釧路農協連&酪対 <寄稿:JA 浜中町> マグネシウム(Mg) 分析の結果から、浜中ではカルシウムが不足し、リ ン、カリウム、マグネシウムは年々基準内の草地が増 高い・過剰な畑が多い 土壌分析 に基づく えてはいるものの、依然として過剰な草地が多くある 40% 施肥管理と肥料代削減への取組み ことが分かりました。 30% 【浜中オリジナル肥料の作成】 【土壌分析のはじまり】 高い 20% 昭和50年代、それまで草地管理は酪農家さんの勘と経験によるところが大きかっ 全町の土壌分析結果から見えてきた浜中の傾向をも たのですが、 「これからは分析値に基づく酪農をしていかないと生き残れない」との思 とに、ホクレン・普及センター・農協で浜中の土壌に いから、組合員有志が農協職員を巻き込んで、倉庫の隅で分析を始めたのが最初です。 あった肥料銘柄について検討しました。前述のように、 不足 10% 過剰 基準 0% その後、昭和56年に酪農技術センターを設立し、生乳分析や粗飼料分析とともに本格的に農協の事 カリウムが高めの傾向にありました。カリウムが過剰 <20 20~30 30~50 50< になると養分の拮抗作用によりマグネシウムやカルシ 業として実施するようになりました。 ウムの吸収を抑制してしまいます。また、国営かんぱい事業によりスラリーストアが整備され、スラリー 【全圃場を分析】 を散布する組合員さんが増えたことにより、草地へのカリウム補給が期待されます。 現在、酪農技術センターでは、組合員さんの全圃場の土壌分析を行なっております。浜中町内には約 そこで、平成25年にカリウム減肥タイプのBB025Kという銘柄を作成しました。このBB025 15,000ha の草地がありますが、町内の地区を4つに分け、ローテーションを組んで分析していますの Kはカリウムの成分量を抑えることにより浜中で一般的に使われているBB肥料よりも20㎏当り約20 で、少なくとも4年に1回、組合員さんは自分の草地の状態を確認できるようになっています。 0円安くなり、組合員さんの肥料コスト削減にも役立っています。普及センターによる対照試験において 組合員さんはそれぞれの分析結果を毎年の施肥管理に役立てていますが、全町の土壌分析を繰り返し も、既存銘柄を施肥した圃場と比較しても十分な乾物収量が確保できたことが分かっています(釧路農業改良 行なったことで、浜中の土壌の傾向が見えてきました。 普及センター釧路東部支所、2014) 。 次のグラフは、2007 年から 11 年までの分析結果をまとめたものです。 もちろん、単に安価な肥料に替えればよいという カルシウム( カルシウム(Ca) Ca) 2007 pH 2009 2010 40% 2011春 30% 成 分(%) 銘 柄 2008 基準内が多い 50% 【BB025K 成分】 わけではなく、土壌分析に基づく適切な施肥設計を 行なったうえで使用することが前提です。 N P2O5 K2O MgO 10 12 5 4 不足している畑が多い 50% BB025K 40% 【試験内容】 30% 区名 【試験結果】 肥料・資材 10a当り 施用量 kg/10a N P2O5 K 2O MgO 乾物収量 1000 20% 20% 低い 高い 10% かなり 不足 不足 10% 2.1 1.2 5.7 0.0 BB025K 30㎏ 3.0 3.6 1.5 1.2 スラリー 2t 2番草 1番草 800 1.4 0.8 3.8 0.0 6.5 5.6 11.0 1.2 600 基準 0% 合計 0% 5.5~6.0 3t 試験区 基準 <5.5 スラリー 過剰 6.1~6.5 6.5< 400 <100 100~300 300~500 500< スラリー 3t 2.1 1.2 5.7 0.0 既存銘柄 30㎏ 3.0 6.0 4.5 1.5 スラリー 2t 1.4 0.8 3.8 0.0 6.5 8.0 14.0 1.5 200 慣行区 カリウム(K) カリウム(K) リン酸(P) リン酸(P) 0 合計 試験区 慣行区 (kg/10a) 50% 過剰な畑が減り、 適正が増えている 過剰な畑が減り、 適正が増えている 60% 40% 【タンカル配布】 浜中ではpHは基準値内にありながらも、カルシウムが不足している圃場が多いことが分かりました。 30% 40% カルシウムは牧草の収穫により持ち出されるとともに、炭酸ガスを吸収した酸性雨により土壌表面より流 高い 高い 不足 20% 亡し、土壌が酸性化します。酸性化した土壌では、微生物の働きが悪くなったり、リン酸の吸収が阻害さ 20% 不足 過剰 れるので、pH調整のためにもカルシウムの継続的な補給が必要となります。そこで、JA浜中町では平 10% 過剰 基準 成12年より組合員さんに対して毎年約 1,100tのタンカルを配布し、継続的に草地に散布してもらうこ 基準 0% 0% <10 10~30 30~50 50< チャレンジ 60・946 運動 とでpH維持とカルシウムを補給し、土壌の改善と良質な粗飼料生産に努めています。 <10 10~30 G’Grass 2015 30~50 50< チャレンジ 60・946 運動 G’Grass 2015
© Copyright 2024 ExpyDoc