平成 14年 度事業報告 。平成 15年 度事業計画 試 験研究 12 道 産 味 噌 の 高 品質化 に 関す る試 験研 究 (H13-14) ―味噌用 酵母 の 分類 と性 質 の解 明― 発 酵食 品 部調 味食 品科 橋 渡 (山木)携 佐 々木茂文 田 村 吉史 研究の 目的 と概 要 味 噌 の製 造 に利用 され る有用微 生物 として酵母 が ある。酵母 は味噌 の香 りに大 き な影 響 を与 え、未熟臭 ・温醸 臭 の 除去や芳香性 の付 与 に効果 的で ある。酵母 の生 成 す る香気 成 分 の 中 には 、抗酸化性 な どの機 能性 を持 つ フ ラノン化合物 が あ る。利用 す る酵母 に よ つて味 噌 の 品 質 が 変 わ るため 、 よ り良質 な酵母 を選択 し、利用す るこ とは道産 味 噌 の 品質向上 につ なが る。 そ こで本研 究 では 、道産 味噌の高品 質化 を 目標 として 、道 産味 噌 の 品質 向上 につ なが る優 良味噌用酵母 を分離 し、そ の諸性質 を明 らか に した上で 、それ を実 際 の 味 噌醸造 に利用す るこ とをめ ざす 。 昨年度 は 、平成 12年 度お よび 13年 度全国味噌鑑評会 にて優 秀 と認 め られ た味 噌 よ り分離 した酵母 47株 の フ ラノン化合物生成 量 を測定 した。本年度 は、以前 に分離 ・ 保存 していた 平成 10年 度お よび 11年 度全 国味噌鑑評会 にて優秀 と認 め られ た味 噌 よ り分 離 した酵母 50株 の フ ラノ ン化合物生成 量 を測定 し、 さらに試験 した酵母 97 株 よ り25株 を選 抜 し、再現性 を確認 す るために 、第 二 次選抜試 験 を行 った。 予定 され る成 果 】 【 。優 良味噌用酵母利用 に よる道産味噌 の 高品質化 試験研究の方法 平成 10年 度 お よび 11年 度全 国味噌鑑評会 にて優秀 と認 め られ た味 噌 20点 よ り 分離 。保存 した酵母 50株 につい て 、 フ ラノ ン化合物生成 量 の測定 を行 った。比 較 対照 として 、標 準株 6株 (IF01876、 1130、0525、0505、0523、0439)と 市販株 2株 につい て も測定 した。 フ ラノ ン化合物生成 量 の測定 に用 い た培地 は、200mMリボー ス 、200mMグル タ ミ ン酸ナ トリウム混合溶液 と YPD培 地 (酵母 エ キ ス 2%、 ポ リペ プ トン S4%、 グル コー ス 4%)を それぞれ 121℃、 15分 滅 菌 し、 これ を無 菌的 に等量混 合 した もの を 用 い た。試験培地 4mlに 供試酵母 を 1×107個/mlに な るよ うに接種 し、蓋 を堅 く締 めて 30℃、 10日 間放置 した。測定試料 は、遠 心 分離 (3000rpm、 5分 )に よつ て 、 酵母 を除 いた培地 lmlを食塩 で飽和 させ 、酢酸 メチ ル 1.5mlを加 えて 10分 間激 し く振 と う後 、遠心分離 (3000rpm、 15分 )を 行 つ た。 この 時生 じた有機溶媒層 lml をガ ス ク ロマ トグラフ質量分析計 で 、 フ ラノ ン化合物 の うち 4-Hydroxy-2(or5)一 ethyl-5(or2)― methyl-3(2H)一 furanOne(HEMF)Zを 3 実 験結 果 ―-24-― 気ヒ』詮 lンアこ。 平成 14年度事業報告 ・平成 15年度事業計画 試 験研究 12 標 準株 及び市販株 を加 えた 58株 の酵母 の 、HEMF生 成 量 を図 1に 示 した。菌株 に よって 、HEMF生 成能 が 異 な る こ とが示 されたが、最 も生成 量 の 高 か った酵母 は、標 準株 の IF0 0505であった。 次 に 、今年度 と昨年度検討 した株 の 中 か ら、 フ ラノ ン生 成能お よび 測定培地 での 生 育度 に着 日して 25株 を選 抜 し、再現性 の確認 のために 、第 二 次選 抜試 験 を行 った。 選抜株 は、平成 10年 分離株 が 6株 、 11年 度 6株 、 12年 度 3株 、 13年 度 12株 、標 準 株 3株 の 28株 につい て 、llEMF生成 量 を測定 した。 そ の結果 (図 2)、最 も高 い生 成量 を示 した株 (T4)は、20mg/Lを超 える生成 量 を示 し、全 体的 にば らつ きが減少 した。 HEMF生 成 量が昨年度 に比 べ て減少 して い る原 因 として、生育度 が低 下 した こ とが考 え られ るので 、HEMF生 成 において 、各酵母 の生 育度 が重要 であ る こ とが明 らか とな っ た。 ︵ コヽ“屋︶﹂〓]〓 ぐ や ゛ ゛゛ ゛ ゛ ゛ ヾ ヾ ゛ や ゛ ヾ ひ θ ゛ ゛ ε ヾ ゛ ゛ ヾ ヾ 諄 母番号 図 1 酵 母 58株のHEMF生成量 の比較 ︵ コヽ”暉︶﹂〓四〓 Tl T2 T3 T4 T5 T6 T7 T8 10 T1011l T12 T13 T14 T15 T16 T17 T18 T10 T20 T21 122 T23 T24 T25 Sl S2 S3 酵 母 番号 図2 第 二 次選 抜試験酵母 のHEMF生成量 の比較 4 要 約 平成 10、11年 度全国味噌鑑 評会 にて優 秀 と認 め られ た味噌 よ り分離 した酵母 50 株 の HEMF生 成 量 を測定 し、菌株 に よって生成能 に差 があ る こ とを確認 した。 次 に、 昨年度 の結果 も踏 ま えて 、25株 につい て第 二 次選抜試 験 を行 つた結果 、生 成 量 の比 較的高 い 分離株 (T4株)が得 られ 、また、生成 量 のば らつ きは減少 した。 ―-25-―
© Copyright 2024 ExpyDoc