岡三にいがた 県内企業レーティング情報 ポラテクノ(4239 東証JASDAQスタンダード) 2015年11月25日 高採算の温度追従型楕円偏光フィルム(TEP)需要減退が、業績面の重荷に <<アナリストの視点>> レーティング 円 ( 11/24 ) 光学フィルム事業は車載向けや産業用途での染料系フィルム、楕 円偏光板はVA用が伸長するものの、高採算のTEPの販売数量の減 少が響く。精密部品事業では無機偏光板ProFluxが液晶プロジェ クター向けに販売数量が伸び、X線向け部材は販売数量は減少し たものの、円安の恩恵から売上高の維持を見込んでいる。ただ、 今後の収益の柱として期待されているTFT-LCD向けの新製品の投 入には今しばらく時間を要することから、同社の売上や利益の成 長ペースは緩やかなものになるとみる。 年初来高値 = 1,181 円 ( 01/30 ) <<レーティングの根拠>> 年初来安値 = 700 円 ( 08/25 ) 中立 (前回:強気 ) 目標株価 - 円 (前回:1,100 円) 株価 = 720 予想PER (連結) = 8.3 倍 ( 16/3 ) 予想PER (連結) = 7.7 倍 ( 17/3 ) 実績PBR (連結) = 0.95 倍 予想ROE (連結) = 10.5 % 時価総額 298 億円 発行済株式数 (除く自己株) 41,450 千株 <<16年3月期の見通しを下方修正>> 2016年第2四半期の連結業績は、中国経済の減速に加え、世界の 自動車販売台数(半期)が微増(2014年:44.3百万台→2015年 44.6百万台)にとどまったことから、売上高は前年同期比0.3%減 予想配当利回り = 2.08 % の129億58百万円となった。 利益面では、原価の上昇により売上総利益率が前期の46.7%か ら45.2%に低下したうえ、先行投資による販管費の増加から営業 利益は同15.8%減の26億96百万円となった。経常利益は円安進行 の影響から前期計上した為替差益が無くなり、為替差損を計上し た結果、同19.6%減の26億81百万円、四半期純利益は同16.6%減 の18億50百万円となった。 また、同社は中国景気減速への影響に加え、主力で高採算の温 度追従型楕円偏光フィルム(TEP)の需要減少により16年3月期通 期見通しの下方修正を発表した。 エクイティ情報部 原田 俊介 <<業績推移>> 日本基準 決算期(年/月) 2013/03 2014/03 2015/03 会社 2016/03(予) 弊社前回 弊社今回 弊社前回 2017/03(予) 弊社今回 16年3月期は、主力のProFluxや染料系偏光フィルムの販売は堅調 だが、高採算のTEP需要が急減しており、業績の足かせとなる。 また、TFT-LCD向けの新製品が収益貢献するまでは今しばらく時 間がかかり、今後の業績を見極める必要があることから、レー ティングを「強気」から「中立」に引き下げる。 売上高 22,894 24,839 25,441 25,500 26,700 25,900 28,000 26,500 営業利益 4,801 5,128 5,337 5,100 5,850 5,200 6,150 5,600 経常利益 4,802 5,398 5,631 5,100 5,850 5,200 6,150 5,600 当期純利益 3,043 3,476 3,686 3,500 3,900 3,600 4,100 3,900 一株純利益 73.43 83.87 88.94 84.43 94.09 86.85 98.91 94.09 一株配当金 12.50 14.00 15.00 15.00 15.00 15.00 15.00 15.00 単位:百万円、一株純利益・配当は円 巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 1 岡三にいがた県内企業レーティング情報 ポラテクノ(4239東証JASDAQ) <<セグメント別の状況>> 光学フィルム事業は、産業用や車載用LCDパネル向け染料系 偏光フィルムの販売が増加したものの、温度追従型楕円偏光 フィルム(TEP)の需要が急激に減退しており、売上高は前年同 期比2.5%減の69億71百万円となった。利益面では、高採算の TEPの販売量が減少したことで、営業利益は同11.4%減の13億 66百万円にとどまった。 精密部品事業は、通常の液晶プロジェクター向けの基板フィ ルム貼合品の販売数量が減少したが、無機偏光板(ProFlux)が 液晶プロジェクター向けに販売数量が伸長した。また、X線分 析装置部材は販売数量は減少したものの、円安効果により売上 高が前年を上回った結果、売上高は同2.5%増の59億87百万円 となった。利益面では、液晶プロジェクター用の部材が付加価 値の高いProFluxへの移行が進んだことによる基板フィルム貼 合品の販売数量減少に加え、米モクステックの研究開発費増加 など販管費の増加により営業利益は同19.7%減の13億29百万円 となった。 <<今期は踊り場、研究開発を進める>> (億円) 80 光学フィルム事業売上高 70 3 60 20 4 他光学材料 16 TEP 50 14 40 14 楕円偏光板 30 20 31 32 4 3 2014年9月期 2015年9月期 10 染料系 沃素系 0 (億円) 70 精密部品事業売上高 X線分析装置 部材 60 50 13 14 ProFlux 40 30 27 31 20 10 説明会資料より作成 基板フィルム 貼合品 18 15 2014年9月期 2015年9月期 0 説明会資料より作成 同社は、今期を踊り場として位置付けており、資金を投じて今後の成長に向けた投資を推進している。 