﹁環境法﹂ - 会社法務Web

環境課題における解決の糸口
特集
化学物質
化審法/化管法(PRTR法)/毒劇法/労働安全衛生法/消防法(危険物)
自然環境・生物多様性・
土地利用
自然環境保全法/自然公園法/種の保存法/工場立地法/景観法
※ISO14001の運用において多くの企業が環境法と意識している主要な法令を取り上げた。企業はこれらの法令とともに、
関連する自治体の条例等を管理対象としている。
ま ず、企 業 が 対 象 と す る﹁ 環 境
法﹂とは何かを整理しておこう。
分野にどのような法令をリストア
ップするかは各企業の判断となる
ので、企業が取り扱う環境法には
実にさまざまな法令が挙げられる
ことになる。自社に適用される環
すれば環境汚染を引き起こす。そ
え る だ ろ う。し か し、そ れ ぞ れ の
│などが環境法の主要な分野とい
① 地球温暖化・エネルギー
② 公害
③ 廃棄物・3R
④ 化学物質
⑤ 自然環境・生物多様性・土地
利用
境の保全の観点から屋外広告物法
広告関係の企業などでは、景観環
法と捉える法令ももちろん対象に
い う ︶な ど の よ う に、誰 も が 環 境
る 法 律︵ 以 下﹁ 廃 棄 物 処 理 法 ﹂と
境法について企業がまとめた一覧
れを防ぐ消防法は環境法と捉える
を環境法として位置づけているこ
多くの企業では、水質汚濁防止
法や廃棄物の処理及び清掃に関す
こともあるだろう。
を法律家がみれば、違和感を抱く
べきという判断である。
ては定期報告書等の提出が義務づ
ギーを大量に使用する企業にとっ
1︶や省エネ法︵注2︶は、エネル
っ て く る。温 暖 化 対 策 推 進 法︵ 注
り、適用される法令も大きく異な
これに加えて、企業は業種や事
業規模などにさまざまなものがあ
﹁入口﹂から難しいのが環境法な
のではない。
法令の一覧であるが、絶対的なも
て認識されていると思われる主な
運用において、企業に環境法とし
な い だ ろ う。図 表 1 は、I S O の
ってこの法律は環境法と認識され
とがあるが、ほとんどの企業にと
けられる法令であり、身近なもの
のである。
質 的 に 関 係 性 の 薄 い も の で あ る。
であるが、それ以外の企業には実
(注2)エネルギーの使用の合理化等に関する法律
はじめに
廃棄物処理法/ PCB廃棄物特別措置法/資源有効利用促進法/容器包装リサイクル法/家電
リサイクル法/建設リサイクル法/食品リサイクル法/自動車リサイクル法/グリーン購入法
│難しい射程範囲の設定
﹁環境法﹂とは何か
廃棄物・3R
実 は、ど の 法 律 が﹁ 環 境 法 ﹂と
なるのかについて確たる決め事は
(注1)地球温暖化対策の推進に関する法律
現 在、多 く の 企 業 に お い て、自
社に適用される環境法規制を可視
大気汚染防止法/水質汚濁防止法/下水道法/浄化槽法/土壌汚染対策法/ダイオキシン類特
別措置法/騒音規制法/振動規制法/悪臭防止法/工業用水法/ビル用水法
安達宏之
化し、それを守るためのマネジメ
ントシステムが構築・運用されて
い る。そ の 大 き な 要 因 は、環 境 マ
ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム︵ 以 下﹁E M
S ﹂と い う ︶の 国 際 規 格 で あ る
公害
ない。一般的には、
企業の環境法対 応の在り方
が認証取得企業に対し
ISO14001
て環境法コンプライアンスを要求
しているからである。
が発行されたの
そ の ISO14001
は約二〇年前の一九九六年。その
後、二〇〇四年にマイナーチェン
ジが施されたものの、今日まで大
きな改正は行われなかった。しか
し、現 在、初 の ド ラ ス テ ィ ッ ク な
改正が検討されており、予定どお
り進めば、二〇一五年秋ごろには
改正ISO が発行され、そのJ I
温暖化対策推進法/省エネ法/フロン排出抑制法
に考える
S版も年内には発行される模様で
ある。改正ISO では環境法対応
の仕組みがより強化される。
企業の環境法コンプライアンス
を牽引してきたISOが改正され
ようとしている中、企業の環境法
対応の現状と課題にはどのような
ものがあるのかを明らかにし、今
地球温暖化、エネルギー
洛思社 代表取締役 ∼ ISO14001改正を契機
後の展望について考えてみたい。
し て い る が、同 時 に、消 防 法 や 労
働安全衛生法、毒物及び劇物取締
法などを環境法に加えることもあ
る。消 防 法 を 例 に 挙 げ れ ば、同 法
分 野
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会社法務A2Z 2015.5
会社法務A2Z 2015.5
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法律名
の対象となる危険物が外部へ流出
図表1 主な環境法一覧(一部略称)