2015.4.3の講義slide「MOT入門(1)」

2015/4/5
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科「医歯科学概論」
MOT(技術経営)入門(1)
What’s MOT ?
飯田永久 Ph.D.
April 3, 2015
1
MOT入門(1)
0か1かではない。
A
April 24, 2013
B
岡山大学医歯科学 MOT
2
1
2015/4/5
「大学発技術」の事業化/新事業創出モデル(N.IIDA)
MOT(Management of Technology)技術経営
既存の企業
TLO:Technology Lisencing Organization技術移転機構
R&D:Research & Development研究開発
IP : Intellectual Property知的財産
IP
知財活用事業(知財経営)
IP
IP
: IPを含むTechnology
経営
直接移転
TLO等の
技術移転機関
経営資源
潜在的ビジネスシーズ
Latent Business Seed
R&D
Themes
IP
起業か
IPの移転か
の選択
大学・研究機関等 Business Seed
になることの認識
Chance Recognition
IP
成長した新企業
Growing Business
ベンチャービジネス設立
Start-up Business
目利き
成長させる努力
IP
April 3, 2015
IP
経営
IP
IP
IP
経営
3
MOT入門(1)
MOTで克服すべき障壁
元始的創新
Devil river
魔の川
研究
April 3, 2015
応用的創新
The valley of death
死の谷
開発
産
Darwinian sea 業
ダーウィンの海 化
事業化
MOT入門(3)
4
2
2015/4/5
MOT(Management of Technology)とは
■技術を事業の核とする企業・組織が次世代の事業を継続的に創出
し、持続的発展を行うための創造的かつ戦略的なイノベーションの
マネジメント(経済産業省)
■コア・コンピタンスである技術力を、競争力のある事業に結びつけ、
他社に対する競争優位を確立すること・・・政府系金融機関研究所の報告書
■持っている資源を最大の効率で運用する(利潤を最大にする)こと
経営資源:ヒト、モノ、カネ、情報、時間
■企業・組織全体の業績向上のためのマネジメント
工場や研究所の部分最適が最終目的ではなく、広い意味の戦略論・組織論が
中心
■起源のひとつは、研究開発、技術開発において必要な専門的経営
能力向上を目指す教育プログラム(米MITで1981年創設)
■日本では「技術経営」ともいわれる
April 3, 2015
MOT入門(1)
5
MOT科目の例
• 技術知識そのもの(新分野の概論)
• 既存の経営知識、手法
– Marketing、品質管理、会社組織論、会計学、知的財産論
• MOTに関係の深い知識、手法
– Con-current engineering、Road mapping、起業論、Project
Management、Relation management、Innovation、TRIZ
• 新しい経営知識、手法
– 仮説のマネジメント、Knowledge Management
• 目標設定、戦略策定のための知識、手法
• 新しいMOT的概念
– 研究開発のJIT
• 実行力そのものの鍛錬
– 実体験、実習、Case study(Case method)、PBL
April 3, 2015
MOT入門(1)
6
3
2015/4/5
MBAとMOT
MBA
MOT
戦略論
組織論(ミクロとマクロ)
マーケティング
国際経営
財務・会計
経済学(ミクロとマクロ)
製造業中心 技術・製品戦略に比重
製品・技術開発と研究所に比重
製造業中心
製造業中心
人的資源管理(人事・雇用など)
オペレーション管理
テクノロジーマネジメント(選択科目)
基本中心
基本中心
基本中心
工場管理、プロジェクト管理など重視
必須科目
茶色:MBAでより重視
April 3, 2015
管理会計とプロジェクト評価は重要
赤色:MOTでより重視
7
MOT入門(1)
MOTからMO-CCへ
Technology → Core-competence(CC)
中心
強さ、強み
1. コア・コンピタンス(技術)を確立して、それをうまく
維持・強化する:Managementが必要
2. コア・コンピタンスをうまく使って稼ぐ:
Managementが必要
• いずれにしても、Managementが上位
• Managementには、必ず目的(目標)がある
April 3, 2015
MOT入門(1)
8
4
2015/4/5
これからのMOTの方向
• 他と違うことを考え実行すること:Originality
–
–
–
–
–
Intellectual Property Rights 時代に「模倣」は無意味
既成概念から離れた不連続な発想(Disruptiveness)
量的改善でなく「質的な転換」が求められている
そのために、Serendipity, Sensitivity 、異種情報
(連続的Innovation, プロセスInnovationでのQuality,
Cost, Delivery 改善の追求はマイナーに)
• 素速いこと:Agility
– 他者より先に形式知化すること
April 3, 2015
9
MOT入門(1)
これからのMOTの方向(2)
• 境界を越えて考えること:Borderless
– 専門、組織、業界、国境を越えた連携・提携
