マルチビーム開口面アシテナの高性能化に関する研究

マルチ ビーム開 回面 アンテナの高性能化 に関する研究
出 口博 之
同志社 大学 工 学部 電子 工 学科
〒610-0321京 都 府 京 田辺市 多 々羅都谷 1-3
あらま し 広 角 まで一様で高い利得をもつマルチ ビー ム開日面 アンテナを得 るため,最 適化手法を基 にした誘電体 レンズ ,な ら
びに誘電体 ドー ムに関する設計法を提案 している。誘電体 レンズアンテナについては ,30° までのマルチ ビー ム特性 を考慮 した
設計例を示 している。また ,誘 電体 ドー ムアンテナについては ,誘 電体 レンズに比べ ると利得低下が見 られるものの ,70° まで
の広角度範囲にわた りほぼ一様な利得を実現 した設計例を示 している。本法の妥当性は ,数 値解析および試作 した誘電体 レンズ
アンテナ,な らびに誘電体 ドー ムアンテナの Ka帯 での放射パター ンの測定評価 によって検証 している。
1 。 まえが き
誘電体 レ ンズ ア ンテナが ,最 近 の ミリ波 通信 の研 究や
ミ リ波 レー ダ の 開発 を背 景 に再 び注 目され て きて い る.
レンズ ア ンテ ナ には ,誘 電体材料 を用 い る形 式 とそれ以
1'2,3).前 の レン
外 の レンズ 素 子 を用 い る形 式 が あ る
者
ー
ビ
ズでマル チ
ム を構成 す る場 合 ,離 焦 点 で の特 性 劣化
4,〕._方
を押 え るこ とが重 要 とな る
ぅ後 者 の レンズは
ー
ア レ ア ンテ ナ の よ うに多 数 の 素 子 か ら構 成 され る も
のが 多 く,中 で も拘 束 レンズ は前 者 の誘電体 レンズ に比
べ て広 範 囲 にわ た り良 好 な 放 射 特 性 が 実 現 で きて い る
O 9)し か しな が ら拘 束 レ ンズ方 式 は ,レ ンズ に膨 大 な
数 の移 相 器 を配 列 しな け れ ばな らな い とい う欠 点 が あ
る。そ こで ,拘 束 レ ンズ形 式 のマル チ ビー ム特性 と誘電
体 レンズ の 単 純 な構 造 を併 せ も つ 形 式 が 望 ま しい こ と
にな るが ,こ の よ うな い わ ゆ る誘 電体 ドー ム形 式 は着想
まで の 良好 な マ ル チ ビー ム特 性 が 実 現 で き ,ま た ,誘 電
体 ドー ム ア ンテ ナ につ い て は ,誘 電体 レンズ に比 べ る と
利 得低 下 が 見 られ る ものの ,最 大約 70°の広 角度 範 囲 に
わ た りほ ぼ 一様 な利得 が 実現 で きる こ とを ,数 値 解析 お
よび試作 したア ンテ ナ の Ka帯 で の放 射 パ タ ー ンの測 定
評価 に よって示 して い る 。
2 . 誘 電体 レンズア ンテナ
2 . 1 設 計法
単 焦 点 レ ンズ や 双 焦 点 レ ンズ で は , 1 点 あ るい は 2
点 の 焦 点 か ら光線 を トレー ス した と き , 開 口面 上 で 光
路 長 が 一 定 にな る よ う設 計 さ れ て い る 。そ れ ゆ え焦 点
以 外 の 点 か ら光線 を トレー ス す る と , 光 路 長 が 一 定 と
な らな い た め , 一 定 値 か らの ず れ が 位 相 誤 差 とな って
利 得 の 低 下 を招 く。そ こで , こ の よ うな 光 路 長 の 一 定
値 か らの ず れ を各 ビー ム に つ い て最 小 とな る よ う レ ン
の み に と ど ま り具体 的 な 設 計 や 放 射 特 性 まで は 明 らか
で はない 10.
