オーストラリア市場レポート 2015年7月27日 運用チームが語るオーストラリアリートの魅力 2015年7月、レッグ・メイソン傘下でオーストラリア株式の運用を手掛ける マーティン・カリー・オーストラリアから、株式運用チーム責任者のリース・ バートルズ、インカム資産戦略ポートフォリオ・マネージャーのアシュトン・リー ド、マルチ戦略ポートフォリオ・マネジャーのウィル・ベイリスが来日しました。 そこで、同国経済およびリート市場についてインタビューした内容をスペ シャル・レポートの形式でお伝えします。 Q:豪州経済の今後の見通しは? A:健全な財務状況と人口増を背景に2015年以降も 平均3%程度の成長を継続することが見込まれます。 多くの主要先進国が高い負債比率と高齢化の進展により本 格的な成長を促す政策が難しい状態にあります。一方、オース トラリアは公的債務が対GDPで20%と健全な財務状況にあり、先 進国の中でも際立って高い人口増加率から(図1)、安定的な 経済成長を実現しています。実質GDPは20年以上連続してプ ラス成長しており、2015年~2020年の平均成長率は+3.0% と、米国の+2.5%、EUの+1.9%と比較してより高い成長が見 込まれます(図2)。 2015年予算案では、緊縮政策を緩和し、中小企業支援など 景気対策に重点を置く内容となっており、足元の景況感も改善 基調にあります。2015年6月現在、豪州企業の景況感指数※ は昨年10月以来、信頼感指数※は2013年9月以来の高水準 となっています。 ※ 景況感指数は「現在の景況に対する満足度」を、信頼感指数は「向こう3カ月 間の短期景況見通し」を示す。ナショナル・オーストラリア銀行が豪州企業400 社以上を対象として調査。 Q:中国経済減速の影響はどの程度ありますか? A:堅調な個人消費が豪州経済を牽引し、中国経済減 速の影響は限定的と考えます。 短期的には、乱高下する中国株式市場の影響を受け、鉄鉱 石等の商品やリートを含む株式市場の変動性が高まる可能性 があります。 オーストラリアは資源国のイメージがありますが、オーストラリア 経済において鉱業のGDPに占める割合は10%程度にとどまりま す。また、労働者の占める割合でも鉱業は約2%です(図3)。 一方、高い人口増加率を背景に、GDPの50%以上を占める個 人消費が順調に拡大しています。そのため、店舗を中心とした リートは、中国の景気減速の影響を受けにくいと考えます。 今後、中国株式市場の動揺が収まり、世界的な金融市場が 安定するに連れて、市場の関心は堅調な内需の恩恵を受ける 豪州リートのファンダメンタルズに向かうと見ています。 マーティン・カリー・オーストラリアの株式運用チーム。左か ら、ウィル・ベイリス、リース・バートルズ、アシュトン・リード 図1: 主要国の人口増加率見通し (%) 60 50.6 50 40 34.4 28.4 30 18.4 20 10 -15.8 -14.9 -12.6 0 1.8 -10 -20 ロシア 日本 ドイツ 中国 ブラジル 米国 インド オースト ラリア (出所)国連人口部、 2010年~2050年 (%) 5 図2: オーストラリアの実質GDP成長率の推移 予測値 4 3 2 1 0 -1 2005 2009 2007 2011 2013 2015 2017 2019 (年) (出所)ファクトセット (期間)2005年~2020年、2015年以降はIMFによる予測値 図3: オーストラリアの産業構成比率 【労働人口】 【対GDP】 農林水産業 3% 鉱業 9% 建設業 9% その他 サービス 45% 行政・ 国防 6% 製造業 7% 金融・保険業 9% 科学 技術 7% ヘルスケア 7% 農林水産業 3% その他 サービス 47% 建設業 9% 製造業 8% 鉱業 2% ヘルスケア 13% 科学 技術 9% 小売業 10% (出所) オーストラリア統計局、2014年6月時点 ※GDPは2013年7月~2014年6月を使用 当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが 作成したご参考資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成し ておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益 を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 <審査確認番号H27-TB57> オーストラリア市場レポート Q:豪州リートの注目ポイントを教えてください。 