Hirosaki University Repository for Academic Resources Title Author(s) Citation Issue Date URL Relationship between self-reported sleep quality and metabolic syndrome in general population Okubo, Noriyuki BMC Public Health , 14:562 , 2014. 2015-03-24 http://hdl.handle.net/10129/5596 Rights Text version ETD http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/ 医共様式1 学位請求論文の内容の要旨 論文提出者氏名 総合医療・健康科学領域 社会医療総合医学教育研究分野 氏名 大久保 礼由 (論文題目) Relationship between self-reported sleep quality and metabolic syndrome in general population (一般住民における自記式睡眠の質とメタボリックシンドロームの関係) (内容の要旨) 【 背景 】現在、世界中 で肥満 者が増 加し てお り、さら に肥 満を起 因 とする メタボ リッ ク シ ン ド ロ ー ム 罹 患 者 の 増 加 が 大 き な 健 康 問 題 と な っ て い る 。メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム は腹部 肥満 、高 血圧 、耐糖能 異常 、脂 質異常 症を複 合した 病態 であ る。 肥満を はじ めと し た メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム は 冠 動 脈 疾 患 や 脳 卒 中 の リ ス ク を 増 大 さ せ 、メ タ ボ リ ッ クシンドローム構成要素の数が増えるにつれそのリスクが増大することが知られてい る。近年 、わが 国で 増 加して いる冠 動脈 疾患 や脳卒 中によ る死 亡、後遺症 を防ぐ ため に は 、そ の リ ス ク と な る メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム を 予 防 、改 善 す る こ と が 重 要 な 課 題 で あ る 。こ れ ま で メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム は 栄 養 バ ラ ン ス の 崩 れ や 運 動 不 足 に よ る カ ロ リ ー 消 費 量 の 低 下 に よ っ て 引 き 起 こ さ れ る と 考 え ら れ て き た が 、 近 年 、短 時 間 や 長 時 間 睡 眠 が メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム と 関 連 し て い る こ と が 明 ら か に な っ て き た 。 た だ 、睡 眠 を 睡 眠 時 間 の み で 評 価 す る こ と は 不 十 分 で あ り 、睡 眠 の 質 も 含 め て 総 合 的 に 評 価 す る 必要がある。そこで本研究では、睡眠の総合的指標であるピッツバーグ睡眠質問票 ( Pittsburgh sleep quality index; PSQI) を 用 い た 自 記 式 睡 眠 評 価 と メ タ ボ リ ッ ク シ ンドロームとの関連について検討した。 【 方 法 】 2007 年 か ら 2010 年 岩 木 健 康 増 進 プ ロ ジ ェ ク ト に 参 加 し た 20 歳 以 上 の 一 般 住 民 を 対 象 と し 、 横 断 研 究 を 行 っ た 。 一 般 住 民 1552 名 の う ち デ ー タ に 欠 損 値 の あ る 者 、 ス テ ロ イ ド な ど 睡 眠 に 影 響 を 与 え る 薬 剤 を 服 用 中 の 者 、悪 性 疾 患 の 既 往 歴 の あ る 者 を 除 外 し た 1481 名 ( 男 性 549 名 、 女 性 932 名 ) を 対 象 と し た 。 睡 眠 評 価 は 、 睡 眠 の 質 の 総 合 的 指 標 で あ る PSQI を 用 い て 評 価 し た 。 PSQI は 、 主 観 的 睡 眠 の 質 、 入 眠 時 間 、 睡 眠 時 間 、睡 眠 効 率 、睡 眠 困 難 、眠 剤 の 使 用 、日 中 覚 醒 困 難 の 7 つ の 要 素 か ら 構 成 さ れ て い る 。 各 構 成 要 素 に お い て 3 点 満 点 で 評 価 し 、 総 合 PSQI 得 点 が 6 点 以 上 の 者 を 、 睡 眠 障 害ありと判断した。メタボリックシンドロームは、腹部肥満、高血圧、耐糖能異常、脂 質 異 常 症 の 4 項 目 か ら 構 成 さ れ て い る 。 