすることが大切である。
2 いじめの防止等に関する基本的考え方
(1)いじめの防止
生徒は、いじめを行ってはならない。(法第4条)
いじめは人権問題であるとの認識の下、自由、平等、生命をキーワードとする人権に
関する取り組みの意識を高め、一人ひとりを大切にする教育の展開をしなければならな
い。
いじめを根絶するためには、
「いじめは絶対に許されない」「いじめは卑怯な行為であ
る」との認識の下、未然防止の観点から、家庭や地域、関係機関等と連携・協働し、す
べての生徒を対象とした人権教育や道徳教育、情報モラル教育等、健全育成に係わる取
り組みを総合的かつ効果的に推進し、豊かな人間性、確かな学力等生きる力を育まなけ
ればならない。
(2)いじめの早期発見・早期対応
いじめは、構造的にいじめ行為が見えにくい一面があることから、生徒の些細な変
容について、関わる全ての教職員が状況等を共有し、「背景にいじめがあるのではない
か」との危機意識を持ち、いじめを軽視したり、隠したりすることなく、可能な限り
早期にいじめを認知することに努める。
いじめを認知した場合には、迅速かつ適切、丁寧な指導・支援を行い、生徒にとっ
3
て、一刻も早く安心・安全な学校生活を送ることができるように必要に応じて関係機
関や専門家等と連携しながら、いじめが確実に解決されるまで、組織による粘り強い
対応を行う。
また、解決後もきめ細かく見守りを行うなど継続的な支援も行う。
(3)家庭や地域との連携
生徒を見守り、健やかな成長を促すとともに、より多くの大人が子どもとしっか
り関わり、悩みや相談を受け止めるなどの体制を構築するため、光塩会(PTA)を
はじめ、保護者と積極的に連携・協働していく。
(4)関係機関等との連携
いじめの問題の対応については、関係生徒・保護者間での解決を図るだけでなく、
事案によっては、関係機関等との速やかで適切な連携を図る。
平素から、学校、警察、児童相談所、地方法務局、県教委、市教委等と定期的に連
絡・協議する機会を設けるなど、情報共有体制の充実に努める。
Ⅱ いじめの防止等のために本校が実施する事項
(1)
「萩光塩学院いじめ防止基本方針」の策定
いじめの防止等の取り組みが体系的・計画的かつ具体的に行われるよう、「萩光塩
学院いじめ防止基本方針」
(以下「学校基本方針」という)を策定する。
(2)
「いじめ対策委員会」の設置
管理職、生活指導部主任、当該学年主任、教育相談担当教員、養護教諭、および
外部有識者により構成する。
当該委員会は、学校の組織的ないじめ対策の中核として、「学校基本方針」に基づ
くいじめの防止等に係る「未然防止」「早期発見」「早期対応」の各取り組みをより
実効的に行う。
具体的には、次の具体的な役割を担う。
◇
いじめの相談・通報の窓口としての役割
◇
いじめの疑いに関する情報や生徒の問題行動等に係る情報の収集と記録、共有
を行う役割
◇
いじめの疑いに係る情報があったときには緊急会議を開いて、いじめの情報の
迅速な共有、関係のある生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方
針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施するための中核として
の役割
4
いじめ対策委員会
地域
PTA(光塩会)
校
長
教
頭
支援
教育委員会
【生活指導部会等】
生活指導主任
関係機関
生活指導担当教員
警 察
養護教諭、学年主任
児童相談所
担任、部活動顧問
地方法務局
教育相談担当教員
その他関係機関
SC
5
弁護士
医
師
民生委員・児童委員
人権擁護委員
少年安全サポーター
(3)人権が尊重された学校づくり
いじめは、著しく人権を損害する行為につながるおそれがあり、未然防止に努める
ことが大切である。
「いじめは人間として、絶対に許されない」という意識を徹底する
とともに、互いの人格を尊重した態度や言動ができるよう、組織的・計画的に人権教
育に取り組む。
(4)豊かな心を育む教育の推進
生徒の一人ひとりの夢の実現に向けて、知・徳・体の調和のとれた「生きる力」の
核となる豊かな人間性を育むため