ズ 形 状 を決 め れ ば利 得 の 改 善 が 図 れ る こ とに な る 。い
そ こで 本 論文 で は ,広 角 まで 一様 で高 い 利得 を もつマ
ル チ ビー ム 開 口面 ア ンテナ を得 るた め ,最 適化 手 法 を基
P O を 与 え , レ ンズ両 面 の 点 ( 図 中 の o ) の ρ座 標 を 固
に した誘電体 レンズ ,な らび に誘 電体 ドー ム に関す る設
【 ) お よび Z o を 与 え ,
く. す な わ ち , ρん( た= 0 ) 1 ) … ・ぅ
計 法 を提 案 して い る .誘 電 体 厚 み を変数 と した例 に 曲
Z ん( 旅= 1 , 2 , 一
面 修 整 レ ンズ が あ るが焦 点 系 の レ ンズ に 関 す る もの に
5),提
案 す る方 法 は全 て の ビー ム を考慮 し
限 られてお り
た もので あ る。また ,従 来 の拘 束 レンズ 6,7)の設 計 で は
を 設 計 変 数 に と る 。こ れ らの 点 を基 に 内挿 して レ ン
ズ 曲面 を表 し , さ らに法線 ベ ク トル を差 分 に よ っ て 求
め る . 一 方 , 複 数 の ビー ム を得 るた め , 同 図 の よ う点
レ ンズ 素 子 と して理 想 的 な移 相 器 を考 えて い るが ,本
F 角( 角= 0 ) 1 ) … , N ) に
法 で は誘 電 体 厚 み を直接 考 慮 して 幾 何 光 学 お よび 開 口
レンズ形状 お よび各 ビー ムの位相 中心が決 まれ ば , 点 F η
面 法 を基 に して最適化 設 計 して い る点 が 異 な って い る。
か ら M本
本 法 に よれ ば ,誘 電体 レ ンズ ア ンテナ に つい て は ,30°
対 応 す る開 口面 まで の 光路 長 う角仰 ( 陶 = 1 , 2 , 一 , M )
ま ,Fig.1に
示 す よ う に , レ ンズ 第 1 面 の 中 心 の 点
定 して , ″ 座 標 を変数 と して レ ンズ 形 状 を設 計 して い
ズ ) お よび 厚 み 名 ( 拷= 0 , 1 ) …
ぅ
, 【)
1 次 放 射 器 の 位 相 中心 をお く.
の光線 を レンズ に入射 させ , 拘番 目の ビー ム に
mlzcd
宮 g 一N
[
Aperture pl劉
■
e
for phasc cctltcr F″
ポ導、
-100
-50
0
50
p[mm]
″
N
F ︰ . F
分 b 七 つo つ脅 資島︶
o ⋮
F
Fig 2
Cross―
sectional vie、
v of the designed Lcns
ンズ の写 真 を F i g ` 3 に 示 して い る。 1 次 放 射器 には K a
帯 の標 準 ゲ イ ン角 す いホ ー ン ( 開 口寸法 5 1 5 × 3 7 0 m m )
Fig l
Design Parameters ofthe proposed lens
の置 に
を用 い , 位 相 中心 をホ ー ン開 口面 か ら 2 0 1 1 1 1 1 1位
お き , H 面 上 で マ ル チ ビー ム が 得 られ る配 置 で 実 験 を
行 つてい る, F i g . 4 は , 周 波数 2 0 G H z 〕遠 方 界領 域 にお
を求 め るこ とがで きる 。 この とき ,ビ ー ムの 方 向 Oη の
角度 だ け傾 けた 同図 の よ うな面 が 開 口面 とな る。光路 長
… )N)
五々仰 の 一定 値 か らのずれ の Ins tt c角
(角=1)2〕
を定 義 して位 相 に換 算 すれ ば ,平 面波 か らのずれ とな る
位相 誤 差 が 得 られ る 。 したが つて ,c角 を全 て の ビー ム
について求 め ,こ れ らの 2乗 和 が 最 小 とな るよ うに最適
CW
O tOP Ⅵ
O SidC宙CW
化 を行 え ば ,レ ンズ形 状 を表 す (2【 +1)個 の 変数 を決
定 す るこ とが で きる 。最終 的 に 3次 元 レンズ形状 は ,こ
Fig 3
Photograph of fabricated lens_
の よ うに して得 られ た 2次 元形 状 を を軸 で 回転 させ た
形 状 とな り,角 度 ONま で の 放 射 方 向 にお い て マ ル チ
ビー ム特 性 を も つ 誘電体 レンズが 得 られ るこ とにな る.
