オーストラリア市場レポート 2015年7月28日 運用チームが語るオーストラリア株式の魅力 2015年7月、レッグ・メイソン傘下でオーストラリア株式の運用を手掛ける マーティン・カリー・オーストラリアから、株式運用チーム責任者のリース・ バートルズ、インカム資産戦略ポートフォリオ・マネージャーのアシュトン・リー ド、マルチ戦略ポートフォリオ・マネジャーのウィル・ベイリスが来日しました。 そこで、同国経済および株式市場についてインタビューした内容をスペ シャル・レポートの形式でお伝えします。 Q:豪州経済の今後の見通しは? A:健全な財務状況と人口増を背景に2015年以降も 平均3%程度の成長を継続することが見込まれます。 多くの主要先進国が高い負債比率と高齢化の進展により本 格的な成長を促す政策が難しい状態にあります。一方、オース トラリアは公的債務が対GDPで20%と健全な財務状況にあり、先 進国の中でも際立って高い人口増加率から(図1)、安定的な 経済成長を実現しています。実質GDPは20年以上連続してプ ラス成長しており、2015年~2020年の平均成長率は+3.0% と、米国の+2.5%、EUの+1.9%と比較してより高い成長が見 込まれます(図2)。 2015年予算案では、緊縮政策を緩和し、中小企業支援など 景気対策に重点を置く内容となっており、足元の景況感も改善 基調にあります。2015年6月現在、豪州企業の景況感指数※ は昨年10月以来、信頼感指数※は2013年9月以来の高水準 となっています。 ※ 景況感指数は「現在の景況に対する満足度」を、信頼感指数は「向こう3カ月 間の短期景況見通し」を示す。ナショナル・オーストラリア銀行が豪州企業400 社以上を対象として調査。 Q:中国経済減速の影響はどの程度ありますか? A:堅調な個人消費が豪州経済を牽引し、中国経済減 速の影響は限定的と考えます。 図1: 主要国の人口増加率見通し (%) 60 50.6 50 40 今後、中国株式市場の動揺が収まり、世界的な金融市場が 安定するに連れて、市場の関心は内需を中心としたオーストラ リア企業の堅調なファンダメンタルズに向かうと見ています。 34.4 28.4 30 18.4 20 10 -15.8 -14.9 -12.6 0 1.8 -10 -20 ロシア 日本 ドイツ 中国 ブラジル 米国 インド オースト ラリア (出所)国連人口部、 2010年~2050年 (%) 5 図2: オーストラリアの実質GDP成長率の推移 予測値 4 3 2 1 0 -1 2005 2009 2007 2011 2013 2015 2017 2019 (年) (出所)ファクトセット (期間)2005年~2020年、2015年以降はIMFによる予測値 短期的には、乱高下する中国株式市場の影響を受け、鉄鉱 石等の商品や株式市場の変動性が高まる可能性があります。 オーストラリアは資源国のイメージがありますが、オーストラリア 経済において鉱業のGDPに占める割合は10%程度にとどまりま す。また、労働者の占める割合でも鉱業は約2%です(図3)。 一方、高い人口増加率を背景に、GDPの50%以上を占める個 人消費が順調に拡大しています。そのため、生活に不可欠なイ ンフラ関連企業、および店舗を中心としたリートなどの実物資産 は、中国の景気減速の影響を受けにくいと考えます。 マーティン・カリー・オーストラリアの株式運用チーム。左か ら、ウィル・ベイリス、リース・バートルズ、アシュトン・リード 図3: オーストラリアの産業構成比率 【労働人口】 【対GDP】 農林水産業 3% 鉱業 9% 建設業 9% その他 サービス 45% 行政・ 国防 6% 製造業 7% 金融・保険業 9% 科学 技術 7% ヘルスケア 7% 農林水産業 3% その他 サービス 47% 建設業 9% 製造業 8% 鉱業 2% ヘルスケア 13% 科学 技術 9% 小売業 10% (出所) オーストラリア統計局、2014年6月時点 ※GDPは2013年7月~2014年6月を使用 当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが 作成したご参考資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成し ておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益 を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 <審査確認番号H27-TB58> オーストラリア市場レポート 2015年7月28日 図4:市場シェアの比較 Q:豪州株式で注目のポイントを教えてください。 