• 情報収集力・発信力:Information
– ITと人脈
形式知と暗黙知
異分野とも
• 個別対応、非定常対応:Individuality, Irregularity
• 所有より利用・使用 競争から共創へ
• 模範解答でなく、多種多様な発案を
– 定石→試行錯誤
April 3, 2015
多様性Diversity, Variety
MOT入門(1)
10
5
2015/4/5
MOTの発祥と変遷
米国のMOT
• 1952年 MIT Sloan SchoolにMaster of Science in
Management for young students
• アポロ計画から本格化 1960年NASAからMITに予算
• 日本の技術系経営者に対抗の必要性
– しかし、MBAの7割は非製造業へ
– 必然的にMBAは技術よりFinance中心
– 製造業トップ向けのMBA的なものの必要性
• 1981年MITに工学系と経営系共同の学位授与プ
ログラム「MOT」
• 90年代には起業対応の新ビジネス、Innovation関係の
テーマへシフト
April 3, 2015
11
MOT入門(1)
「ジャパン アズ No.1」(“Japan as No.1”)
エズラ・ヴォーゲルEzra F. Vogel著(1979年)
社会学者
• 日本の高度成長を分析。日本的経営を高く評価。
70万部を超えるBest seller
• 日本人の特性の美化だけでなく、学ぶべきもの、学ぶべき
でないものを明示。最後の章は「Americaへの教訓」
• 基盤は日本人の学習意欲と読書習慣。数学力は世界2位、
情報関連7位、他の科学分野2~3位。日本人の読書時間
は米国人の2倍、また新聞発行部数の多さ等で日本人の
学習意欲と読書習慣を例証
• 英語力は明らかに劣るが、まだ大問題ではない
• 優秀な通産省・大蔵省の強い関与も競争力に寄与
April 3, 2015
MOT入門(1)
12
6
2015/4/5
米国
日米の人材の動きの差
日本
専業
機能分担
横の異動
相似形
昇進
MBA←→
経営者
他社←→
技術者
経営者
技術者
他所←→
技能員
April 3, 2015
技能員
13
MOT入門(1)
人材の動き
専業
機能分担
横の異動
相似形
昇進
経営者
医師
技術者
事
務
技能員
April 3, 2015
技
師
看護師
用務
MOT入門(1)
14
7
2015/4/5
MITのMOT
• 「MOT:Management of Technology」はいわば
MITの商品名(1981~2004)*
– Sloan School of Managementの講義コース名(初めて
の工学系大学院とビジネススクールのジョイントプログラム )
将来の「技術に立脚した組織」を創り、構築し、指導する
人々を育成する。
・・・Prof. Ed Roberts
(Stanfordでは “Technology Management”)
*04年から“Sloan Fellows Program in Innovation and Global
Leadership”に統合
April 3, 2015
15
MOT入門(1)
Evolution of MOT Themes
MIT Sloan School
MITのMOTのテーマの変遷
“Educating those who will create, build & lead tomorrow’s
technology-based organizations.” Prof. Ed Roberts
Corporate
Venturing
Strategic Impact
Technology
Strategy
Technological
Innovation
Technology
Transfer
Managing
R&D
1960s
April 3, 2015
70s
80s
MOT入門(1)
90s
2000s
16
8
2015/4/5
MOTの中心的テーマの変化
将来の「技術に立脚した組織」を発案し、構築し、指導する人々
を育成する。
・・・エド ロバーツ教授
コーポレートベンチャリング(不確実性克服策のひとつ)
戦略的影響力
企業内
新規事業
技術的
イノベーション
技術
戦略
技術移転
研究開発
マネジメント
1960s 70s
April 3, 2015
80s
90s
2000s
17
MOT入門(1)
MIT Management of Technology Program
•
•
•
•
Class of 2004 52人(10数カ国から。内日本人14人)
授業料$47,000(6月~6月の1年間。海外研修費込み)
理工系、8~15年の社会体験、英語力
内容のキーワード
– 技術的競争力、先端技術、組織変化、インターネット活用、プレゼンテーション力、
企業戦略、市場予測、
不確定要素下の決断、フィードバック、
チームの構成とリーダシップ、対立関係の解決と交渉力、海外研修、論文
写真はMITの2004年度MOT案内brochureより
April 3, 2015
MOT入門(1)
18
9
2015/4/5
何のためのMOTか
• Management of Technology
– to lead the project to success. (アポロ計画)
– to improve the productivity of manufacturing
industry.(日本の製造業に勝つ)
– to get over the river, the valley or the sea.(ダーウィ
ンの海、死の谷、魔の川を乗り越える)
– to make money.(とにかく金儲け!?)