・宗教の時間を通して正しい倫理観を養う。
・ボランティア活動に積極的に参加し、地域社会に貢献する。
など生徒が「心を開き、心を磨き、心を伝え合う」ことができる教育活動の充実を
図る。
Ⅲ 学校におけるいじめ防止等のための具体的な事項
学校が行う、具体的な取り組みとして、学校基本方針に基づき、学校教育活動全体
を通して生徒一人ひとりを大切にする教育を推進する。
そのためには教職員の資質能力の向上、生徒をきめ細かく見守る体制の整備、認知
したいじめに対する迅速・的確かつ組織的な対応等の取り組みについては「いじめ対
策委員会」が中核となり、計画的・継続的な取り組みを図る。
このため、全ての教職員はもとより、家庭・地域との連携を密にして、以下の4点
を対応の視点として、いじめの問題への取り組みを推進する。
(1)未然防止(いじめの予防)
◎生徒指導・教育相談の充実・強化
いじめ問題を根本的に解決するためには、生徒が本来持っているよさや可能性を引
き出すなど、開発的・予防的な生徒指導の推進が必要である。そのために、生徒の状
況等について日頃から教職員間での情報共有等に努める。
・学校教育活動を通して、いじめの防止に資する多様な取り組みを体系的・計画的に
行い、いじめへの対応に係わる教職員の資質能力向上を図る校内研修を実施する。
・教職員自身が人権意識を高め、体罰や言葉による暴力を絶対に行わない。
・教育相談を充実させるため、校内の相談窓口を生徒に周知し、不安や悩みなどを受
け止める体制の充実を図る。
・学校生活全般において、できるだけ生徒とのふれあいの機会を増やし、生徒の行動
を観察すると同時に、信頼関係を構築する。
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・
「学校適応感調査『Fit』など客観テストなどを通して、生徒理解に努める。
(2)早期発見(把握しにくいいじめの発見)
いじめは、外から見えにくいことが多く、「いじめ対策委員会」が中核となり、全て
の教職員が連携・協力して早期発見できるよう、校内指導体制を確立する。
・担任だけではなく、補佐、教科担当教諭、養護教諭、部活動顧問など複数の教職員
による指導体制をとり、連携を密にする。
・生徒や保護者・地域等に、すべての教職員が「いじめは人間として、絶対に許され
ない行為である」
「いじめられている生徒を必ず守り通す」といった、毅然とした態
度を日頃から示しておく。
(3) 早期対応(現に起こっているいじめへの対応)
現に起こっているいじめに対応するには、いじめの全容解明が必須である。そのた
め担任や教科担当、部活動顧問等、担当教員が一人で事案を抱え込むことなく、
「いじ
め対策員会」を中核とし、迅速・的確かつ組織的に、全校体制で早期解決に資する取
り組みを実効的に行う。
いじめを認知した場合(疑われる場合や申し出等があった場合も含む)
、日常の観察
や聴き取りなどにより、状況等の詳細を把握する。その際、いじめの四層構造を踏ま
え、内容、時期、関係した生徒などについて明確にし、5W1Hに留意して、記録す
る。また、生徒だけでなく、保護者に対しても誠意をもって対応する。
(4)インターネットや携帯電話等を利用したいじめへの対応
インターネットや携帯電話等を通じて行われるいじめは、発信された情報の高度の
流通性や発信者の匿名性、非公開の SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や
コミュニケーションアプリの閉鎖性等の特性を踏まえて対応することが重要である。
・インターネット上の掲示板サイト、チャット、コミュニケーションアプリ上での誹
謗中傷、他者の個人情報の流出等のネットいじめについては、いじめを受けた生徒
からの申し出の内容を精査する過程で、実際に掲示板サイトやコミュニケーション
アプリ上の書き込みなどを確認するとともに、本文を印刷又は写真撮影するなどし
て記録を残しておく。
・いじめを受けた生徒・保護者の意向を確認した上で、掲示板サイト管理者等への削
除依頼、当該コミュニティサイトを利用している生徒への直接指導等、削除の徹底・