ま た 、メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム の 診 断 は 、 腹 部 肥 満 を 絶 対 条 件 と し 、そ の 他 2 項 目 以 上 を 満 た し た 者 を メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム と 診断した。すべての統計解析は年齢、飲酒、喫煙、労働時間、運動習慣、抑うつで 調整 して男女別に行った。 【 結 果 】総 合 PSQI 得 点 が 6 点 以 上 の 者 は 、男 性 で 52 名( 9.5%)、女 性 で 133 名( 14.3%) で あ っ た 。 メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム を 有 す る 者 の 総 合 PSQI 得 点 、 入 眠 時 間 得 点 、 睡 眠困難 得点は、メタ ボ リック シンド ロー ムを 有しな い者に 比し、有 意に高 得点で あっ た ( そ れ ぞ れ p<0.001、p=0.009、p=0.025 ( 男 性 )、p<0.001、p<0.001、p=0.002( 女 性 ))。 総 合 PSQI 得 点 が 6 点 以 上 の グ ル ー プ の メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム の オ ッ ズ 比 は 、6 点 未 満 の グ ル ー プ を 対 照 に 、 男 性 で は 2.37 ( 95%信 頼 区 間 : 1.23-4.58)、 女 性 で は 2.71 ( 1.45-5.07)で あ っ た 。入 眠 時 間 得 点 が 2 点 の グ ル ー プ の メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム の オ ッ ズ 比 は 、 0 点 の グ ル ー プ を 対 照 に 、 男 性 で は 2.65 ( 1.14-6.15 )、 女 性 で は 3.82 ( 1.81-8.09)で あ っ た 。睡 眠 困 難 得 点 が 1 点 の グ ル ー プ の メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム の オ ッ ズ 比 は 、 0 点 の グ ル ー プ を 対 照 に 、 男 性 で は 1.76 ( 1.09-2.86 )、 女 性 で は 2.43 ( 1.26-4.69) で あ っ た 。 【 考 察 】多 く の 先 行 研 究 は 、睡 眠 時 間 と メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム と の 関 係 に つ い て 報 告 し て い る 。本 結 果 か ら 、睡 眠 の 総 合 的 指 標 で あ る 総 合 PSQI 得 点 は メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム と 関 連 し て い た 。 ま た 、 PSQI の 構 成 要 素 で あ る 入 眠 時 間 、 睡 眠 困 難 は メ タ ボ リック シンド ロー ムと 関連し ていた。本研 究 から、睡 眠時間 のよ う な睡眠 の量だ けで は な く 、睡 眠 の 質 と メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム の 関 係 性 が 示 唆 さ れ た 。Cagampang ら は 、 視 床 下 部 -下 垂 体 -副 腎 皮 質 系 ( HPA) の 機 能 亢 進 は 、 メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム に 関 与 す る と 報 告 し て い る 。 ま た 、 Balbo ら は 、 睡 眠 障 害 に よ っ て HPA が 活 性 化 さ れ 、 そ れ らの活性化によってカテコールアミンやコルチゾールなどのストレスホルモンの分泌 を促進 すると 報告 して いる。さ らに、睡眠 障 害によ る交感 神経 の興 奮は、肥 満に 関わる ホ ル モ ン の 一 つ で あ る 血 中 レ プ チ ン 濃 度 を 低 下 さ せ 、食 欲 増 進 ホ ル モ ン で あ る グ レ リ ン 濃度を 上昇さ せる こと が報告 されて いる。以 上の結 果から 、睡眠 障 害は、交 感神 経興奮 に よ る ス ト レ ス ホ ル モ ン の 分 泌 お よ び 食 欲 増 進 に よ っ て 、メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム の リスクを高めたと考えられた。 【 結 論 】 一 般 住 民 に お い て 、 総 合 PSQI 得 点 お よ び そ の 構 成 要 素 で あ る 入 眠 時 間 、 短 時間睡眠、睡眠困難はメタボリックシンドロームと関連していた。
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