光学フィルム事業では、TEPの需要が減少しており、底打ちには時間を要するとみている。また、メー カーや消費者のニーズはTEP(モノクロ)からTFTタイプ(カラー)へと高まっており、現在開発している ヨウ素系のTFT-LCD向け新製品は同社の独自技術により耐久性を上げ、競合との差別化を図っている。新 製品のサンプルは顧客に配布しており、来年3月にも上市していく方針のようだ。 精密部品事業では、米モクステックで無機偏光板とX線向け部材を強化している。無機偏光板は、光が 明るくても映るよう照度を上げ、明るさを追求するほか、高温にも対応していく。X線向け部材は小型 化・出力の上昇・感度の上昇を含め「小さく・軽く」の顧客ニーズに応えていく。 <<本社新潟工場の増設>> 同社では、7月に本社工場の増設に着工した。完工は2017年5月の予定で、「第4工場」と呼ばれている。 検査工程を含めた後工程は中国で行うが、後工程までの中間処理を一貫して行うことが可能となり、生産 能力の向上と、効率化が期待できよう。 <<2016年3月期の見通し>> 16年3月期は、光学フィルム事業で車載向けや産業用途での染料系フィルム、楕円偏光板はVA用が伸長 するものの、高採算のTEPの販売数量の減少が響く。精密部品事業では無機偏光板ProFluxが液晶プロジェ クター向けに販売数量が伸び、X線向け部材は販売数量は減少したものの、円安の恩恵から売上高の維持 を見込んでいる。ただ、今後の収益の柱として期待されているTFT-LCD向けの新製品の投入には今しばら く時間がかかることに加え、TEPの落ち込みを背景に会社側は16年3月期業績の下方修正を発表している。 こうしたことから岡三にいがた証券では、売上や利益成長ペースが緩やかになることを想定し、売上高 は前年同期比1.8%増の259億円を見込む。利益面では、次世代製品の開発のため研究開発投資が継続する ことから、営業利益は同2.5%減の52億円、経常利益は同7.6%減の52億円、当期純利益は同2.3%減の36 億円と前回予想から引き下げる。 巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 2 岡三にいがた県内企業レーティング情報 レーティングの基準など 強 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上上回ると判断される銘柄 中 立:今後6ヵ月以内の目標株価と現在の株価の差が±10%未満と判断される銘柄 弱 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上下回ると判断される銘柄 目標株価の定義と未達成リスクについて 目標株価は、アナリストによる当該企業の業績予想を基に、マルチプル法やDCF法等の岡三にいがた証券 エクイティ情報部が妥当と考える方法により算出したもので、対象期間は6 ヵ月以内です。目標株価達成を 阻むリスク要因としては、当該企業の主要市場における競合状況(企業買収・訴訟なども含む)、製品・商品・ サービス需要の変動、原材料及び燃料価格の変動のほか、当該企業を取り巻く経済状況、為替相場の変動、 国内外の金融・不動産市場の状況、各種規制変更、事故・災害(人災含む)、社会的責任などが考えられま す。なお、これらの要因以外にも、現時点で予想できないリスクが将来的に発生し、その結果として目標株価 達成が妨げられるおそれがあります。 本資料における個別銘柄に関する注記事項 ・個別銘柄のレーティングについては、執筆アナリストの変更があった場合でも、岡三にいがた証券として の個別銘柄のレーティングの継続性を保つため、前任者の付与したレーティングを「前回」レーティングと して記載しています。 ・株価は日付日の終値。年初来高値・安値は権利落ち修正後で、各取引所の立会市場の売買立会時 (前場・後場)における約定値段を用いています。 ・上場市場は東京証券取引所の場合、記載せず、複数市場上場の場合は売買高の多い市場を記載して います。 ・時価総額など、特に日付を記していない場合は、個別銘柄の株価日付に同じです。 ・PBRの根拠となるBPSは直近決算期末時点の会社公表数値を用いていますが、必要に応じて岡三にい がた証券が算出しています。 ・ROEの根拠となる自己資本は必要に応じて純資産から新株予約権と少数株主持分の金額を控除した金額 を用いています。 ・予想EPSは当期利益(会社計画、前回予想を含む)を記載の発行済株式数で除して計算しています。なお、 払い込み前の公募、権利落ち前の株式分割等は考慮しておりません。 ・時価総額は記載の株価と発行済株式数で計算しています。 ・発行済株式数は自己株を含んでおりません。株式数は直近決算期末時点の会社公表数値を原則として用 いておりますが、株式分割、公募増資、自己株買入れなど必要に応じて岡三にいがた証券の推定による試 算値を用いる場合があります。 ・日本基準の連結当期利益は、親会社株主に帰属する当期純利益です(平成27 年4月1日以後開始する連 結会計年度の期首から適用)。 ・米国会計基準の当期利益は、当社株主に帰属する当期純利益です。 ・指定国際会計基準(IFRS)の当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益です。 (平成27年5月改訂) 巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 岡三にいがた 県内企業ウオッチ38 銘柄コード 4239 エクイティ情報部 東証 JQスタンダード 化学 (株)ポラテクノ ≪会社概要≫ 上越市に本社、工場を置く。