原油在庫の異常な膨張、満杯の過剰在庫が投げ売りされるとどうなるか?

原油在庫の異常な膨張、満杯の過剰在庫が投げ売りされるとどうなるか?
製油所稼働率
1月以降、内外の原油相場は下げ渋っている。一部には底打ち説もあるようだが、あくま
でも「逆オイルショック」暴落一服に過ぎないと思う。
左上図は米国の製油所稼働率である。前年同期をやや上回り、平年値のプラス5%水
準で推移している。季節的には真夏のドライブシーズンへ向けたガソリン生産のために製
油所は90%前後の稼働率で生産を続けている。製油所にとっては、仕入れの原油が下
落し、製品のガソリン価格も下がるのは好ましくないわけだが、その分は売りヘッジをすれ
ばよく、生産マージンが確保できれば構わず生産する。では、原油生産者はどうか?上右
図はオクラホマ州クッシング地区の在庫である。NY原油の受渡し場所であるが、ここの在
庫は鰻登りとなっている。備蓄タンクが満杯になるような異常な在庫増加である。生産が
過剰であり、それがさばけないから在庫がたまる。腐るものではないから、限界まで備蓄
して値上がりを待つしかないが、左下図をみれば 平年の在庫推移に対して今年がいか
に異常であるかが分かる。 過剰生産がストップしないことには、在庫は極限まで積み上
げられ、次の投げ売りが始まり、値崩れする。現在の相場小康状態では何も解決しない
だろう。
11