A:①都市部への人口集中②人口増による長期的な消 費の増加③寡占的な産業構造、などを背景とした成長 期待と相対的に高い配当利回りに注目しています。 オーストラリアは高い人口増加率を誇りますが、人口は東部沿 岸部地域(特にシドニー、メルボルン、ブリスベン)に集中してい ます(図4)。 これら都市の郊外型ショッピング・モールでは上位 リートによる寡占化が進んでいます。店舗の供給面積はリートに よってコントロールされており、高い参入障壁によって賃料の決 定権はオーナーであるリートが握る傾向にあります。 2015年7月27日 図5: 豪州のテナント賃料の推移 図4: 都市別人口構成比 シドニー その他 150 1,500 100 1,000 50 メルボルン 18.9% ダーウィン 0.9% アデレード 8.6% 9.7% 5.6% (出所) オーストラリア統計局、2014年6月時点 2004 2006 2008 2010 2012 2014 (年) (出所) マーティン・カリー・オーストラリア、ブルームバーグ 2002年9月~2015年5月 ※小売売上高、消費者物価指数は2002年9月を100として指数化 ※消費者物価指数は四半期毎、2015年3月までのデータを使用 ※テナント年間賃料は、センター・グループ、GPTグループ、ノビオン、 フェデレーション・センターズの各年の賃料を集計して算出 図6:各資産の利回り比較 (%) 7 6 5 4 3 2 1 0 5.4 4.7 4.6 4.1 2.6 1.4 豪州 リート 戦略 豪州 株式 豪州 リート 米国 リ-ト 豪州 国債 世界 国債 0.5 日本 国債 (出所)ブルームバーグ、Citigroup Index LLC、2015年6月末時点 豪州株式:S&P/ASX200指数、豪州リート:S&P/ASX200 A-REIT指 数、米国リート:FTSE/NAREITオール・エクイティREIT指数、豪州国債/世界 国債/日本国債:シティ世界国債インデックス(世界国債は日本を除く) ※豪州リート戦略は、マーティン・カリー・オーストラリアが運用を行う同 戦略の代表的なファンドの利回りを表示 パース ブリスベン 0.6% ホバート 500 2002 20.6% 35.1% 2,000 1平方メートル当たりのテナント年間賃料(右軸) 小売売上高(左軸) 消費者物価指数(左軸) オーストラリアでは、消費者物価指数が安定して推移、小売 売上高も堅調に拡大しています。一般的に、オーストラリアの店 舗賃料は、消費者物価指数に連動、かつ売上高の増加に応じ て決定されるため、リートのキャッシュフローの獲得 (図5)と相 対的に高い配当利回りに貢献しています(図6)。 豪州リートは、これら店舗用不動産がリート全体の5割以上を 占めており、人口増と堅調な経済を背景とした消費拡大の恩恵 を受けることが期待されます。 (豪ドル) 200 図7: 海外投資家による対豪不動産投資承認額 (10億豪ドル) 80 70 60 Q:豪州不動産への投資状況を教えてください。 A:商業不動産を中心に、海外投資家による豪州不動 産への投資が拡大しています。 50 豪州不動産は米国や欧州の不動産と比較して、魅力的な高 い投資利回りを提供しており、直近では、シンガポールのStarhill Global REITがアデレードの商業施設を2.88億豪ドルで取得する など、海外投資家からの投資資金の流入が商業不動産を中心 に拡大しています(図7)。 10 商業不動産取得・開発 住宅取得・開発 40 30 20 0 (年度) (出所)豪外国投資審議委員会(FIRB) ※FIRBにより承認された海外投資家による不動産投資プロジェクト 当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが 作成したご参考資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成し ておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益 を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
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