• MOTが先にあるべきではない
– MOTのためのMOTにしないこと
April 3, 2015
19
MOT入門(1)
現在の日本のMOT≠米国のMOT
京都大学 澤泉重一ら
• 米国での「MOT」プログラム
–
–
–
–
–
Engineering Management
Engineering & Management
Engineering & Technology Management
Industrial Management
Manufacturing Management
• 米国の「技術経営」プログラム
–
–
–
–
Technological Innovation
R&D Management
Corporate Policy
Domestic/International Scientific & Technological
Policy
April 3, 2015
MOT入門(1)
20
10
2015/4/5
マネジメントManagementとは
• 多くの生産性の低い場で欠けているのは
マネジメント
• マネジメントの基本
To manage=何とかする、 ~を御する
■望ましい状態(目標:どこへいこうとしているの
か)と
■正確な現在の状態(現在値)とを把握し
■差の修正の計画的遂行によって
望ましい状態にもっていく
April 3, 2015
•
•
•
•
21
MOT入門(1)
Management
Plan(計画(目標設定を含む))
Do(実行)
Check(See)(評価)
Act(修正動作)
Plan
Do
Act
Check
「明確な目標設定」と「絶え間ないFeed-back」
April 3, 2015
MOT入門(1)
22
11
2015/4/5
経営目標を達成するための
Feed-back Loop
Plan
Do
Plan
Do
ビジネス目標を達成するためのFeed-back Loop
Act
See(Check)
Act
See(Check)
「明確な目標設定」と「絶え間ないFeed-back」
April 3, 2015
23
MOT入門(1)
マネジメント対象の相対性
各層で不断のフィーッドバックによるマネジメントが必要
・対象範囲の取り方
・部分最適に陥らないこと
企業経営
経営理念
事業戦略
企業収益
プロジェクト・マネジメント (優れた)製品・商品
組織マネジメント
組織の能力
チームワーク
応用力
基礎知識
資質
April 3, 2015
個人能力
個人マネジメント
MOT入門(1)
24
12
2015/4/5
イノベーションの正誤
1.その本質は技術革新である。
2.それは、先見の明のある優れた人がなしとげる。
3.中国では、これを「創新」と書く。
4.その結果、社会・経済的に不均衡がもたらされる。
5.それは政府などの規制によって引き起こされる。
6.既存のモノのみの組合わせはイノベーションではない。
7.家を新しく建て替えるのもイノベーションである。
April 3, 2015
MOT入門(1)
25
イノベーションに関する評価と予測
• この「電話」なるものは、コミュニケーションの手段として
まじめに検討するには、多くの欠点がありすぎる。
我々にとってこの装置は、本質的に無価値であ
る。・・・ウエスタン・ユニオン 社内メモ 1876年
• 「空気より重い」空飛ぶ機械は不可能である。 ・・・
王立科学協会会長 ロード・ケルヴィン 1895年
飛行機は面白いおもちゃだが、軍事的には何ら価
値がない。・・・仏陸軍大学校戦略担当教官 F.フォッ
シュ元帥(第一次大戦の英雄)
April 3, 2015
MOT入門(1)
26
13
2015/4/5
イノベーションに関する評価と予測(2)
• 一体全体、どこのどいつが、役者がしゃべるのを
聞きたがるっていうんだ。 ・・・ワーナー・ブラザーズ
H.M.ワーナー 1927年
• 私が思うに、コンピュータの市場は、世界的に見て、
多分5台位だろう。・・・IBM会長 トマス・ワトソン
1943年
• コンピュータの重さは、いずれわずか1.5トン位になる
かも知れない。・・・ポピュラー・メカニックス誌 1949年
April 3, 2015
