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電磁気学 I 演習 10
2015/1/30
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1.[例題 20] 図に示すような十分に長いソレノイド C1 の外側に、それと同心にした長さ l2 のソレノイド C2 を
巻いたときの相互インダクタンスを求めよ。
(解答)
ソレノイド C2 の長さは有限であるため、
C2 の中を流れる磁場は複雑で、それがソレノイド C1 を
貫く磁束を求めるのは困難である。
これに対し、C1 の電流 I1 のつくる磁場は、
C1 内にだけ分布し、かつその内部で一様な大きさをもつ。
①
そこで M12 = M21 を考慮して、
内側のソレノイド C1 に電流 I1 を流したときにソレノイド C2 を貫く磁束を求める。
十分に長いソレノイド C1 内の電流 I1 のつくる磁束密度 B1 は
②
B1  n1 I1 (S1 : C1 の断面積、μ : 透磁率、n1 : C1 の単位長さあたりの巻き数)
したがって、ソレノイド C1 を貫く磁束  1 は 1  B1S1  n1 I1S1 である。
③
この磁束はソレノイド C2 のなかに全部含まれ、C1 と C2 の間には磁場は存在しない。
ソレノイド C2 の全巻き数は N 2  n2 l 2 より、(n2 : C2 の単位長さあたりの巻き数)
ソレノイド C2 を貫く全磁束  2 は
 2  N 2 1  n2 l 2  n1 I1S1  n1n2 l 2 S1 I1
これと  2  M 12 1 を比較して、
M 12  M 21  n1n2 l 2 S1
⑤
④
2.[問題 69] 巻き数 N1、半径 a の大きい円形コイルと、巻き数 N2、半径 b(<< a)の小さな円形コイルを、距離
d をおいて、図のように正対させたときの相互インダクタンスを求めよ。
(解答)
b<< a より、図のコイル C2 は小さいので、コイル C1 内の
電流 I1 の作る磁場は、C2 により囲まれる平面 S2 上では
一様とみなせる。
図のように、O、P、Q を置き、線分 QP = r、 OQP   とする。
ビオ・サバールの法則より、
dB 
 0 I sin 
ds
4 r 2
  POQ 
dB 

2
より、
 0 I ds
4 r 2
dB のうち、図の C1 に平行な成分は円周上で積分すると消えてしまう。
よって、残るのは中心軸方向の成分だけなので、P 点に作られる磁束密度 B(P)は
B( P) 
 0 I cos
4 r 2

ds 
C1
 0 I cos
 2a
4 r 2
ここで、 r 2  a 2  d 2 、 cos 
a
、 I  N1 I1 より
r
a
B( P ) 
 0 N1 I1 a  d 2
 0 N1 I1a 2

2

a

3
4
a2  d 2
2
2 2
2

2 a d
この磁場が C2 を貫く磁束  2 は
 2  N 2 BS 2 
 0 N1 N 2b 2 a 2

2a
2

3
2 2
d
I1
②
求める相互インダクタンス M12 は
M 12  M 21 
 2  0 N1 N 2 a 2b 2

3
I1
2 a2  d 2 2


③

①
3.[問題 70] 半径がそれぞれ a と b(b > a)の 2 個の円筒状導体の中心軸を一致させて、それぞれの円筒面上に
反対向きの電流を流す。この円筒の長さ l あたりの自己インダクタンスを求めよ。
(解答)
磁場は対称性から中心軸に垂直な同心円をつくり、円筒間の中心軸から
半径 R のところの磁束密度 B は
B
0 I
で与えられる。
2R
①
図の長さ l の部分に含まれる磁束  は


b
a
0 I
 Il
dR  l  0
2R
2

b
a
dR 0 Il
log b  log a   0 Il log b 

R
2
2
a
求める自己インダクタンスを L とすると
  LI より
L
  0l
b

log 
I
2
a
③
②
4.(1) 真空中のマクスウェル方程式の積分形を書き下し、それぞれの意味を述べよ。
(2) 電荷 Q および電流 I が存在しない場合の、真空中のマクスウェル方程式の積分形を書き下し、電場と磁
場の関係を簡単に述べよ。
(解答)
(1)
 D dS  Q
n
S0
電場に関するガウスの法則を時間的に変動する場合に拡張したものである。電場の発生源として電荷が実在
することを表す。
 B dS  0
n
S0
磁場に関するガウスの法則である。磁場が変動するときにも成立し、右辺がいつも 0 であるということは、
磁場の発生源としての磁荷というものが実在せず、磁束線がつねに閉曲線を形成していることを示している。
Dn
 H  ds  I   t dS
C0
S
定常電流のアンペールの法則を時間的に変動する電流の場合に一般化したアンペール・マクスウェルの法則
である。定常電流もしくは、電束密度の時間変動である変動電流により、その周りの空間に磁場が誘起され
ることを表す。

E  ds  
C0
Bn
dS
S t

磁束密度の時間変動にともなって、そのまわりの空間に電場が誘起されるというファラデーの法則である。 ①
(2)
 D dS  0
 B dS  0
D
 H  ds   t dS
B
 E  ds   t dS
n
S0
n
S0
n
C0
S
n
C0
S
電荷や電流が存在しない場合に、電場の変動が磁場を生み出し、その磁場の変動が電場を生み出すことを表
している。すなわち電場と磁場が互いに関係して、自らを生み出している。この時、電束線と磁束線は共に
閉曲線を形成する。
②
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