22 設
計例
け る放射 パ タ ー ンの測定値 (実線 )と 計 算値 (破線 )を 比
較 した もの で ,島 ,■ )れ ,月3は ,ビ ム を ③筋 =0° )
10°,20°,30° に向 けた ときの 一 次放射 器 の位 相 中心 の
周波数 メ=20 GHz,開 口径 D=10人 =1501111n,
F/D=13(Fは 焦点距離),比誘電率て
r=225と し
位 置 を示 してい る。計 算 にお い て は ,レ ンズ 周辺 か ら外
側 にか けて 1次 放 射 器 か らの ス ピル オ ー バ が生 じるの
て レンズ を設計 した 。Fig.2は 本法 に よ り得 られ た レン
ズ形状 を示 した も ので ,最 適化 にお いて 設 計 変数 と した
で ,ス ピル オ ー バ 電 力 を考 慮 して い る 。 同図 に お い て ,
実験 では若干 の ビー ム方 向 の ず れ が生 じた も のの ,い ず
点 は ,レ ンズ 内面 で 7点 ,外 面 で 8点 で あ り (同図 中 の
れ の方 向 の ビー ム に つ い て も測 定 値 と計 算 値 は よ く一
o参 照 ),レ ンズ の端 で厚 み が 十 分 薄 くな る よ うに最 適
致 して い るこ とが確 認 で きる.
化 を繰 り返 して い る .ま た , 1次 放 射器 の位 置 は -30°
か ら 30°まで等 間隔 に 15点 と し,簡 単 の ため平面 上 に
配置 してい る 。 1次 パ タ ー ンは ,後 述 す る実験 で用 い る
20 GHz帯 の標 準 ホ ー ンア ンテ ナ を想 定 して ,cOs30(θ
)
と してい る。 この とき ,照 度 分布 に よ る利 得低 下 とス ピ
ル オ ー バ ー に よ る損 失 の 和 が 最 小 にな る条 件 に比較 的
近 い -13 dBの エ ッジ レベ ル に選 んでい る.
23 実
験
提 案 す る レ ンズ の 放 射 特 性 を実験 に よ り評 価 す るた
め ,Fig.2に 示 した形状 の レンズ をポ リエ チ レン を使 つ
て 実 際 に製 作 した 。 レ ンズ 表 面 は切 削 の 都 合 に よ り十
分細 かい ピッチ の 階段形状 で近似 してお り,製 作 した レ
3 . 誘 電体 ドームア ンテナ
31 設
計法
誘電体 ドー ム ア ンテ ナ は ,軸 対称 で 肉厚 を変化 させ た
レ ドー ム に似 た形状 で ,そ の 中心 に 1次 給電 ア レー をお
い て構成 され る 。通 常 ,1次 パ タ ー ンの走査 範 囲 には眼
界 が あ るが ,誘 電体 ドー ムの屈 折 の効 果 に よ って 広 角 ま
で ビー ム を走査 しよ う とい うもので あ る.
Fig.5(う は を軸 に 関 して対 称 な 2次 元 ドー ム 形状 を
示 した も の で , ドー ム 内面形 状 を r=ra(ψ )urで 与 え
(urは 単位 ベ ク トル ),誘 電 体厚 み ち (j=1)2、 一 ち 札 )
を設 計 変数 に とる 。 ドー ム 外 面 を形 成 す る (2単 -1)
Interpolated curve
-30
0
30
60
Angle[deg]
Angle[deg]
Fi3 4
Companson bet、
veen measured radia―
tiOn Patterns and predicted Ones
個 の離 散 点 か ら 3 次 ス プ ラ イ ン関 数 に よ って 補 間 し
て 厚 み 古( け) を 定 義 し , 連 続 的 な ドー ム 外 面 形 状 r =
(Iα
(ψ)十 七(ψ))urを定 める。ただ し,こ の段階では 1次
給電ア レー を長 さ との連続波源 とみなすことにする。
さて , ドー ム形状お よび 1次 放射 系が与え られれば ,
各 ビー ムの利得 の評価 を行 うことが で きる。まず ,Fig.