MOT入門(1)
27
イノベーションに関する評価と予測(3)
・ 我々は彼らの音楽は好きになれない。ギター・ミュー
ジックは消滅しつつある。・・・デッカ・レコードがビートル
ズを拒否して 1962年
• 誰かが自分の家にコンピュータを持ちたがるような
理由など存在すまい。・・・ディジタル・エクイップメント会
長 ケン・オルセン 1977年
• どんな人でも640KB(のRAMが)あれば十分な
はずだ。・・・マイクロソフト会長 ビル・ゲイツ 1981年
April 3, 2015
MOT入門(1)
28
14
2015/4/5
イノベーションの定義
• J.A. Schumpeter
– 生産手段の新結合の遂行
創造的破壊
• P. Drucker
– 資源に対して、富を創造する能力を付与すること
資源を真の資源たらしめること
• OECD
– 非市場機関を含めて、市場で起こる創造的で相
互作用的なプロセス
• Palmisano Report
– 「社会的、経済的な価値創造を実現する“発明と
見識”の融合」
April 3, 2015
MOT入門(1)
29
イノベート
• To innovate
–
–
–
–
To renew
To make new
新しくする、変える
革新する、刷新する、新生面を開く
新しい物・事を取り入れる、始める
• Innovation
• Innovator (≒ Entrepreneur)
• Innovative
April 3, 2015
MOT入門(1)
30
15
2015/4/5
イノベーション:(既存)資源の価値創出能力の増大
• 成否は新規性、科学性、知識卓越性よりも市場で受け入れ
られるかどうか
• 技術<経済・社会
• 供給側<需要側
• 割賦販売の考案(サイラス・マコーマック)19世紀初頭
– 過去の蓄え→「未来の稼ぎ」を購買力に
– 供給主導型経済→需要主導型経済に
• コンテナ船:貨物船の生産性の飛躍的向上(←港での滞留
時間の短縮ニーズ)
• 教科書の発明(17世紀チェコ)→初等教育の普及
• 近代郵便制度(1840英)
April 3, 2015
MOT入門(1)
31
シュンペータのイノベーション
J.A.Schumpeter 1883-1950 経済学者(オーストリア→米国に帰化)
• 創造的破壊
– 1社(者)が均衡を崩すと、他も対抗策をとり、
新たな均衡点に移行する。こうして全体が進歩。
– 新しい試み・新規参入のない社会は進歩しない。
• 5つのイノベーション
–
–
–
–
–
製品・サービス(プロダクト イノベーション)
生産方法(プロセス イノベーション)
市場(マーケット イノベーション)
資源の調達法(調達イノベーション)
組織(組織イノベーション)
• 新結合Neue Kombinationen
April 3, 2015
MOT入門(1)
32
16
2015/4/5
シュンペータのイノベーション(2)
独立行政法人
組織
国内教育・研究者中心
調達先
生産方法
講義・演習
研究室での調査・研究
April 3, 2015
製品
サービス
教育・研究
市場
県内・国内・ア
ジア圏の若者
中心
MOT入門(1)
33
発明やイノベーションは
天才にしかできないか?
・天才とは、1%がひらめきで99%は努力
– トーマス・エジソン
・発明を効率的にする手法
例:TRIZ(TIPS)
・イノベーションは訓練でうまくできるようになる
・起業家的な機会を提供してくれる「変化」を体系的
に調べるための方法論
ピ-ター・ドラッカー
(1909-2005)
April 3, 2015
MOT入門(1)
34
17
2015/4/5
イノベーションはハイテクに限らない
•
イノベーション≠技術革新
• 新結合 Neue Kombination (New combination)
• 3大特許(Most popular patents)
– 亀の子タワシ
– 地下足袋
– 二股ソケット
• ある米VC(ベンチャーキャピタル)の最大収益源の例
– 理髪チェーン、歯科チェーン
– 日曜大工用品メーカ
– 中小企業向け機械リース会社
April 3, 2015
35
MOT入門(1)
3大特許?!