A:人口増やインフレ、寡占的な産業構造の恩恵を受け る内需関連の企業、特に実物資産を有する銘柄に注 目しています。 実物資産 豪州株式の中でも、寡占的な産業構造から高い価格競争力 を誇り、安定的なキャッシュフローを生み出すことのできる、配 当利回りが高い内需関連の企業に注目しています(図4)。 中でも、ガス・電力などの生活に不可欠な公益事業、有料道 路・空港などのインフラ、住居、店舗などの実物資産は、高い人 口増加率を背景に、2015年予算案においても500億豪ドル規 模のインフラ投資・民営化計画が2019年度まで継続されるな ど、その需要が高まっています。 豪州 米国 ガス輸送 パイプライン 首位(APAグループ) =70% 1,500社すべて 10%以下 空港 (航空交通量) 首位(シドニー) =26% 首位(アトランタ) =6% 有料道路 (km換算) 首位(トランスアーバ ン)=54%を所有、73% を運営 首位(フロリダ州) =14% を所有・運営 大型 ショッピング センター 上位2社 =11% 上位2社 =4% 損害保険 上位3社 =61% 上位3社 =21% スーパー 上位3社 上位3社 マーケット =83% =50% これらインフラ関連企業およびリートは、巨額な実物資産に投 (出所)マーティン・カリー・オーストラリア 資済みで、利用料や賃料など安定的なキャッシュフローを生み 出しており、景気サイクルのリスクに対して耐性があると考えます。 (%) 図5:各資産の利回り比較 また、消費者物価指数に連動して値上げをすることも可能な資 7 産を保有しており、インフレへの抵抗力も有しています。 5.8 5.7 6 また、オーストラリアは、堅調な経済により世帯収入と個人消 4.7 5 4.1 費は堅調に増加しており、店舗用不動産が5割以上を占める豪 4 州リートはその恩恵を受けることが見込まれます。 2.6 3 1.4 2 Q:豪州の株価は割高ではありませんか? A:国民総所得と株式時価総額の比較では、オーストラ リア経済は成長しながらも、株価は米国と比較して割 安な水準にあると考えます。 著名投資家のウォーレン・バフェット氏は株価の割安度の評価 に総所得と時価総額の比較を活用しています。米国では、国民 総所得は過去15年間に年率3.9%成長するなか、株式時価総 額は国民総所得の1.35倍となっています。一方で、オーストラリ アでは、同期間に国民総所得が年率6.1%成長し、株式時価 総額は国民総所得の0.97倍に留まっています(図6)。このよう に、オーストラリアでは経済が成長しながらも、株価は米国株と 比較してより割安な水準にあると考えられます。 実際に、2015年6月には同氏率いる米投資・保険会社バー クシャー・ハサウェイが、オーストラリアの保険会社インシュアラ ンス・オーストラリア・グループ(IAG)に5億豪ドルを出資すること で合意しました。これは同社による豪州企業への初めての投資 であり、同銘柄はマーティン・カリー・オーストラリアが運用する オーストラリア高配当株式戦略の2015年5月末時点の組入上 位1位でした。 1 0 豪州 インカム 資産 豪州 高配当株 豪州 株式 米国リ-ト 豪州 国債 0.5 世界国債 日本国債 (出所)ブルームバーグ、Citigroup Index LLC、2015年6月末時点 豪州株式:S&P/ASX200指数、米国リート:FTSE/NAREITオール・エク イティREIT指数、豪州国債/世界国債/日本国債:シティ世界国債イ ンデックス(世界国債は日本を除く) ※豪州インカム資産、豪州高配当株は、マーティン・カリー・オースト ラリアが運用を行う各戦略の代表的なファンドの利回りを表示 (兆米ドル) 30 図6:国民総所得と株式時価総額 (兆豪ドル) 3.5 米国 株式時価総額(左軸) 米国 国民総所得(左軸) 豪州 国民総所得(右軸) 豪州 株式時価総額(右軸) 25 20 3.0 2.5 15 2.0 10 1.5 5 1.0 0 0.5 2001/1 2003/1 2005/1 2007/1 2009/1 2011/1 2013/1 2015/1 (出所)ファクトセット、2001年1月~2015年6月 ※2015年4月以降の国民総所得のデータは予測値 当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが 作成したご参考資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成し ておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益 を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
© Copyright 2024 ExpyDoc