5(b)の
ように 1 次アレーの両端の点 P お よび点 Q か
らドーム内面の点 ( r ) )ψに向けて光線をトレースして,
Fig
5
Two― dil■
eIIslonal model in dielec―
tric dome(a)Deinitlon of dome surfaces and
(b)CffCCtVe prttlary pattern range and GO rays
from points P and Q
ドーム内面, そ して外面の境界面で屈折 した後の光線の
ー
方向 θ
) を 求める。したがって , 逆 に ド ム
P ( ψ) , θ。( ψ
を出る光線方向 β= O を 与えれば , 光 線 の入射する点
(r(サ
β) , ψ
P ( O ) ) , ( r ( t l ? )q,(ψ
O ) ) が決 まることになる。
ー
そ して , 1 次 アレ の最大走査角を簡易的に考慮するた
め , 点 P お よび点 Q か らの放射角度 αP お よび a g に 対
して , 一 αt t a r ≦a p , α
? ≦ a m a r の ように制限を設けて
いる。
この よ うに して点 P お よび点 Q か ら θ= O 方
向 に向
か う光線 の軌 跡 が わか れ ば , F i g . 6 に 示 す よ うに して ③
方 向 に 対 す る開 口の長 さ 五′
( O ) を 幾 何 光 学 的 に見 積 も
る こ とが で き る 。さ らに , 1 次 ア レー の 長 さ う お よび
ドー ム 内面座標 (T(ψ
P),ψ
P(O)),(r(ψ?))ψ
。(O))の 間を
各 々 Aみ 等分 し,各 点 を通 る Nr本 の光線 を トレー スす
れば,幾 何光学 の電力保存則 よ り`軸 上の関口における
電力密度 口〔2も 決定で きる (Fig.6中の点線で示 した
ー
光線群).等 価開 口径 五′
(O)を 用 い れば ,O方 向に ビ
ムを向けた ときの 2次 元 ドー ムの 開 口能率 ηc(O)も 求
め られる。ただ し,素 子 の励振位相は開口面分布 におけ
る位相が 一様分布 とな るよう選ぶ もの とす る。そ して ,
評価関数 として ,1次 ア レー の長さ Lで 規格化 した能率
Fig 6
肺
o―dinensional dome modelio eval―
uate effective aperture diarneter undcr tte G0
a p p r o x i na■
tion
η(O)を 求め ,所 定 の角度範囲内の OJ(ブ =1,2,… ⅢM)
に対す る開 口能率 切(O」)力S一様 で極 力高 くな るよう最
適化 を行 い )2次 元 ドー ム形状 を決定する.
次に ,波 動的な解析 を設計に取 り入れるために ,具 体
的な素子 の特性 を考慮 する。そのため ,ま ず )ド ー ム形
状 につい ては ,上 述 した設計で得 られた 2次 元形状 を )
z軸 の周 りに回転 させた 3次 元構造 を初期形状 とす る。
ドー ムの 3次 元形状 が与 えられれば ,ド ー ム 内面に入射
100
Element number″ =1,2.… ,9
0
5
日日]N
[
″
ヽ
お
1奄
こ
三
ご
ゐ
Dielectic dOme
-100
-50
0
50
100
p[mm]
Fi3
7
Exan■ ples of t覇
′
o―
diinensional mod―
Fig 8
els obtained by using the GO approxllnation as
Designed dielecthc dome and elements
consisting of a primary array
a Function of dome height
す る素 子 の 放 射 パ タ ー ンを求 め る こ とが で き る 。そ こ
で ,幾 何 光学 近似 (屈折 の 法則 お よび電 力保 存則 )を 用
いて 誘 電体 の 影響 を考慮 す れ ば ,ド ー ム全 体 の外 面 曲面
上 の 電 界 分 布 を計 算 す る こ とが で き る 。この よ うに し
