AGスプレーによる補修事例 (鉄筋切断面の補修) 安治川鉄工株式会社

AGスプレーによる補修事例
(鉄筋切断面の補修)
安治川鉄工株式会社
エポキシバー事業部
1.はじめに
これまでAGエポキシバーの補修には2液性塗料を用いておりました。2液性のため調
合の手間や、可使時間があるなど課題があったため、今回弊社では補修用塗料として「A
Gスプレー」を開発しました。
「AGスプレー」は1液性のエアゾール型塗料となっており、
従来の筆や刷毛を用いた補修とは違った使い方ができると考えております。
今回はD10異形鉄筋の切断断面を、
「AGスプレー」にて補修した事例をご紹介します。
2.補修方法
鉄筋断面を結束したまま筆、刷毛で補修すると塗り残ししやすい問題があった。AGス
プレーを用いることで塗り残しが少なくなり、補修にかかる時間が短くできると考えた。
今回の補修では、筆塗りとスプレー補修を行い、補修時間と塗り残し、塗膜品質について
比較を行った。
2.1
補修前の切断面
切断面は、切断時のバリや切断時に焼損した塗膜を、グラインダー等で除去した。
切断面をそろえて100本単位で結束した。
(写真1)
写真 1 補修前の結束状態
2.2
AG スプレーを用いた補修
補修は、ノズルと切断面間を約 30cm(一部 15cm)とした。スプレーの噴霧時間を変
化させて、塗膜の状態および膜厚を確認した。噴霧中は全体が均一に塗装できるようにス
プレーを平行に往復移動させた。ノズルを押す力で噴霧量が変化すると考えられるため、
噴霧中はできるだけノズルを押し込んだ。(気温10度)
噴霧前後で缶重量を測定し、スプレー缶減量を算出した。膜厚は、硬化後電磁式一点型
膜厚計で膜厚を確認した。また目視で塗り残しがないかを確認した。
2.3
2液性塗料を用いた補修
比較のため、2液性塗料を用いた補修も行った。補修は、100本結束した場合と、こ
れまで通り1本ずつ並べた場合について、かかった時間を測定した。乾燥硬化後は、目視
で塗り残しがないかを確認した。
3.補修結果
3.1
AG スプレーを用いた補修結果
AG スプレーを用いた補修では、100本結束したままでも特に塗り残しが起きないこと
が確認できた。
(写真 2、3)噴霧時間とスプレー缶減量は、ほぼ比例関係にあることが分か
った。
(図 1) スプレー缶減量と平均膜厚もほぼ比例関係にあることが分かった。
(図 2)
グラフより、適切なスプレー缶減量は約40g(噴霧時間45秒)である。
※AG スプレーは 300ml、約 260g入り
写真 2
AG スプレーを用いた補修
図 2 噴霧時間とスプレー缶減量
写真 3
AG スプレーを用いた補修
図 3 スプレー缶減量と平均膜厚
ノズルと切断面間を 15cmとしたものは、塗装直後はなかった気泡あとが硬化後に現れ
た。
(写真 4)AG スプレー使用時は、ノズルと被塗装体との距離を十分とって気泡ができ
ないように注意する必要があることが分かった。
写真 4 距離 15cm時の気泡あと
3.2
2液性塗料を用いた補修結果
2液性塗料を用いた補修では、今回刷毛塗りを4分間行い、塗り残ししないよう注意し
たが、乾燥後は塗り残しが確認された。
(写真 5)
1本ずつ筆塗りで補修した場合は、18分の時間を要した。(写真 6)
写真 5
2液性塗料を刷毛塗り
写真 6 2液性塗料を筆塗り
4.まとめ
「AGスプレー」は1缶あたりの塗料が少なく、コストの面で大面積の塗装には適して
いないと考えられるが、今回紹介したD10 の補修に関しては、補修時間が削減できること
から十分検討の余地があるといえる。
「AGスプレー」使用時は、ノズルと被塗装体との距離に注意する必要がある。なお、
今回は1回ぬりであったが、推奨される使用方法は数回に分けた重ね塗りである。重ねり
は気泡発生や塗料の垂れを抑え、硬化乾燥時間短縮にもなるため推奨したい。
以上