地下足袋
亀の子タワシ
1908西尾正左衛門実用新案(特許大正4 1915)
二股ソケット
1921 石橋正二郎
足袋→地下足袋→タイヤ
(ランプ1923大正12 )
April 3, 2015
1917
松下幸之助
MOT入門(1)
36
18
2015/4/5
ドラッカーの7つのイノベーション機会
(信頼性と確実性順)
• 内的要因
– 1 予期しなかった事(成功・失敗)の生起
• 思いがけない品の売れ行きの伸び
• 市場構造の変化(外へ出て調べる)
– 2 ギャップの存在
• 業績、認識、価値観、プロセス
– 3 ニーズの存在
– 4 産業構造の変化
April 3, 2015
MOT入門(1)
37
ドラッカーの7つのイノベーション機会(2)
• 外的要因
– 5 人口構造の変化
– 6 認識(ものの見方、感じ方、考え方)の変化
– 7 新しい知識の出現
April 3, 2015
MOT入門(1)
38
19
2015/4/5
イノベーションの7つの機会
Peter F. Drucker
業界内
業界外
予期せ ギャップ ニーズ 産業
ぬ成否
構造
低
人口
構造
認識
リスク
April 3, 2015
新知識
高
MOT入門(1)
39
Innovationの基本
• 7つの機会を利用して、価値と市場を創造
する(Drucker)。
– 小さい変化も見逃さず、自らその原因を究明
すること。
– むしろハイテクでない方がリスクは小さい。
– 技術的なことよりも社会的、経済的なことの方
が効果が大きい。
April 3, 2015
MOT入門(1)
40
20
2015/4/5
備中高梁銘菓 ゆべし
April 3, 2015
MOT入門(1)
41
ある月の「ゆべし」販売数
(高梁市の有名な「おみやげ」)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
1
April 3, 2015
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
MOT入門(1)
42
21
2015/4/5
Product と Process
Product Specifications製品仕様を変えるか
製品仕様、部品仕様、材料仕様etc あるいは製品そのもの
Process Specificationsプロセス仕様を変えるか
設備仕様、作業方法、検査方法etc.
Process
プロセスラインの流れ
April 3, 2015
MOT入門(1)
Products
43
The Innovator’s Dilemma
「イノベーションのジレンマ」
• Dilemma≒Contradiction矛盾
Paradox逆説、パラドックス
イノベーションと生産性のDilemma
イノベーションと事業発展のDilemma
• 後白河法皇vs.清盛:平 重盛「忠ならんと欲すれば
孝ならず、孝ならんとすれば欲すれば忠ならず」
• Cf. Trilemma
April 3, 2015
MOT入門(1)
44
22
2015/4/5
イノベーションのジレンマ
The Innovator’s Dilemma
‘97
WHEN NEW TECHNOLOGY CAUSE GREAT FIRM TO FALL
Clayton M.Christensen
製品の性能
時間
デパートvs.スーパー
スーパーvs.コンビニ
レストランvs.ファミレス
メインフレームvs.PC
大学vs.専門学校
ピアノvs.電子ピアノ
April 3, 2015
Disruptive Innovation(破壊的イノベーション)
「あれはオモチャだ。別の質のもので、自分
と対抗する勢力にはなり得ない」で始まる。
MOT入門(1)
45
Innovator’s Dilemma
すぐれた経営ほど、企業を失敗に追い込んでしまう!
• 何と衝撃的なパラドックス?! 一見分かりにくいが
しかしきわめて基本的で重要な「ビジネスの法則」
• 多くの成功しているリーダー企業は、有能な人材、
豊富な資金、高い技術力を備えていながら、時代の
大きな変化に対処することができずに、新興企業に
その座を奪われてしまう!!
• 事業を成功に導くために培われたプロセスや価値基
準の中に、新しいイノベーションを阻む原因がひそ
んでいる。
April 3, 2015
MOT入門(1)
46
23
2015/4/5
破壊的イノベーションと持続的イノベーションの流れ
・百貨店→スーパー→コンビニの変遷
・レストラン vs. ファミリーレストラン
・ピアノ vs. 電子ピアノ
・大学 vs. 専門学校
・「Record」 vs. 「CD」 → Download,Stream-play
・「紙の本」 vs. 「電子書籍」
・「銀塩フィルム」 → 「ディジカメ」→カメラ付き携帯電話
・メインフレーム → PC → タブレット → Smartphone
・ Beer → 第3のBeer etc.