て 得 られ た ドー ム 外 面 上 の電 界 分 布 を 2次 波 源 とみ な
し,開 口面 法 を用 い て軸対称 ドー ム表面 に沿 つて 積 分 す
る こ とで放 射 電 界 が 計 算 で き る こ とにな る 11).ドー ム
曲 面 が 決 まれ ば ,最 適 化 の 評 価 関数 が定 義 で き る 。ア
レー 給 電 ドー ム ア ンテ ナ の 利 得 は 各 素 子 か らの ドー ム
に よ る 2次 パ タ ー ンを合 成 す るこ とで計 算 で きる。
元 ドームの数 値 計 算例
先 に述 べ た設計 で は ,ド ー ム 内面形状 を固定 してい る
32 2次
ので ,こ こで は ,ま ず ドー ム 内面 の 高 さを変 えた場合 に
所 =0.7で は図には省略 したが 68°までが幾何光学的
な解 が得 られて いる。これによ り,後 述す る設計例では
ドー ム初期形状 として用い る 2次 元 モデルが容易 に決
まる解の中で ,最 も角度範囲の広い 70°に対 して設 計 し
てい くことにする。
33 3次
元 ドームの設計例
ル チ ビー ム の 角 度 範 囲 0°∼
周 波数 /=20 GHz,マ
70°,ド ー ム 開 口径 D=1501111m=10人
(人 は 自由空
間 波 長 )と し ,誘 電 体 と して ポ リエ チ レ ン (比誘 電 率
6ダ=2.25)を 想 定 して設 計 す る.ま ず ,概 略設 計 にお い
て , 1次 ア レー 長 L=481111n, 1次
ア レー の 最 大走 査
=60° を与 えて最 適化 を行 う と ,a=48 mm,
角 αtt a″
あ=52 mmと
次 に ,3次
な る。
元 ドー ム に 対 して 開 口面 法 を基 に 詳 細 設
つ い て幾何 光学 を基 に した概 略設計 を行 い ぅ聞 口面 法 を
計 を行 う .素 子 ア ンテ ナ と して 方 形 パ ッチ ア ンテ ナ を
基 に した詳細 設計 で用 い る初期 形状 につい て検 討 を加 え
用 い ,こ れ らを H面 に 9素 子 配 列 して 1次 ア レー を構
成 す る こ とにす る 。最 適化 にお い て は ,ア レー 中央 の
る。計算条 件 は ,後 述 す る実験 で 用 い る誘 電体 を想定 し
し,ま た ,周波数 に依 らな い 幾何
光学的 な評価 と して , ドー ム 直径 2αで規 格化 した 1次
ア レー 長 岳 =05と
し,ド ー ムの高 さ 嘉 =03)0.5,07
と変化 させ た場 合 につ いて 計 算 を行 う 。Fig.7は 幾何 光
学 近似 の も とで所 定 の 角 度 範 囲 内 で 一様 に極 力高 い 能
て比誘電 率 cr=225と
率 が 得 られ る よ うに設 計 した誘 電 体 ドー ム 形 状 を示 し
た もの で ,最 大 走 査 角 ③胸ar=50)60,70『
1に つ い て
設計 した結 果 で あ る。ただ し,設 計 変数 比 =10,光 線
の数 、 =10,ビ ー ム走 査 角 のサ ンプル 点数 財 =10,
1次 ア レー の 最 大走 査 角 αttar=60° で あ る 。 同 図 よ
り,万 =03と
ドー ムが 低 い 場 合 ,60° よ り広 い 角度
範 囲で は幾何 光 学 的 な 一様 利 得 の 解 が
得 られ て い な い 。
ドー ム を高 くして設計 すれ ば ,万 =05で
は 70°まで ,
素 子 ,ア レー 両端 の 点 Pお よび点 Qに お け る素 子 を考
え ,そ れ ら 3素 子 の ドー ム に よ る 2次 パ タ ー ン を合成 し
て 得 られ る利 得 が 一 様 とな る よ うに ドー ム 形 状 を修 整
す る。この とき ,ド ー ム 内面 に入射 す る一 次 パ タ ー ンは
簡 単 の た め無 限 地 板 にお け るパ ッチ ア ンテ ナ の 放 射 パ
タ ー ン を用 いてい る 。Fig.8は 設計 した誘電 体 ドー ム の
断 面 形 状 お よび 1次 給 電 ア レー の 各 素 子 位 置 を示 して
い る。 ビー ム走査 角 のサ ンプル 点数 は M=13で
あ る.
