田代 美由紀先生: Sleep Health 2015 1(2):115-120 シフト勤務と健康格差、 Shiftwork, sleep habits, and metabolic disparities: results from the Survey of the Health of Wisconsin 【背景】ブラック企業やブラックバイトで苦しむ若者のお話がメディアでも取り上げられていますが、24 時間 眠らない病院、コンビニ、外食産業が、当たり前の国々においては、シフト勤務が一般化し、その健康障害 が懸念されています。今回は、勤務体系の代謝異常や睡眠障害に与える影響を、Wisconsin の健康サーベ イ調査をもとに、検討されました。 【方法】サーベイに参加した 1593 名の横断調査で、一般的な 9 時 5 時勤務(schedule worker 群)(n=1381) と、24 時間勤務の交代制(shiftwork 群)(n=212)における、過体重(25<BMI<30)、肥満(BMI>30)、2 型糖尿 病、睡眠行動、睡眠異常について検討されました。 【結果】schedule worker vs shiftwork 群の過体重(BMI>25)の頻度は、71% vs 83%で shift 群が有意に高頻 度で、勤務体系のオッズ比は、2.07(1.31-3.28)でした。また、糖尿病頻度は 4.9% vs 7.6%で有意な差異は認 めませんでした。睡眠不足; 42.9% vs 53.0%、不眠症; 16.3% vs 23.6%と、睡眠障害も shift 群に有意に高頻度 でした。特に、shiftwork による、過体重や 2 型糖尿病のリスクは、睡眠不足を合併すると、統計学的には有 意ではありませんでしたが、そのオッズ比は上昇していました。 【結論】このように、シフト勤務で、夜中に働かなければならない職業では、睡眠不足が常態化し、その結果、 過体重につながる、悪循環をきたしている状況が明らかになってきました。さらに、労働者の良心につけこ んで、残業などを増やすブラック企業は、経済格差だけでなく、健康格差(metabolic disparities)を拡大させ ている根源になっているようです。9時5時天国の国家がデフォルトの危機にあえぎ、24時間シフト体制の 国では、格差が広がっています。どちらに住みたいですか?? (文責 阿比留)
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