日本化薬系。16年3月期は、主力のProFluxや染料系偏光フィルムの販売は堅調 なものの、高採算のTEP需要が急減しており業績の足かせとなろう。また、TFT-LCD向けの新製品が収益貢献す るまでは今しばらく時間を要することから、同社の売上や利益の成長ペースは緩やかなものになるとみられ る。 ≪週足チャート≫ 720 現在値 13週移動平均線 11/24 (月/日)現在 円 26週移動平均線 1400 ① 1300 ② 1200 1100 ③ 1000 900 800 700 11/14 月/日 10/24 10/03 09/12 08/22 07/11 06/20 05/30 05/09 04/18 03/28 03/07 02/14 2 0 1 5 年 01/24 01/03 12/13 11/22 11/01 10/11 09/20 08/30 08/09 07/19 06/28 2 0 1 4 年 08/01 ④ 600 〔テク二カルコメント〕 14年11月に高値1,275円①を付けて以降、②15月1月高値1,181円、③7月高値956円と上値を切り下げて おり、下降トレンドが続いていると言えよう。一方、8月後半から9月にかけて3週連続で700円ちょうど で下げ止まり④、下値での抵抗力も出てきている。足元でも700円を割り込まずに推移していることか ら、このまま同水準が下値支持となり反発のきっかけが掴めるか、しばらく様子を見たい。 〔参考指標〕 年初来高値 1,181 円 年初来安値 PER(会社予想) 8.53 倍 PBR(実績) 信用買い残 180 千株 貸借倍率 700 円 0.95 倍 0倍 単元株数 100 株 ROE(実績) 12.64 % 発行済株式数 41,450 千株 最低購入代金 配当利回り 時価総額 72,000 円 2.08 % 29,844 百万円 〔業積推移〕 決算期 売上高 経常利益 2014/03 24,839 5,398 2015/03 25,441 5,631 2016/03 25,500 5,100 2016/03 は予想 単位:百万円 税引利益 3,476 3,686 3,500 EPS(円) 83.87 88.94 84.43 配当(円) 14 15 15 〔株主優待情報〕 ※株主優待は現在行っておりません。 巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 4 手数料およびリスクについての重要な注意事項 ・ この資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特 定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。また、過去の実績は必ずしも将来の成果 を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願 いします。 ・ 株式は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動による株価の変動によって損 失が生じるおそれがあります。また、発行体やその他の者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外 部評価の変化等により、株価が変動することによって損失が生じるおそれがあります。 ・ 本資料は、岡三にいがた証券が信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものです が、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。企業が過去の業績を訂正する等により、 過去に言及した数値等を修正することがありますが、その責を負うものではありません。また、本資料に記 された意見や予測等は、資料作成時点での岡三にいがた証券の判断であり、今後予告なしに変更される ことがあ ります。なお、本資料は、日本証券業協会「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則」のアナ リスト・レポートとして審査されたものです。 ・ 岡三にいがた証券およびその関係会社、役職員が、本資料に記載されている証券もしくは金融商品につい て、自己売買または委託売買取引を行う場合があります。 ・ 自然災害等不測の事態により金融商品取引市場が取引を行えない場合は売買執行が行えないことがあり ます。 ・ 金融商品取引のご契約にあたっては、あらかじめ当該契約の「契約締結前書面」(もしくは目論見書及びそ の補完書面)または「上場有価証券等書面」の内容を十分にお読みいただき、ご理解いただいたうえでご契 約ください。 ・ 株式の売買取引には、約定代金(単価×数量)に対し、最大1.242%(税込み)(手数料金額が2,700 円を 下回った場合は2,700 円(税込み))の売買手数料をいただきます。ただし、株式累積投資は一律1.242% (税込み)の売買手数料となります。国内株式を募集等により購入いただく場合は、購入対価のみをお支払 いいただきます。 ・ 本資料は岡三にいがた証券が発行するものです。本資料の著作権は岡三にいがた証券に帰属し、その目 的のいかんを問わず無断で本資料を複写、複製、配布することを禁じます。 岡三にいがた証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第169号 加入協会:日本証券業協会 (平成27年5月改訂)
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