なお ,各 素 子 の励 振位 相 は ,利 得 最大 の 条件 よ り素子 の
ドー ム に よる 2次 放 射 電界 の共役 値 に設定 して い る。
34 実
験
提 案 す る誘 電 体 ドー ム の 放 射 特 性 を実験 に よ り評 価
す るた め ,Fig.8に 示 した形状 をポ リエ チ レンブロ ック
=│°
M∽
s試
封
d
革 妻ICaCulaに
External vic覇 ′of fabricated diclectric dome
一
国ユ 月 ヽ〇
Fi3 9
10
Calculatcd
MPasured
臼一]F馬0
[
‐
40
Fig
-10
ll
0
40
Angle rdeg]
Measured and calculated radiation
dome antenna
patterns of the dielectric―
/=20 GHz
O=0。
-20
-80
-40
0
40
80
Angle[deg]
10
Compattson bet、
veen measured ele―
■lent pattern and calculated one in dle dielectric―
層 電 ︺月 ミ〇
Fig
do■le
を 3次 元切 削器 (Roland CAMM-3 PNC-3000)に よ り切
削 す る こ とで 試作 した 。Fig,9は 誘 電 体 ドー ム の外 観
を示 した もの で あ る 。 また ,1次
給 電 ア レー の 素 子 に
-80
‐ 40
は 20 GHz帯 の背 面給 電方 式 の 方形 パ ッチ ア ンテ ナ を用
い ,H面 上 に 9素 子配 列 して い る 。
Fig.10は ,周 波数 20 GHz,ア レー 中心 の 1素 子 のみ
を励 振 した と きの遠 方 放 射 パ タ ー ンの 測 定 値 と計算 値
との比較 を示 した もので ,リ ップル の正 確 な位 置 は若干
異 な る ものの ,両 者 は比較 的 一 致 して い る。 また ,Fig,
11は ビー ム の 方 向 を ③ =0)20)40,60,70[° 1と して得
0
地
Fi3 12
40
80
le[de8]
Measured and calculated radiation pat―
tems of tle prilnary array、vithout thc diclectric―
dome
い な い こ とが 主 た る要 因 と考 え られ る 。 しか しな が ら
られ た結 果 を示 してお り,比 較 の ため ,開 口面法 を用 い
て 計 算 した結 果 も示 して い る 。ア レー の 合 成 パ タ ー ン
測定値 と計 算値 は全体 的 には比較 的 一 致 してお り, 広 角
に つい て は ,簡 単 の た め ,素 子 間 の 相 互 結合 を無視 し,
1素 子 の み を給 電 した と き の放 射 パ タ ー ンの 振 幅お よ
で きる 。
び位相 を全 素 子測定 した後 ,利 得 が 最大 にな るよ うな励
方 向 にお いて 良好 な特 性 が得 られ , 本 法 の 妥 当性 が確 認
さ らに , 誘 電体 ドー ム の効 果 を実験 的 に調 べ るた め ,
誘 電 体 ドー ム を つ け な い 状 態 で も測 定 を行 つて お り,
振位相 を与 え るこ とか ら求 めて い る 。 同図 にお い て ,特
に ⑤ 三 0°の ビー ム に見 られ る利得 の差 異 は ,計 算で は
誘 電体 ドー ム に よ る反 射 波 の 影 響 を無視 して い るた め ,
F i g 。1 2 に 測 定 値 と計 算 値 との比較 を示 して い る 。広 角
に ビー ム を向 けた ときの利 得 低 下 は F i g . 1 1 に 比 べ て 非
誘 電 体 ドー ム と地板 との 多 重反 射 の 影 響 が 考 慮 で きて
る こ とがで きた 。
常 に大 き くな って お り, 誘 電体 ドー ム の有効 性 を検 証 す
4 . ま とめ
本研 究に関わ る論文 ・研 究報告
広 角 まで 一 様 で 高 い 利 得 を も つ マ ル チ ビー ム 開 口面
ア ンテナ 実 現 の た め に ,軸 対称 誘 電体 レ ンズ ,な らび に
誘 電 体 ドー ム の 最 適 化 設 計 法 を提 案 した 。本 法 に よ り
設計 した誘 電体 レンズ ア ンテナ は ,30° まで の 良好 な マ
ル チ ビー ム 特性 が 得 られ ,ま た ,誘 電体 ドー ムア ンテナ
につ いて は ,誘 電体 レンズ に比 べ る と利 得 低 下 が 見 られ
るものの ,70° まで の広 角度 範 囲 にわ た りほ ぼ 一様 な利
得 が 実 現 で き るこ とを数値解 析 お よび Ka帯 で の実験 に
よつて確 認 し,本 法 の 妥 当性 を検 証 して い る.
参
考
文
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sigll and fabrication of homogeneous dielccttdc lenses for
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multiple attenuation poles using
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れ,Aug 2006
出 日 博 之 ,渡 辺 浩 章 ,辻 幹 男 ,“2段 同軸 キ ヤ ビテ ィを
装 荷 した小型 多モ ー ドホ ー ン,"2006年 電 子情報 通 信 学 会
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大森 康 平 ,出 口 博 之 ,辻 幹 男 ,“同軸 キ ヤ ビテ ィ装 荷 多
モ ー ドホ ー ンア ンテ ナ の最適 化 ギ 2006電 気 関係 学会 関 西
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表 予定 )