平成 27 年 5 月 福西会病院 栄養管理科 「日本人の食事摂取基準」とは

平成 27 年 5 月
福西会病院
栄養管理科
新緑が鮮やかな季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。日中は汗ばむような日もみられ
るようになりましたが、穏やかな気候を健やかに過ごしたいものですね。
皆様は「日本人の食事摂取基準」というものをご存知でしょうか。
「日本人の食事摂取基準」は厚生
労働省が策定するもので、社会状況の変化を反映しながら 5 年ごとに改定されており、今年は改訂の
年にあたり 2015 年版が策定されています。
「日本人の食事摂取基準」とは?
私たちが健康を維持・増進するために、栄養素をどれくらい摂ればいいかという基準を示したもの
です
食糧難の時代には栄養素が「不足、欠乏しない」ことが重要視されていましたが、飽食の時代といわ
れる今日では、「摂りすぎや偏り」による健康への悪影響が生じています。そこで、食事摂取基準は、
3 つの目的からなる 5 つの指標で示されています。
<目的>
摂取不足の回避
1)「推定平均必要量」…半数の人が必要量を満たす量
2)「推奨量」…ほとんどの人が充足している量
3)「目安量」…十分な科学的根拠が得られず、推定平
均必要量と推奨量を設定できない場合に設定する。
過剰摂取による健康障害の回避
4)「耐容上限量」
生活習慣病の予防
5)「目標量」…生活習慣病の予防のために現在の
日本人が当面の目標とすべき摂取量
あなたの BMI は?
エネルギーの摂取量と消費のバランスを保つことは健康管理に重要です。必要以上のエネルギー摂
取は肥満や生活習慣病の原因となります。一方で、エネルギーの不足は、特に高齢者では低栄養につな
がります。
そこで、エネルギーの摂取量と消費のバランスが維持されているかを示す指標として「BMI」が使用
されています。BMI とは、身長と体重から算出される体格を示す指数のことです。
BMI=
体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)
例)身長 160cm、体重
BMI=
60 ÷
1.6
60kgの場合
÷ 1.6
= 23.4
目標範囲を上回っていれば「過剰」
、下回っていれば「不足」と考え、
目標とする BMI の範囲
年齢(歳)
目標とする BMI
18~49
18.5~24.9
50~69
20~24.9
70 以上
21.5~24.9
目標範囲内に収まるように体重を改善することをおすすめします。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
(2015 年版)
1 日の適正エネルギー量は?
BMI を 22 とする体重を「標準体重」といいます。
「標準体重(kg)
」=身長(m)×
身長(m)×22
上記の例の場合の標準体重は、1.6×1.6×22=56.3(kg) となります。
これを用いて、1 日の適正な摂取エネルギー量の目安が算出されます。
摂取エネルギー量(kcal)= 標準体重(kg)× 身体活動量
身体活動量=
25~30
軽い労作(デスクワークが多い職業など)
30~35
普通の労作(立ち仕事が多い職業など)
35~
重い労作(力仕事が多い職業など)
これは目安量であり、年齢、性別、日々の過ごし方、疾病の有無等によって一人一人異なるため、主治
医の先生に相談しましょう。
たんぱく質、脂質、炭水化物の食事摂取基準
成人(18 歳以上)に注目してみます。
たんぱく質の食事摂取基準
(推定平均必要量、推奨量…1 日あたりのg、目標量…%エネルギー)
性別
男性
女性
推定平均
推定平均
目標量
年齢(歳)
必要量
推奨量
目標量
必要量
推奨量
*1
18 以上
50
60
13~20
40
50
13~20
脂質の食事摂取基準
(脂質の総エネルギーに占める割合:%エネルギー)
炭水化物の食事摂取基準(%エネルギー)
性別
男性
女性
性別
男性
女性
年齢(歳)
目標量
目標量
年齢(歳)
目標量
目標量 *3
18 以上
20~30
20~30
18 以上
50~65
50~65
*2
例)1日の適正摂取エネルギー量が 1600kcal(女性)の場合
・たんぱく質(目標量 *1 より:15%)
:240kcal =60g
・脂質(目標量 *2 より:25%)
:400kcal =44.4g
・炭水化物(目標量 *3 より:60%)
:960kcal = 240g
☆健康の維持・増進、生活習慣病の予防のために、適正な体格と食事バランスを目指しましょう