確認等、具体的な対応を行い、被害の拡大を最小限に抑える。
・必要に応じて、ネットアドバイザー等に相談し、指導助言に基づいた対応を行う。
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・警察との連携が必要と認められる悪質な事案等については、所轄警察署、県警サイ
バー犯罪対策室と連携し、問題の早期解決に努める。
(5)重大事態への対応
(生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあるいじめ等への対応)
暴力行為や不登校等の事案が、重大事態であるか否かについては、事案の背景にい
じめが関連していないか、
「いじめ対策委員会」において判断する。判断に当たっては
学校法人萩光塩学院から、指導助言を得る。
重大事態への対応については、事案の重大性を踏まえ、たとえ不都合なことがあっ
たとしても、事実にしっかり向き合おうとする姿勢が重要である。いじめの全容解明
と早期対応の取り組みを基本姿勢として、「いじめ対策委員会」を中核とする迅速・的
確かつ組織的な対応を行う。
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平成 26 年度
月
4月
5月
萩光塩学院中学校・高等学校
職員会議等
保護者との
連携
学校行事
未然防止・早期発見に向け
た取り組み
・いじめ対策委員会
指導方針・計画作成
・いじめ防止基本方針策定
・職員研修(相談・支援につ
いての再考)
・職員研修
(いじめ防止基本方針につ
いて)
・宿泊オリエンテーション(高 1)
・校内オリエンテーション(中・高)
・携帯電話・パソコン安心講習会
(中・高)
・教会訪問(中)
・交通安全教室(中・高)
・校内進路ガイダンス(高)
・教会訪問(高)
・HP 更新(随時)
・入学前の中学校との情報交
換
・役員会
・光塩会総会
・萩地区高等学校校外生徒指
導連絡協議会総会
・家庭訪問(中・高)
・スポーツ大会(中・高)
・職員研修(宗教教育)
・オープンスクール(中)
・インドネシア中高生来校
(中・高)
・文化祭(中・高)
・進路適性検査(高)
・防火訓練(中・高)
・薬物防止(中・高)
・修学旅行(中・高)
・ワークショップ(中)
・職場体験(中)
・学校見学日(高)
・建学の精神の深化(高)
・市内巡視
・「Fit」の実施(中・高)
・小中学校訪問
・いじめアンケート
(中・高)
・人権問題に関するアンケー
ト(高)
・いじめアンケート
(中・高)
・市内巡視
・人権教育(中)
・1 学期の振り返り
(中・高)
・小中学校訪問
・体育祭(中・高)
・体育祭警備
・校内進路ガイダンス(高)
・校友会選挙(高)
・役員会
・建学の精神の深化(高)
・市内巡視
・小中学校訪問
・開校記念日ミサ
・光塩バザー
・オープスクール(高)
・クリスマスキャロルコンクール
(中・高)
・クリスマス祝い(中・高)
・校友会選挙(中)
・役員会
・光塩バザー警備
・人権教育(高 1)
・いじめアンケート
(中・高)
・市内巡視
・人権学習(中)
・手話講習(高 2)
・「犯罪被害者支援」の
講習会
(高 3)
・2 学期の振り返り
(中・高)
・錬成会(高 3)
・小中学校訪問
6月
7月
事
案
発
生
時
い
じ
め
対
策
員
会
8月
9月
・職員研修(生徒指導)
職
員
会
議
(
通
年
)
10 月
11 月
12 月
・職員研修(未定)
1月
2月
3月
いじめ防止等に向けた年間計画
・平成 26 年度のまとめ・
反省
・保護者面談(中・高)
・役員会
・萩夏祭りヨイショコショ参
加(中・高)
・保護者面談(中・高)
・カルタ会(中・高)
・避難訓練(中・高)
・コース文化部発表会(中・高)
・卒業式(高)
・学校新聞発行(中・高)
・役員会
・懇親会
・学院の精神の深化(高)
・人権学習(中)
・小中学校訪問
・卒業式(中)
・携帯安全指導(仮入学)
(中・高)
・市内巡視
9
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