April 3, 2015
47
MOT入門(1)
製造業の国・地域間のシフト
製品の性能
時間
日本経済の閉塞感を本格的に打破するためには、この20~30年の間に米国
が経験したように、行き詰まった既存企業の中から、市場の最下層に攻め
込んでゆく多くの新企業を作り出す仕組みを真剣に考える必要がある。
April 3, 2015
MOT入門(1)
48
24
2015/4/5
世界の成長の中心
ものづくり大国の変遷:ヨーロッパ→アメリカ→日本→(韓国、台湾→)
→中国
BRICs:Brazil Russia India China;世界のGDPの約
10%(Goldman Sachs証券)
(BRICs(2001年)からBRICS(2011年)へ)
NEXT11:Egypt Turkey Pakistan Vietnam Philippines
Indonesia Korea Mexico Nigeria Iran
Bangladesh人口の多さ等から期待(〃)
TIPs:Thailand Indonesia Philippines自由貿易協定(FTA)
中産階級の拡大で高成長予測(野村証券)
VTICs:Vietnam Thailand India China 計約25億人
世界のGDPの8%強
VISTA:Vietnam Indonesia South Africa Turkey
Argentina
April 3, 2015
MOT入門(1)
49
イノベーションのジレンマ4原理との共存の道:
刃向かうな、利用せよ
• 財務的に独立な別会社を作れ
• 別会社は小規模でスタート
• 別の計画手法を採用せよ
– 「発見」ベースの計画法
• 主流顧客の流れの転換を見きわめよ
– 飛行機は重力の法則に従って飛ぶ
April 3, 2015
MOT入門(1)
50
25
2015/4/5
・Innovator’s
Dilemmaの整理
「破壊的イノベーション」と「持続的イノベーション」とは区
分しにくいし、また厳密に区分する必要もない。本質が理解で
きれば、ある程度、対処はできる。
対処法:
①製品性能を市場のニーズを越えて上げ過ぎない
②むしろその努力は、性能向上よりもコストダウンに費やす
③常に、破壊的イノベーションが生み出す、安価な
「おもちゃ」を侮らず、そちらにいつでもシフトし得る
用意をしておく
April 3, 2015
51
MOT入門(1)
イノベーションのジレンマ
MBA
MOT
PSM
April 24, 2013
岡山大学医歯科学 MOT
52
26
2015/4/5
PSM(Professional Science Master)
専門科学修士
•
•
•
•
•
米国
科学応用産業界への従事を目指した大学院の履修課程。
2000年以降、急速に整備。
集中的な授業と実習(エリート教育)、企業研修(インターンシップ)が特徴。
大学は優秀な学生を企業研修に送り、企業は採用前に課題を課すことで
学生の能力を評定できる。企業は大学教育の受託先となる代わりに、優秀
な人材が確保できる。企業は中長期にわたり大学と関係を保てる。
就職後即戦力になるような学科編成となっている。例えば;
– 応用コンピュータ科学
– バイオテクノロジー
– 環境科学および環境評価
•
日本でも制度導入の動きがあるが、次のような条件のクリアが必要。
– インターンシップ制度が定着するような社会的努力
– インターシップ制度を利用した企業の研修生評価システムと大学へのフィード
バックシステムの確立
– 科学技術者が能力をもとに自由に移動できる労働流動性の確立
April 24, 2013
53
岡山大学医歯科学 MOT
企業として
イノベーションを
生み続けるには:
3Mの例
企業文化に
起業家精神
のDNAを導
入
全社的創世プログラム
June 12, 2008
モーゼの十戒+1:
MOT特論2008 飯田永久
汝アイディアを殺すなかれ
54
27
2015/4/5
Closed → Open
• 所有→使用
• 囲い込み→公開・・・・収益源の変化
• 単独→連携
背景
• 高速化、複雑化、高度化
• 資源の相対的減少
• グローバル化、IT化・ディジタル化
April 3, 2015
MOT入門(1)
55
手法にはピンからキリまである
• Persona法:ペルソナは劇・小説中の人物のように、仮想だが具体
的に実像がイメージできる存在
• TRIZ:
http://www.hj.sanno.ac.jp/cgi-bin/WebObjects/107c2074456.woa/wa/read/107dfe17301/
• Six Sigma(6Σ):http://www.sixcg.com/ Wikipedia
• TOC http://www.toc-japan.com/Gai/Gai.htm
• アメーバ経営:京セラが40年以上前始めた経営管理手法。会社を小組織に
分けて、独立採算を徹底。各部門は「時間当たり採算」と呼ぶ指標の向上を目指す。
• Balanced Scorcard:ビジョンと戦略を視覚化し、戦略を業績評価指
標(KPI:Key Performance Indicator)に変換。KPIの測定を通じて戦略の達成状況
を把握して、策定した戦略自体を見直す。
• Work Design:
April 3, 2015
http://www2s.biglobe.ne.jp/~coach/onepoint/sysdes/sd_wdes.html
MOT入門(1)
56
28
2015/4/5
手 法
出展:日経BizTech No.007
出展:日経BizTech No.007
April 3, 2015
MOT入門(1)
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目標設定と管理
• Road Map 道路地図
• Technology, Strategic, Business
– Road Mapping
•
•
•
•
PERT(Program Evaluation and Review Technique)
Gantt Chart
目的≠目標
まず書く
April 3, 2015
MOT入門(1)
58
29
2015/4/5
PERT(Program Evaluation and Review Technique)
• プロジェクトを最短で完了させるための工程管理、重点作業の
把握等のための工程計画手法。
• 矢印は作業、数字は所要時間。 ○印は作業の開始・完了点。
PERTの
Arrow Diagram
• 各ボックスの上の数字は、当該作業の最早開始可能時刻。
下の数字はその前の作業の最遅許容完了時刻。
• イベント6の27は、プロジェクトの最短完了時刻が27日であ
ることを示す。赤線は「クリティカル・パス」で、27日完了のた
めには、パス上の作業は遅らせられないことを示す。
April 3, 2015
MOT入門(1)
59
PERTの応用
・建設工事や各種プロジェクトの計画立案、進捗管理
・クリティカル・パスの概念は業務管理上、重要
・現実には専用のソフトウェアが使われる
PERTの周辺
・資源の制約による調整
複数の作業で同一の機械を使ったり、プロジェクト全体の
人数制限がある場合、調整し、ダイヤグラムを修正する
・CPM
追加費用をかけてプロジェクトの完成時期を早めるとき、費
用増を最少にする方法を求める。 CPM(Critical Path Method)
と呼ばれる
April 3, 2015
MOT入門(1)
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30
2015/4/5
小市場にも使える手法:ペルソナ-シナリオ法
Persona:仮面、小説等の登場人物
•
•
•
•
•
顧客ターゲットを絞った、製品・サービス開発手法
ペルソナ:(限りなく実在に近い)仮想ユーザ
少ないユーザでもペルソナ設定可能
人の属性+Situation(状況)の想起
製品開発の各フェーズで、ユーザイメージが、ぶ
れない
April 3, 2015
61
MOT入門(1)
今日は、「あなた」と「あなた」と「あなた」に
聞いて欲しい話をします。
業績を伸ばしたい
山木利雄さん
起業準備中の
大本康子さん
支援業務の
太田健一さん
X
3人のペルソナを設定
X
X
April 3, 2015
MOT入門(1)
62
31
2015/4/5
ヒットの秘訣:ペルソナ・シナリオ法
顧客ターゲットを絞って、ねらった顧客にピッタリの商品を開発する。
IMB PC ThinkPad
IBM ホームページ・ビルダー
3M Post-It
キャリーバッグ
Apple iPhone
・
・
April 3, 2015
MOT入門(1)
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TRIZ(ТРИЗ):発明的問題解決理論
TIPS (Theory of Inventive Problem Solving)のロシア語の頭文字
• Genrich Altschuller:ロシアの特許審
査官(旧ソ連海軍)
– 1946年20才で研究開始
– 250万件の特許を分析
– 最盛時は数千人の研究員
従来:
・無原則な探索
・非効率的な絨毯爆撃法
・既成の慣れた方向に偏る ・思い込みで隘路に陥る
TRIZ:解決案への道を効率よく発見
・系統的で方向性があり、固定的考え方に頼らない探索
・発想の転換によるイノベーション
June 12, 2008
MOT特論2008 飯田永久
64
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2015/4/5
• 3D-Printer
• 人工知能 Artificial Intelligence
• ロボット Robot
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MOT入門(1)
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MOT入門(2) ベンチャービジネス
概論
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Crowd
Funding
April 3, 2015
33
2015/4/5
米国の産業競争力の新モデル
生越由美「MOTと大学の知財戦略」(パテント2005)より
新モデル
従来モデル
アプリケーション技術など
<単独開発>有料
競争
共用技術など
<単独開発>有料
権利行使に
関する意識
「所有」が中心
April 3, 2015
→
競争
共用技術など
<共同開発>無料
知的財産権の無償解放
共同開発者の爆発的増加
開発スピードの加速化
標準化戦略への影響力
協調
「使用」も重視
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MOT入門(1)
事業戦略
会計学
マーケティング 経済学
組織・人事管理 経営学
会社法
ファイナンス
新しい考え:仮説のマネジメント
研究開発のJIT
知識産業論
経営経験談
MBA
MOT
Technology Management
(狭義のMOT)
国語Japanese
技術英語Technical English
Presentation
April 3, 2015
アプリケーション技術など
<単独開発>有料
付加価値部分
MOT入門(1)
技術戦略
イノベーション
新事業創出論
プロジェクト・マネジメント
知的財産マネジメント
リーダーシップとモチベーション
技術ロードマッピング
コスト管理
工程管理
品質管理
工場管理
シッックスシグマ
68
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2015/4/5
MITのMOTプログラムの変遷
• 1914-ビジネスと「技術管理」の開始
• 1931– 最初のMOT専門大学院コース(現在は米で200以上)
– 最初のMITの工学と経営学の合同学位コース
• 1952-製造業の指導者(LFM)コース開始
– 製造業中心の複合学位(理系修士&MBA)コース
• 1960代-技術の事業化と起業活動テーマの増加
– 技術志向の起業活動が急速に増加、発展
• 1966• 1970代-技術移転とイノベーションのテーマの増加
• 1980代-技術戦略と特定課題のイノベーションテーマの増加
– 技術のライフサイクル
– プロダクトイノベーションとプロセスイノベーション
– 構造的イノベーション
April 3, 2015
MOT入門(1)
69
MITのMOTプログラムの変遷(2)
• 1981-MOTコースの開始
– 最初のMOT専門大学院コース(現在は米で200以
上)
– 最初のMITの工学と経営学の合同学位コース
• 1988-製造業の指導者(LFM)コース開始
– 製造業中心の複合学位(理系修士&MBA)コース
– 操業効率に重点をおいた、MOTより若い参加者
• 1990代-技術の事業化と起業活動テーマの増加
– 技術志向の起業活動が急速に増加、発展
– 新事業と企業刷新の原動力としてのイノベーションに重
点
April 3, 2015
MOT入門(1)
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2015/4/5
MITのMOTプログラムの変遷(3)
• 1995-システム設計・管理(SDM)コースの開始
– 複雑なシステムの開発に重点を置いた、MOTに似た
2番目の複合学位コース
– システム設計、システム構造、プロジェクトマネジメン
ト、リスクマネジメントにより重点
– イノベーション、戦略、起業活動、技術の事業化、からや
や離れる
– 社会人対象のMITでの最初の学位コース
• 2002-バイオメディカル企業コース(BEP)開始
April 3, 2015
MOT入門(1)
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米国の動向
• 04年12月15日 新産業競争力戦略 ”Innovate
America”
• 1国が他国に競争で勝つことより、誰にとってもよりよ
い世界の構築:コラボレーションによるイノベーション
の加速化
• 「競争」→「協調」
「所有」→「使用」
– IBMのオープン化戦略:パートナー、顧客、他との共同開発
– Microsoftと東芝の提携
April 3, 2015
MOT入門(1)
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2015/4/5
MOTの中心的研究対象のイメージ
大阪工業大 宇井徹雄
戦略レベル
最狭義のMOT
事業の
創造
最広義の
MOT
狭義のMOT
技術の
製品化
事業化
事業の
維持・発展
生産管理
品質管理
戦術レベル
商品の短命化で、狭義のMOTの重要性が増した
April 3, 2015
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MOT入門(1)
MOT vs. MBA
•
•
•
•
•
•
•
一般経営の一部
会社から派遣
元の職場へ
やや高年齢
技術的バックグラウンド
実践的
短・中期
April 3, 2015
•
•
•
•
•
•
•
MOT入門(1)
一般経営の全部
自己負担
新職場へ
比較的若い
理論的、分析的
資格に重点
中・長期
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2015/4/5
イノベーション
• イノベーション=新構想+価値創造
– 新構想:新しいアイディア、または既存のアイディアの組み
合わせ
– 価値創造:顧客や市場に価値と認められるもの
• 既存のもの同士でも組み合わせが新しければ
Innovation(新結合)
• イノベーション≠技術革新(≒Technological Innovation)
• 中国では、「創新」
• マクロ的には、「生産量の増加」=「資本の増加」+
「労働量の増加」+「その他の要素」と表される。「そ
の他の要素」=イノベーションである。
April 3, 2015
MOT入門(1)
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